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5話 婚約者と出会ってしまった地獄1
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その日、私とブラッドリーさんは夜遅くまで残って、パソコンと膨大な資料に囲まれていた。
今まで冷戦状態だったルトブルクとの同盟協定。ザントピアへの作戦。同盟によってルトブルクからもたらされた情報。
全て情報部隊に押し付けた上司共は、とりあえず五回とも違う方法で地獄に落ちてもらう妄想はした。
なんでもこっちに任せれば問題ないだろ? じゃないんだわ。その対応が問題の地雷原だから。
頼れる仲間は三徹のせいでみんな目が死んでる。そもそも目を開いていない。気絶しているのだ。
社畜の夜は、長い。
「あー……やってらんない。無理難題を押し付けてくる上司に、パイセンは廃人待った無しだし、頼れる同期はみんな人間卒業してる。これ訴えれば勝てるんじゃ?」
「その上司であり同期の俺の前でそれを宣告すると言う事は、戦線布告と決めていいのか?」
「違います~そうじゃないんです~白旗です~。いや、見合い相手を勧められて……なんですか、早くないですか戦力外通告ですか」
起きているのは私とブラッドリーさんだけ。ブラッドリーさんが寝たら私も寝れるのに、この人クマは作っても全く倒れようとしない。
そろそろ倒れてくれ。頼むから。
なんとなく残ってしまった私、気まずくて寝れてないんだから。
何度念じても倒れることはない。起き上がり人形機能でもついているんじゃないだろうか。
私の皮肉にブラッドリーさんはふっ、と笑う。
これが女性がキュンとくるポイントなのだろうか。ブラッドリーさん、他の部隊で大人気だもんね。笑顔を見ると「生き返るわ~」ってなるんだって。
私もキュンとしたいわ。それで私のフレッシュな気持ちを生き返らせて。さっきからどうやったらブラッドリーさんが倒れてくれる、って事しか考えてない。
「有力株は誰だって手中に入れておきたいものだろう」
「はー。褒めてくれてるんですか?うれぴはずかぴですね。だけどこの為に時間も労力も割くのはナンセンスです。省エネのフィオナの名が泣いてしまう。その為に歩くことさえ面倒だ」
「そうか、ならば俺と付き合うか?」
ついにブラッドリーさんがおかしくなったらしい。
は~~この人でも冗談とか言うんだ~。明日ハマーさんに教えてあげよ。徹夜すると、お付き合い申し込まれますよ、って。
キーボードのタイピングを止めることなく、んふふ、と笑って、ブラッドリーさんの冗談に乗ることにした。正気は先に定時退社してる。なのでここには狂気とフィオナしか居ないんだなぁ!
「あ~名案そうですねそうしましょう」
「ならば職場以外では敬語はいらないからな。今日からよろしく頼む」
カタッ。
キーボードを打つ手が止まった。液晶から目を離して、ブラッドリーさんを見つめる。同じタイミングでブラッドリーさんも手を止めて私の方を見た。
わ~~息ピッタリ~~。
てか酷い顔だ。私もきっと見れたもんじゃないけど、もしかしてブラッドリーさんも正気が定時退社しているのでは??
「…………は? え。ガチ?」
「俺は君なら別に構わないが?」
「お、おう……よろしくね?」
とまあ、私とブラッドリーさんはこんな感じで付き合い始めた。お互い三徹を決め込んで、目の下のクマとはとっくにラブラブ生活を送っているなかでの話。
ムードは裸足で逃げていった。
あいつは……いい奴だったよ……。
いや、なんでこんな事を思い出しているかと言うと、この状況を脱したくて昔のことを思い出していたんだ。
今日はハマーさんとお買い物に来ていた。ブラッドリーさんがこの間買ってきてくれた、コーラルピンクワンピースを着て、靴はハマーさんが買ってきてくれた柔らかい生地のパンプス。私よりセンスが良くて泣ける。
ただし、どれもピンクとかそういうの。一生私が着ることはないと思っていた代物。
最初渡された時、泣いちゃおうかな、とか思ったけど踏みとどまった私は偉い。
上司や先輩から貢がれているという、謎のポジションでマウントをとっている私。
どうも幼女です。
中身はフィオナという情報部隊なのに、誰もその存在を信じてくれなくて、マリー・ブラッドリーと名乗る幼女皮を被った三十路手前です。
ブラッドリーという名字が私に付いていることはこの間知った。私はいつの間にブラッドリーファミリーの一員となったんだろうか。
よく上が許したね? そこも色々と頑張ったの? 私の上司、恐ろしい。
いやいや、そうじゃなくてだな?
