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下町 三
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「可愛かったからね」
もうひとりの下町娘も思い出したらしく、頷いている。
「私は十二歳だったけど、凄い騒ぎだったのよ」
男の子を下ろしながら、事件の意味を問うた。
「火事が起きたの。全焼して、有朋君だけが助かったのよ」
「火事ですか?」
「でも、ただの火事じゃないの」
子供に聞かせたくないらしく、隼人に顔を寄せてくるので、少し屈んだ。
「他の家族は皆、殺されていたの。遺体に、庖丁が刺さっていたと聞いたわ」
「亡くなったのは、有朋の両親?」
「庖丁が刺さっていたのは、父親。
でも、一緒に死んでいたのは、母親と、同居していた母親の妹と、まだ一歳だった有朋君の弟」
「弟」
従兄弟ではなかったらしい、弟だったのだ。有朋は本当に知らなかったのだろうか?
有朋の身内については、義礼も、有朋本人も信用できない。義礼は明らかに狼狽えながら、知らぬと言い張り、有朋は嘘を吐いていることを隠そうともしない。
子供に醜聞を聞かせたがる大人などいない。故に、女性から聞き出せたのは、そこまでだった。詳しく知りたければ、当時の大人に聞くしかない。
女性の母親が、当時葬儀の世話をしたとのことで、頼んで、話を聞かせて貰うことにした。
母親は、女性以上に警戒心を見せたが、孫がすっかり懐いているのを見て、悪い人間では無いらしいね。と、表情を和らげた。
「あまり、子供には聞かせたくない話だから、孫は離しておくれよ」
と、注意した。
もうひとりの下町娘も思い出したらしく、頷いている。
「私は十二歳だったけど、凄い騒ぎだったのよ」
男の子を下ろしながら、事件の意味を問うた。
「火事が起きたの。全焼して、有朋君だけが助かったのよ」
「火事ですか?」
「でも、ただの火事じゃないの」
子供に聞かせたくないらしく、隼人に顔を寄せてくるので、少し屈んだ。
「他の家族は皆、殺されていたの。遺体に、庖丁が刺さっていたと聞いたわ」
「亡くなったのは、有朋の両親?」
「庖丁が刺さっていたのは、父親。
でも、一緒に死んでいたのは、母親と、同居していた母親の妹と、まだ一歳だった有朋君の弟」
「弟」
従兄弟ではなかったらしい、弟だったのだ。有朋は本当に知らなかったのだろうか?
有朋の身内については、義礼も、有朋本人も信用できない。義礼は明らかに狼狽えながら、知らぬと言い張り、有朋は嘘を吐いていることを隠そうともしない。
子供に醜聞を聞かせたがる大人などいない。故に、女性から聞き出せたのは、そこまでだった。詳しく知りたければ、当時の大人に聞くしかない。
女性の母親が、当時葬儀の世話をしたとのことで、頼んで、話を聞かせて貰うことにした。
母親は、女性以上に警戒心を見せたが、孫がすっかり懐いているのを見て、悪い人間では無いらしいね。と、表情を和らげた。
「あまり、子供には聞かせたくない話だから、孫は離しておくれよ」
と、注意した。
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