殺された人形

岡倉弘毅

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勘当 二

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 熱心なことだと、厭味の一つも言ってみたいが、臆病な心がそれを言わせようとはしなかった。

「私が来るだろうと見当をつけて、避けているとは思えんのだが」

「僕、結婚します。婿入りするつもりです」

 ゴクリと唾を飲み込む。永吾の視線に負けまいと、睨み付けた。

「そうか。それではお前の望み通り、勘当してやろう」

 永吾はそう言い放つと、三秒ほど洋史を見詰め、何事もなかったかのように去って行った。

 戸惑ったのは洋史の方であった。洋史を見詰める視線。初めて、永吾に見られた気がした。

 今までの、二番目の息子を見る目ではなく、洋史という一人の人間として見られた気がしたのだ。

 相手が誰かを聞かなかった。当然、見当はついているだろう。永吾からしてみれば絶対に賛成する相手ではない。

 もう、面倒になって見放したのだろうか? それとも、洋史という人間を認め、漸く手放すつもりになったのだろうか。

 去って行く背中は、いつも通り堂々としていたけれど、何とはなしに寂しそうにも見えた。





 「今日は人物画かね」

 洋史の画帳を覗き込んで、行彦が明るい声を上げた。

「えぇと、男かね? 女かね?」
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