私はこの目の前にあるパフェを食しているのですが、何故か私の前にはブラッドリーさんと――。
「ねぇねぇ、レオさん。何食べたい?」
見知らぬ女が居る。
誰だ。
知らなくても察するよね。
「食べたいものを食べていい」
「これもこれも食べたいなぁ。あ! レオさん、半分こしませんか?」
「分かりました」
やったぁ、と彼女はオレンジの髪を揺らして、青い瞳を和らげて無邪気な笑顔で喜ぶ女性。僅かに微笑むブラッドリーさん。
それを私と、私の隣に居るハマーさんはスンッとした表情で眺める。気持ちはきっと同じだ。
頼むから私達の前でやらないでくれ!!
今日、私とハマーさんは確かに買い物に来ていた。他の同期とかではなく、絶対に忙しいであろうハマーさんを呼びつけて、買い物を付き合ってもらっていた。
ご指名とかどこぞの貴族でもないのに、ハマーさんは私が付き合ってほしい内容を伝えると快く了承してくれた。優しい先輩だ。
この頃は町で売っているの胃薬だと効かないとか風の噂で聞いたけど、大丈夫なんだろうか。
「ハマーさん。パフェ、少しいる?」
「……ああ、くれるのか?」
「うん、あげる」
ハマーさんはグレーの髪の毛を僅かに揺らして私の方を見た。心なしか藍色の瞳が同情の色である。
買いたいものも買えたし、じゃあお昼でも食べようか~、とハマーさんと話して時だ。
出会ったのだ。
ブラッドリーさんと。
そしてブラッドリーさんの腕に抱きつく女性に。
出会った瞬間、浮気現場を見てしまった家政婦さんが私の頭の中では爆誕した。
あらあらまあまあ! 脳内家政婦さんはずっとそのセリフを繰り返していたと思う。
別にブラッドリーさんも私もお互い、悪い事はしていない。
ハマーさんと出掛けることはハマーさんからブラッドリーさんに伝えてるだろうし、私も外出することは置き手紙をした。
ブラッドリーさんだって別にいけない事はしていない。
なのに私達が出会った時に確かに空間にただならぬ緊張感と、ビギッとヒビが入るような音がしたのは確かだった。
ハマーさんはどこか慌ててたし、ブラッドリーさん嫌そうだったし。
なるほど、バレたくない事なのね。理解把握。
じゃあここは素知らぬ顔をしようかと思ったのにだ。
「あ! もしかしてあなたがレオさんの所に住んでるマリーちゃん?」
事もあろうかと、この女が先制攻撃をしてきたのだ。
まさかの奇襲に私もハマーさんもブラッドリーさんも、彼女をガン見。
何故それを知っている。
その一言だろう。
私の存在はまだ秘密裏という扱いになっている。敵国に居た幼女。たかが幼女だろうが、その油断は禁物だ。子供でも強い暗殺者も居るし、魔法師も居る。
ま~私を警戒しても、彼氏に自然消滅扱いされて更には婚約者まで居るという、メンタルズタボロな幼女なだけなんですけどね~。
つまり、私を知っている、という事は可能性として二つ。
ザントピアの残党か、またはサンテールの中に情報漏洩者が居るか。
だってこの女性を私は知らないもん。六年の間に入ってきたとしても、私の存在って秘密裏だし、こんなペラペラと公衆の面前で話すような奴を国がオッケーしたならドン引きする。
緊張感の漂うなか、女性は更に追撃してきた。
「こんにちは、マリーちゃん。今からご飯? 良かったら一緒にどうかな?」
しゃがんで私の手をキュッと握って小首を傾げる。
ボーテ。マーベラス。ベリーグッド。
すごいよ、手練れだ。
この女性、男性がキュンキュンするポイントを押さえてきてる。
それをわざわざ私に使うのは、実は子供好きなんです~慣れてるんです~、アピール! これは軍の中で疲弊した男性にはホッコリポイントとして株が上がる!!
