43 / 126
下町 二
しおりを挟む
有朋と別れると、富岡八幡宮に向かった。深川区のこの辺りは、下町らしい風情があり、賑やかな声に溢れていた。蜻蛉が、茅の先にとまっているのが、風流である。
まずは、富岡八幡宮で、事件解決を祈願した。珍しい者に対する、周りの視線が突き刺さる。
なんと言い表せば良いのだろうか? 珍獣を見るような、妖怪を見るような、好奇と恐怖が入り混じった視線。ここで英國語を話したならば、皆逃げ出すに違いない。
すみません。と、子供を連れている女性の集まりに向かって、大声を出す。なるべく明るく心がけて。コソコソと近寄って行けば、警戒の末に、逃げられるのがおちである。
女性達は驚きはしていたが、好奇心が勝ったのであろう、逃げずにいてくれた。
「近所の方ですか?」
三人の女性達は顔を見合わせながらも、そうだと答えてくれた。三十前後の者ばかりで、内二人は地元に嫁いだ、生まれも育ちもこの辺りなのだとか。
「二十年も前に、相馬という家があったはずなのです。いえ、今もあるかも知れませんが、ご存知ありませんか?」
地面に丸を書いて、片足で跳ね回っていた子供達が、母親達の周りに集まり、隼人に真っ直ぐ、興味の視線を向けている。大人とは違い、知的好奇心を感じさせた。
「おにさんみたい」
と、素直に口にしたのは、五歳位の女の子だった。兄《あに》さんと聞き間違えたが、鬼であるらしい。つまり、赤鬼と言うことか。
そうだそうだ。と、他の子供も一緒になって囃し立て始める。言い出した女の子を捕まえて、高い高いをすると、歓声が上がった。女の子は明るい声を出し続ける。
楽しそうな様子に、次から次に、手が差し出される。順番に高く放り投げ、受け止める事で、子供との距離は縮まった。お陰で、親達の堅かった表情が和らいだ。
「相馬って、どの辺にあったのか、分かる?」
一人、真剣な表情で考えていた女性が、隼人を見上げた。
「いいえ、相馬本人は五歳だったので、富岡八幡宮を思い出したのが精一杯だったようで」
「まさか、有朋君?」
五人目は男の子だったので、少々乱暴に振り回していたが、危うく落としそうになった。怯えるどころか男の子は、大喜びしている。まるきり、『花屋敷』状態であった。
「知っているのですか?」
まずは、富岡八幡宮で、事件解決を祈願した。珍しい者に対する、周りの視線が突き刺さる。
なんと言い表せば良いのだろうか? 珍獣を見るような、妖怪を見るような、好奇と恐怖が入り混じった視線。ここで英國語を話したならば、皆逃げ出すに違いない。
すみません。と、子供を連れている女性の集まりに向かって、大声を出す。なるべく明るく心がけて。コソコソと近寄って行けば、警戒の末に、逃げられるのがおちである。
女性達は驚きはしていたが、好奇心が勝ったのであろう、逃げずにいてくれた。
「近所の方ですか?」
三人の女性達は顔を見合わせながらも、そうだと答えてくれた。三十前後の者ばかりで、内二人は地元に嫁いだ、生まれも育ちもこの辺りなのだとか。
「二十年も前に、相馬という家があったはずなのです。いえ、今もあるかも知れませんが、ご存知ありませんか?」
地面に丸を書いて、片足で跳ね回っていた子供達が、母親達の周りに集まり、隼人に真っ直ぐ、興味の視線を向けている。大人とは違い、知的好奇心を感じさせた。
「おにさんみたい」
と、素直に口にしたのは、五歳位の女の子だった。兄《あに》さんと聞き間違えたが、鬼であるらしい。つまり、赤鬼と言うことか。
そうだそうだ。と、他の子供も一緒になって囃し立て始める。言い出した女の子を捕まえて、高い高いをすると、歓声が上がった。女の子は明るい声を出し続ける。
楽しそうな様子に、次から次に、手が差し出される。順番に高く放り投げ、受け止める事で、子供との距離は縮まった。お陰で、親達の堅かった表情が和らいだ。
「相馬って、どの辺にあったのか、分かる?」
一人、真剣な表情で考えていた女性が、隼人を見上げた。
「いいえ、相馬本人は五歳だったので、富岡八幡宮を思い出したのが精一杯だったようで」
「まさか、有朋君?」
五人目は男の子だったので、少々乱暴に振り回していたが、危うく落としそうになった。怯えるどころか男の子は、大喜びしている。まるきり、『花屋敷』状態であった。
「知っているのですか?」
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる