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カミソリ 四
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緊張が高まりつつある。
四人は目を見開き、唇を噛み締めて、隼人と圭を見つめる。一人が冷静を失えば、阿鼻叫喚図が描かれそうな状態である。
「私の首を絞めたのは、男でした。
絞められている時に、引っ張り上げられているような感じでしたから、私よりも丈が高いはずです。
第一、映子さんだけなら、目隠しは必要がありません」
「そう、ある男が、私的な事情で映子さんを唆し、圭君を誘き寄せさせ、束縛したのです。
犯人は誰ですか? 映子さん」
映子はそっぽを向いた。
「彼女が庇う男は恐らく二人。自分を可愛がってくれる父親か、伯父。
しかし、父親は朝、仕事に行ったっきり戻って来てはいない。そうなると、自ずと一人になりますね」
「でも、良人は映子さんの部屋を、率先して貴方に見せようとしましたわ。それはどう説明なさるおつもり?」
「俺が、映子さんの部屋を見せろと言った時、彬子夫人はどう思いましたか? 随分と不快そうでしたが」
「不快になるのは当然ではありませんか? 年若い娘の部屋を、理由も言わずに、唐突に、見せろだなんて」
「そう思われるのは当然です。
ではなぜ、義礼氏は怒るどころか、進んで見せようとしたのでしょうか? 娘のように可愛がっている姪を、庇うのが普通でしょう? しかし、そうはしなかった。なぜか。
俺の疑いを否定する為です。
この部屋に圭君がいなければ、俺は捜索を断念せざるを得なくなる。彼にとって圭君はもちろん、俺も邪魔になっていた。どうにかして追い出したくて仕方なかったはずだ。だからこそ、俺の疑いは、願っても無いものだっただろう」
「つまり、良人はここに、麻上さんがいないと確信していたのでしょう?」
「はい。
申し訳ありませんが、ついさっき、貴方の命を受けた警察官が、この屋敷に忍び込もうとしていたので俺が、同伴していた友人と一緒に捕まえて、警察に突き出しました。山科の所から持ち出した帳面と一緒に」
映子は跳ねるように振り向くと、義礼の胸元に掴み掛かった。今まで固く結ばれていた唇は勢い良く開き、長い髪を振り乱し、飾っていた簪を歪ませて。
「ひどいわ、伯父様、あれを盗もうとしたのね! 最初から横取りするつもりだったのね!」
「映子さんは彼を、自分のものにするつもりだったの?」
四人は目を見開き、唇を噛み締めて、隼人と圭を見つめる。一人が冷静を失えば、阿鼻叫喚図が描かれそうな状態である。
「私の首を絞めたのは、男でした。
絞められている時に、引っ張り上げられているような感じでしたから、私よりも丈が高いはずです。
第一、映子さんだけなら、目隠しは必要がありません」
「そう、ある男が、私的な事情で映子さんを唆し、圭君を誘き寄せさせ、束縛したのです。
犯人は誰ですか? 映子さん」
映子はそっぽを向いた。
「彼女が庇う男は恐らく二人。自分を可愛がってくれる父親か、伯父。
しかし、父親は朝、仕事に行ったっきり戻って来てはいない。そうなると、自ずと一人になりますね」
「でも、良人は映子さんの部屋を、率先して貴方に見せようとしましたわ。それはどう説明なさるおつもり?」
「俺が、映子さんの部屋を見せろと言った時、彬子夫人はどう思いましたか? 随分と不快そうでしたが」
「不快になるのは当然ではありませんか? 年若い娘の部屋を、理由も言わずに、唐突に、見せろだなんて」
「そう思われるのは当然です。
ではなぜ、義礼氏は怒るどころか、進んで見せようとしたのでしょうか? 娘のように可愛がっている姪を、庇うのが普通でしょう? しかし、そうはしなかった。なぜか。
俺の疑いを否定する為です。
この部屋に圭君がいなければ、俺は捜索を断念せざるを得なくなる。彼にとって圭君はもちろん、俺も邪魔になっていた。どうにかして追い出したくて仕方なかったはずだ。だからこそ、俺の疑いは、願っても無いものだっただろう」
「つまり、良人はここに、麻上さんがいないと確信していたのでしょう?」
「はい。
申し訳ありませんが、ついさっき、貴方の命を受けた警察官が、この屋敷に忍び込もうとしていたので俺が、同伴していた友人と一緒に捕まえて、警察に突き出しました。山科の所から持ち出した帳面と一緒に」
映子は跳ねるように振り向くと、義礼の胸元に掴み掛かった。今まで固く結ばれていた唇は勢い良く開き、長い髪を振り乱し、飾っていた簪を歪ませて。
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