だか相手が残念だった。
ここに居る男性たちは全て社畜だ。
だからイケメンランキングではブラッドリーさんもハマーさんも上位なのに、結婚したいランキングではランキング外なんだよ。
その母性に溢れているでしょアピール、ここでは効果はいまいちだぞ!!
証拠にハマーさんは何か言いたそうにしていたけど、チラチラチラチラとブラッドリーさんと女性を高速で目線が反復横跳びしているし、ブラッドリーさんもブラッドリーさんで何か言いたそうにするだけで何も言わない。
あれ? それはちょっと予想外の反応だ。
ブラッドリーさんならば「こんなところで話すような内容じゃないだろ」と説教が始まってもおかしくないのに。
強く出れないのか? それとも嫌われたくないとか?
ここで私はピーンときた。
彼女がブラッドリーさんのフィアンセなんだと。
「あ、はい……私で良ければ……」
ならばいい子にするのが当たり前というものだ。いつもお世話になっている二人への恩返しだ!
――と、意気込んだのはいいんだけど。
「サラダ取り分けますね! ハマーさんは食べれないものありますか? マリーちゃんは? レオさんはトマトが好きなんですよねー?」
「あ、お気遣いなく……」
「私も大丈夫です……」
「そうですね、覚えていてくれたんですか」
「もちろんです。自分の好きな人のものなら当たり前じゃないですか!」
私とハマーさん、邪魔者じゃね?
別に嫌がらせをしてくるわけでもない。本当に気が回るいい女性だ。
でもさ? でもさ?
「レオさん、半分こ! はい、あーん!」
「そういうのは少し恥ずかしいですのでご遠慮いたします」
「ふふ、冗談ですよ」
二人でやってくれーー!!!
パフェなんて頼んでしまった私は、全くスプーンが進まない。美味しそうなチョコアイスが溶けていくのをただただ観察するだけになっている。
違うんだよ~。
チョコパフェ好きなんだよ~食べ物を粗末にするつもりはないんだよ~。
口の中がさっきから甘いものを食べたがらないんだ。ハニートーストに砂糖とバニラアイスとメープルシロップ乗せみたいなテロを見せつけられているのに、チョコパフェなんて食べられるわけがなかった。
さっきからハマーさんのブラックコーヒーの消費率が早い。
そうだよね……何が悲しくて、上司のラブラブな光景を見せられてるんだ、って感じだよね。
私もだよ。それに私、元カノ!
何が悲しくて、自然消滅扱いされた元彼のイチャラブを見なきゃいけないんだ。
これは何の試練だ……? 乗り越えた先に何がある……?
今まで冷戦状態だったルトブルクとの同盟協定。ザントピアへの作戦。同盟によってルトブルクからもたらされた情報。
全て情報部隊に押し付けた上司共は、とりあえず五回とも違う方法で地獄に落ちてもらう妄想はした。
なんでもこっちに任せれば問題ないだろ? じゃないんだわ。その対応が問題の地雷原だから。
頼れる仲間は三徹のせいでみんな目が死んでる。そもそも目を開いていない。気絶しているのだ。
社畜の夜は、長い。
「あー……やってらんない。無理難題を押し付けてくる上司に、パイセンは廃人待った無しだし、頼れる同期はみんな人間卒業してる。これ訴えれば勝てるんじゃ?」
「その上司であり同期の俺の前でそれを宣告すると言う事は、戦線布告と決めていいのか?」
「違います~そうじゃないんです~白旗です~。いや、見合い相手を勧められて……なんですか、早くないですか戦力外通告ですか」
起きているのは私とブラッドリーさんだけ。ブラッドリーさんが寝たら私も寝れるのに、この人クマは作っても全く倒れようとしない。
そろそろ倒れてくれ。頼むから。
なんとなく残ってしまった私、気まずくて寝れてないんだから。
何度念じても倒れることはない。起き上がり人形機能でもついているんじゃないだろうか。
私の皮肉にブラッドリーさんはふっ、と笑う。
これが女性がキュンとくるポイントなのだろうか。ブラッドリーさん、他の部隊で大人気だもんね。笑顔を見ると「生き返るわ~」ってなるんだって。
私もキュンとしたいわ。それで私のフレッシュな気持ちを生き返らせて。さっきからどうやったらブラッドリーさんが倒れてくれる、って事しか考えてない。
「有力株は誰だって手中に入れておきたいものだろう」
「はー。褒めてくれてるんですか?うれぴはずかぴですね。だけどこの為に時間も労力も割くのはナンセンスです。省エネのフィオナの名が泣いてしまう。その為に歩くことさえ面倒だ」
「そうか、ならば俺と付き合うか?」
ついにブラッドリーさんがおかしくなったらしい。
は~~この人でも冗談とか言うんだ~。明日ハマーさんに教えてあげよ。徹夜すると、お付き合い申し込まれますよ、って。
キーボードのタイピングを止めることなく、んふふ、と笑って、ブラッドリーさんの冗談に乗ることにした。正気は先に定時退社してる。なのでここには狂気とフィオナしか居ないんだなぁ!
