殺された人形

岡倉弘毅

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疑惑 三

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 行彦は元々、有紀が馨を教えるのに積極的ではなかった。

 里美の兄にあたる伯父から、頭を低くして頼まれたこと、決して馨と二人きりにしないとの約束で仕方なく許したという様子だった。

 打算的な親であれば、伯爵家と関わりができたと喜ぶであろうが、行彦には迷惑以外のなにものでもないようだ。

 もしかして。と、突然思いついた。

 きみ。の名を持つ女性とは身分違いだったのではないだろうか。里美と出会ったのは、その前か? 後か?

 叶わぬ恋は、苦しいものなのだろうか?

 小説の中に存在する苦しみは知っているつもりだが、あくまでも架空の話としか考えられない。

 興味がない。

 布団を敷いて、電気を消す。しかし、今日も眠れそうにはなかった。
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