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記憶
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「明日もお出で下さいませ」
圭を迎えに行くと、彬子は上機嫌で言った。一方圭は、遊園地から戻って来た子供のように、珍しくご機嫌である。
彬子と楽しい時間を過ごした。等とは到底考えられぬが、二人の機嫌の良さに、有朋は眉根を顰めた。
「ご機嫌だね」
帰り道、圭に問うと、ふふと笑いながら、面白い事が分かりました。との答え。家に戻ったら直ぐに申します。と。
「彬子夫人と、仲良くなったみたいだね」
「昼食だ、お茶だと言っては、相手をさせられましたが、それ以外は書庫で過ごしました。時々、水をねだりに行くついでに、女中さんに内輪話を教えて頂いたり。
実は、彬子夫人には正体が知れていました。私の両親と面識があったそうです」
語尾は口ごもり、聞き取り辛かった。
「照れてるのかい? なにかあったの?」
「私の父が、彬子夫人の初恋の相手だったと伺ったものですから」
なるほど。と、納得する。先代はまだ、四十になっていなかったはずだ。彬子とは四五歳しか違わない。
「だから彬子夫人は、あんなにご機嫌だったのか。
君は、父親似?」
「目は、父によく似ていると言われます。全体的には、母に似ているのですが。
女中さん達からは、相馬さんの親戚かと問われました。似ていますか?」
「俺は、似ているとは思わないな」
顔の印象は、目が一番強い。有朋は目が大きく、圭は切れ長であるから、雰囲気は異なる。
それでも互いに整った顔立ちであり、中性的な容姿と言う共通点があるから、端から見れば、そうも思えるのだろう。
彬子は、華奢な優男が好みなのだろうか。
念の為に周りに気をつけているが、つけている者はいないらしい。多少力に自信があっても、二人一度に相手にするだけの覚悟はないだろう。
自宅では、勇一郎が、食卓に新聞を広げて真剣に読んでいた。
「今日、あの警察官がうろついていたらしい。お前も気をつけろよ」
「帳面は、絶対に見つからない場所に隠しておいたから大丈夫だ」
「帳面じゃなく、お前の心配をしてやってんだよ」
「俺がへまなんかすると思うか?」
「思うから言っているのだがね」
勇一郎は不満そうに唸り、圭は小さく笑った。隼人は寝室に背広を放り込むと、腹具合を問うた。
「食ってきた」
「私も、六時頃頂きました」
圭を迎えに行くと、彬子は上機嫌で言った。一方圭は、遊園地から戻って来た子供のように、珍しくご機嫌である。
彬子と楽しい時間を過ごした。等とは到底考えられぬが、二人の機嫌の良さに、有朋は眉根を顰めた。
「ご機嫌だね」
帰り道、圭に問うと、ふふと笑いながら、面白い事が分かりました。との答え。家に戻ったら直ぐに申します。と。
「彬子夫人と、仲良くなったみたいだね」
「昼食だ、お茶だと言っては、相手をさせられましたが、それ以外は書庫で過ごしました。時々、水をねだりに行くついでに、女中さんに内輪話を教えて頂いたり。
実は、彬子夫人には正体が知れていました。私の両親と面識があったそうです」
語尾は口ごもり、聞き取り辛かった。
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「私の父が、彬子夫人の初恋の相手だったと伺ったものですから」
なるほど。と、納得する。先代はまだ、四十になっていなかったはずだ。彬子とは四五歳しか違わない。
「だから彬子夫人は、あんなにご機嫌だったのか。
君は、父親似?」
「目は、父によく似ていると言われます。全体的には、母に似ているのですが。
女中さん達からは、相馬さんの親戚かと問われました。似ていますか?」
「俺は、似ているとは思わないな」
顔の印象は、目が一番強い。有朋は目が大きく、圭は切れ長であるから、雰囲気は異なる。
それでも互いに整った顔立ちであり、中性的な容姿と言う共通点があるから、端から見れば、そうも思えるのだろう。
彬子は、華奢な優男が好みなのだろうか。
念の為に周りに気をつけているが、つけている者はいないらしい。多少力に自信があっても、二人一度に相手にするだけの覚悟はないだろう。
自宅では、勇一郎が、食卓に新聞を広げて真剣に読んでいた。
「今日、あの警察官がうろついていたらしい。お前も気をつけろよ」
「帳面は、絶対に見つからない場所に隠しておいたから大丈夫だ」
「帳面じゃなく、お前の心配をしてやってんだよ」
「俺がへまなんかすると思うか?」
「思うから言っているのだがね」
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「食ってきた」
「私も、六時頃頂きました」
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