「あ~名案そうですねそうしましょう」
「ならば職場以外では敬語はいらないからな。今日からよろしく頼む」
カタッ。
キーボードを打つ手が止まった。液晶から目を離して、ブラッドリーさんを見つめる。同じタイミングでブラッドリーさんも手を止めて私の方を見た。
わ~~息ピッタリ~~。
てか酷い顔だ。私もきっと見れたもんじゃないけど、もしかしてブラッドリーさんも正気が定時退社しているのでは??
「…………は? え。ガチ?」
「俺は君なら別に構わないが?」
「お、おう……よろしくね?」
とまあ、私とブラッドリーさんはこんな感じで付き合い始めた。お互い三徹を決め込んで、目の下のクマとはとっくにラブラブ生活を送っているなかでの話。
ムードは裸足で逃げていった。
あいつは……いい奴だったよ……。
いや、なんでこんな事を思い出しているかと言うと、この状況を脱したくて昔のことを思い出していたんだ。
今日はハマーさんとお買い物に来ていた。ブラッドリーさんがこの間買ってきてくれた、コーラルピンクワンピースを着て、靴はハマーさんが買ってきてくれた柔らかい生地のパンプス。私よりセンスが良くて泣ける。
ただし、どれもピンクとかそういうの。一生私が着ることはないと思っていた代物。
最初渡された時、泣いちゃおうかな、とか思ったけど踏みとどまった私は偉い。
上司や先輩から貢がれているという、謎のポジションでマウントをとっている私。
どうも幼女です。
中身はフィオナという情報部隊なのに、誰もその存在を信じてくれなくて、マリー・ブラッドリーと名乗る幼女皮を被った三十路手前です。
ブラッドリーという名字が私に付いていることはこの間知った。私はいつの間にブラッドリーファミリーの一員となったんだろうか。
よく上が許したね? そこも色々と頑張ったの? 私の上司、恐ろしい。
いやいや、そうじゃなくてだな?
私はこの目の前にあるパフェを食しているのですが、何故か私の前にはブラッドリーさんと――。
「ねぇねぇ、レオさん。何食べたい?」
見知らぬ女が居る。
誰だ。
知らなくても察するよね。
「食べたいものを食べていい」
「これもこれも食べたいなぁ。あ! レオさん、半分こしませんか?」
「分かりました」
やったぁ、と彼女はオレンジの髪を揺らして、青い瞳を和らげて無邪気な笑顔で喜ぶ女性。僅かに微笑むブラッドリーさん。
それを私と、私の隣に居るハマーさんはスンッとした表情で眺める。気持ちはきっと同じだ。
頼むから私達の前でやらないでくれ!!
