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犯罪 三
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「自死を目論んでいたんじゃないのか? 左手首だろう? 手首なら太い血管が通っているから、剃刀で深く切れば、死に至る可能性もある。
でも、かなり痛いから、結局死にきれないんだよ」
「詳しいのですね。経験がおありで?」
「まさか。
一度だけ、洋紙で誤って手首を切ったことがある。うっすら血が滲んだだけなのに、悲鳴もあげられないほど痛かったよ」
隼人の言葉に、思わず切り傷の痛みを思い出して片目を閉じた。
「明日、俺が話をしよう。自死を図ろうとしたかと問えば、約束とやらを嫌でも話さざるを得なくなるだろう。
しかし、問題の多い家だな」
「一人娘がそれじゃあ、親も苦労するだろうな」
「映子さんは叱られたことがないのではありませんか?いけないことはいけないと、言ってくれる大人がいなければ、子供は理解できません」
「俺も随分張り倒されたもんだよ」
「日課だったのではありませんか?」
「三日に二日は」
「の割には、懲りてないみたいだな」
隼人の皮肉に、今更恐れ入る勇一郎ではない。そうかもしれないな。等と言いながら、豪快に笑っている。
決して映子が犯人だとは思っていないが、気にするだけの、危険な娘であると言う考えは、三人に共通するものであった。
「明日、義礼氏に話したいことがあるから、昼頃伺おうと思っている」
「おい、隼人、お前もしかして、犯人の目星がついてんじゃないのか?」
隼人は否定しない。
肯定もしないがこの場合、否定しないことこそが、答えであろう。
「相馬を庇っているように見えるのも、それが原因じゃないのか?
ま、犯人教えろとは言わないから、安心しろよ。な」
同意を求めるように、勇一郎が圭に顔を向けた。
「確実な証拠が見つかってからで結構です」
「鋭いね」
例え信用している相手であっても、証拠もなしに、あいつこそ犯人だ。と、軽々しく言われるのは困る。尤も、そんな軽薄な人間ならば、弁護士は務まらなかっただろう。
正直に言えば、犯人は誰かと問い質したい好奇心はあるが、圭は必死に感情を押し殺した。
でも、かなり痛いから、結局死にきれないんだよ」
「詳しいのですね。経験がおありで?」
「まさか。
一度だけ、洋紙で誤って手首を切ったことがある。うっすら血が滲んだだけなのに、悲鳴もあげられないほど痛かったよ」
隼人の言葉に、思わず切り傷の痛みを思い出して片目を閉じた。
「明日、俺が話をしよう。自死を図ろうとしたかと問えば、約束とやらを嫌でも話さざるを得なくなるだろう。
しかし、問題の多い家だな」
「一人娘がそれじゃあ、親も苦労するだろうな」
「映子さんは叱られたことがないのではありませんか?いけないことはいけないと、言ってくれる大人がいなければ、子供は理解できません」
「俺も随分張り倒されたもんだよ」
「日課だったのではありませんか?」
「三日に二日は」
「の割には、懲りてないみたいだな」
隼人の皮肉に、今更恐れ入る勇一郎ではない。そうかもしれないな。等と言いながら、豪快に笑っている。
決して映子が犯人だとは思っていないが、気にするだけの、危険な娘であると言う考えは、三人に共通するものであった。
「明日、義礼氏に話したいことがあるから、昼頃伺おうと思っている」
「おい、隼人、お前もしかして、犯人の目星がついてんじゃないのか?」
隼人は否定しない。
肯定もしないがこの場合、否定しないことこそが、答えであろう。
「相馬を庇っているように見えるのも、それが原因じゃないのか?
ま、犯人教えろとは言わないから、安心しろよ。な」
同意を求めるように、勇一郎が圭に顔を向けた。
「確実な証拠が見つかってからで結構です」
「鋭いね」
例え信用している相手であっても、証拠もなしに、あいつこそ犯人だ。と、軽々しく言われるのは困る。尤も、そんな軽薄な人間ならば、弁護士は務まらなかっただろう。
正直に言えば、犯人は誰かと問い質したい好奇心はあるが、圭は必死に感情を押し殺した。
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