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真実 三
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「ありきたりですね」
そうは言うものの、呆れた様子はない。結局は、最終的に共食いさせるつもりだったのだろう。
いや、いつまでも狭い世界で、自分の言いなりになる人間を操っていれば、飽きてしまい、途中で投げ出したかもしれない。
有朋の手から離れても、壊れた家族は破滅へと突き進む以外に無い。寧ろ、自分達を操る人間を失う事で、理性の無さには拍車がかかり、最悪の結果を迎えるのには変わりない。
「精神的な嬲り殺しをしたいのだろう? 自分の手は汚さないまま」
隼人の露骨な言葉に、有朋は笑みで答えた。
「彬子さんだけが、計算違いでしたね」
「咲江夫人も、罪を犯さずに済んでいるはずですが?」
「娘の罪を隠している以上、綺麗だとは言えないでしょう。
罪を隠す為に嘘を吐き、嘘を真に見せる為に、更に嘘を重ねる。人は、嘘の中で生きると、真実を信じられなくなる生き物なのですよ。
貴方も試して見てはいかがですか? 案外、性に合っているかも知れませんよ、探偵よりも」
「そもそも、探偵を始めたつもりは無いのだけどね。
それに、俺はひねくれ者だから、勧められると逆らいたくなるんだ」
いつの間にか、周りはコオロギの風流な音で満ちていた。人の欲望とは無縁の音色は、怒りに満ちた心にも、美しく聞こえる。
風の奏でる草や木の葉擦れが、雅やかだ。
「そうですね。貴方はいつだって、正義を愛した。何事にも興味を示さないように見えて、実は酷いお節介。変わっていませんね。
でも彼は貴方より、僕に近い人間のように思われますよ。きっかけがあれば、抵抗無しに、僕の方に来ることができる人間だ。肉親という枷もないことだし」
「ほぉ、君は肉親が枷だと思うのか? それでは、両親が生きていたならば、こんな真似はしなかったと言うのだな」
「一般論ですよ。さっきの彼の言葉は、肉親の仇であれば、正義を捨てても理解できると聞こえましたからね」
「言うは易し、行うは難し。だよ。
圭君は、君とは違う。人を大事に思う気持ちを持ち合わせている。君とは違うんだ。
そろそろ警察官が来るだろう。君はせいぜいしおらしく、何も知らぬ被害者を演じるのだね。
さぁ、もう帰ろう。俺達の仕事は終わった。これ以上関わり合う必要はない」
隼人は圭の肩に腕を回すと、引き寄せるようにして、門に向かって歩き始めた。
「また会いましょう。今度は負けませんから」
「二度と会わないよ」
一方的に絶縁を申し入れても、有朋が納得しない限り、成立はすまい。また、気まぐれに関わって来るであろうが、その時はその時。とりあえず今は、全身で拒絶を示すしかなかった。
そうは言うものの、呆れた様子はない。結局は、最終的に共食いさせるつもりだったのだろう。
いや、いつまでも狭い世界で、自分の言いなりになる人間を操っていれば、飽きてしまい、途中で投げ出したかもしれない。
有朋の手から離れても、壊れた家族は破滅へと突き進む以外に無い。寧ろ、自分達を操る人間を失う事で、理性の無さには拍車がかかり、最悪の結果を迎えるのには変わりない。
「精神的な嬲り殺しをしたいのだろう? 自分の手は汚さないまま」
隼人の露骨な言葉に、有朋は笑みで答えた。
「彬子さんだけが、計算違いでしたね」
「咲江夫人も、罪を犯さずに済んでいるはずですが?」
「娘の罪を隠している以上、綺麗だとは言えないでしょう。
罪を隠す為に嘘を吐き、嘘を真に見せる為に、更に嘘を重ねる。人は、嘘の中で生きると、真実を信じられなくなる生き物なのですよ。
貴方も試して見てはいかがですか? 案外、性に合っているかも知れませんよ、探偵よりも」
「そもそも、探偵を始めたつもりは無いのだけどね。
それに、俺はひねくれ者だから、勧められると逆らいたくなるんだ」
いつの間にか、周りはコオロギの風流な音で満ちていた。人の欲望とは無縁の音色は、怒りに満ちた心にも、美しく聞こえる。
風の奏でる草や木の葉擦れが、雅やかだ。
「そうですね。貴方はいつだって、正義を愛した。何事にも興味を示さないように見えて、実は酷いお節介。変わっていませんね。
でも彼は貴方より、僕に近い人間のように思われますよ。きっかけがあれば、抵抗無しに、僕の方に来ることができる人間だ。肉親という枷もないことだし」
「ほぉ、君は肉親が枷だと思うのか? それでは、両親が生きていたならば、こんな真似はしなかったと言うのだな」
「一般論ですよ。さっきの彼の言葉は、肉親の仇であれば、正義を捨てても理解できると聞こえましたからね」
「言うは易し、行うは難し。だよ。
圭君は、君とは違う。人を大事に思う気持ちを持ち合わせている。君とは違うんだ。
そろそろ警察官が来るだろう。君はせいぜいしおらしく、何も知らぬ被害者を演じるのだね。
さぁ、もう帰ろう。俺達の仕事は終わった。これ以上関わり合う必要はない」
隼人は圭の肩に腕を回すと、引き寄せるようにして、門に向かって歩き始めた。
「また会いましょう。今度は負けませんから」
「二度と会わないよ」
一方的に絶縁を申し入れても、有朋が納得しない限り、成立はすまい。また、気まぐれに関わって来るであろうが、その時はその時。とりあえず今は、全身で拒絶を示すしかなかった。
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