長瀬萬請負 其の一 〜紅い髪の探偵〜

岡倉弘毅

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義史 四

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 玄関を出ると、隼人と有朋が、楽しそうに話しているのが見えた。

 有朋は圭に嫉妬しているのだろうか? 隼人を取られる。と、怯えているのだろうか?

 隼人が、おいで。とばかりに、手を振った。

「彼は、嬉戯げいむが強そうですね。機会があれば、お手合わせ願いたいものです」

 なるほど、面白いかもしれない。嬉戯は、打ち方、禁じ手を覚えるだけでなく、相手の癖、性格をも把握しなければならない。そして、自分の性格を隠さなければならない。

 冷たい目で人を見、考えをおくびにも出さずに、次の手を考える。

 圭と同じく、冷たい目で人を観察する有朋相手なら、手応えのある嬉戯ができるだろう。機会があれば、お手合わせ願いたいものだが、両手を上げて、有朋の意見に賛成するのも癪に障るので、黙っていた。

「面白そうだけど、事件が解決してからにしよう」

「解決の暁には、約束ですよ」

 有朋が隼人を見、次に圭を見た。

「承知しました」

「じゃ、また明日」

 隼人に肩を押されて、高林邸を後にした。



 「少々、付き合い辛い男だろう?」

 かつて、親友として付き合ってきたはずの隼人が、溜息混じりに言う。

「学生時代は、敵の多い男だった。軽蔑の感情を隠さないからね」

「長瀬さんはどうして、敵の多い方と親しくお付き合いなさってらしたのですか?」

「相馬が俺を軽蔑しなかったのが、第三の理由。第二に、俺の容姿に対して、全く興味を示さなかった」

「では、第一は?」

「相馬と話しをするのが、楽しかったからさ」

 隼人は、弁護士を目指していただけに、犯罪に興味があったようだ。しかし、親からの期待の為、あるいは出世の為に弁護士を目指す学生の中においては、浮いた存在であったのだとか。

 大学三年の春、図書館で、隼人が手にしていた犯罪実録に、有朋が興味を示したのをきっかけに、友情が始まったのだと、懐かし気な声で、教えてくれた。

「あの頃から頑なで、自意識過剰な性格ではあったけれど、それを上回る魅力があったことは確かなんだ。

 あいつ、どうやら君に興味を持ったみたいだね。いや、おかしな意味じゃないよ。根は悪い男じゃないから、心配しなくていい」

 慌てた風で、弁解じみたことを言う。やはり、有朋は今でも、大事な友なのであろう。
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