今日、私とハマーさんは確かに買い物に来ていた。他の同期とかではなく、絶対に忙しいであろうハマーさんを呼びつけて、買い物を付き合ってもらっていた。
ご指名とかどこぞの貴族でもないのに、ハマーさんは私が付き合ってほしい内容を伝えると快く了承してくれた。優しい先輩だ。
この頃は町で売っているの胃薬だと効かないとか風の噂で聞いたけど、大丈夫なんだろうか。
「ハマーさん。パフェ、少しいる?」
「……ああ、くれるのか?」
「うん、あげる」
ハマーさんはグレーの髪の毛を僅かに揺らして私の方を見た。心なしか藍色の瞳が同情の色である。
買いたいものも買えたし、じゃあお昼でも食べようか~、とハマーさんと話して時だ。
出会ったのだ。
ブラッドリーさんと。
そしてブラッドリーさんの腕に抱きつく女性に。
出会った瞬間、浮気現場を見てしまった家政婦さんが私の頭の中では爆誕した。
あらあらまあまあ! 脳内家政婦さんはずっとそのセリフを繰り返していたと思う。
別にブラッドリーさんも私もお互い、悪い事はしていない。
ハマーさんと出掛けることはハマーさんからブラッドリーさんに伝えてるだろうし、私も外出することは置き手紙をした。
ブラッドリーさんだって別にいけない事はしていない。
なのに私達が出会った時に確かに空間にただならぬ緊張感と、ビギッとヒビが入るような音がしたのは確かだった。
ハマーさんはどこか慌ててたし、ブラッドリーさん嫌そうだったし。
なるほど、バレたくない事なのね。理解把握。
じゃあここは素知らぬ顔をしようかと思ったのにだ。
「あ! もしかしてあなたがレオさんの所に住んでるマリーちゃん?」
事もあろうかと、この女が先制攻撃をしてきたのだ。
まさかの奇襲に私もハマーさんもブラッドリーさんも、彼女をガン見。
何故それを知っている。
その一言だろう。
私の存在はまだ秘密裏という扱いになっている。敵国に居た幼女。たかが幼女だろうが、その油断は禁物だ。子供でも強い暗殺者も居るし、魔法師も居る。
ま~私を警戒しても、彼氏に自然消滅扱いされて更には婚約者まで居るという、メンタルズタボロな幼女なだけなんですけどね~。
つまり、私を知っている、という事は可能性として二つ。
ザントピアの残党か、またはサンテールの中に情報漏洩者が居るか。
だってこの女性を私は知らないもん。六年の間に入ってきたとしても、私の存在って秘密裏だし、こんなペラペラと公衆の面前で話すような奴を国がオッケーしたならドン引きする。
緊張感の漂うなか、女性は更に追撃してきた。
「こんにちは、マリーちゃん。今からご飯? 良かったら一緒にどうかな?」
しゃがんで私の手をキュッと握って小首を傾げる。
ボーテ。マーベラス。ベリーグッド。
すごいよ、手練れだ。
この女性、男性がキュンキュンするポイントを押さえてきてる。
それをわざわざ私に使うのは、実は子供好きなんです~慣れてるんです~、アピール! これは軍の中で疲弊した男性にはホッコリポイントとして株が上がる!!
だか相手が残念だった。
ここに居る男性たちは全て社畜だ。
だからイケメンランキングではブラッドリーさんもハマーさんも上位なのに、結婚したいランキングではランキング外なんだよ。
その母性に溢れているでしょアピール、ここでは効果はいまいちだぞ!!
証拠にハマーさんは何か言いたそうにしていたけど、チラチラチラチラとブラッドリーさんと女性を高速で目線が反復横跳びしているし、ブラッドリーさんもブラッドリーさんで何か言いたそうにするだけで何も言わない。
あれ? それはちょっと予想外の反応だ。
ブラッドリーさんならば「こんなところで話すような内容じゃないだろ」と説教が始まってもおかしくないのに。
強く出れないのか? それとも嫌われたくないとか?
ここで私はピーンときた。
彼女がブラッドリーさんのフィアンセなんだと。
「あ、はい……私で良ければ……」
ならばいい子にするのが当たり前というものだ。いつもお世話になっている二人への恩返しだ!
――と、意気込んだのはいいんだけど。
「サラダ取り分けますね! ハマーさんは食べれないものありますか? マリーちゃんは? レオさんはトマトが好きなんですよねー?」
「あ、お気遣いなく……」
「私も大丈夫です……」
「そうですね、覚えていてくれたんですか」
「もちろんです。自分の好きな人のものなら当たり前じゃないですか!」
私とハマーさん、邪魔者じゃね?
別に嫌がらせをしてくるわけでもない。本当に気が回るいい女性だ。
でもさ? でもさ?
「レオさん、半分こ! はい、あーん!」
「そういうのは少し恥ずかしいですのでご遠慮いたします」
「ふふ、冗談ですよ」
二人でやってくれーー!!!
パフェなんて頼んでしまった私は、全くスプーンが進まない。美味しそうなチョコアイスが溶けていくのをただただ観察するだけになっている。
違うんだよ~。
チョコパフェ好きなんだよ~食べ物を粗末にするつもりはないんだよ~。
口の中がさっきから甘いものを食べたがらないんだ。ハニートーストに砂糖とバニラアイスとメープルシロップ乗せみたいなテロを見せつけられているのに、チョコパフェなんて食べられるわけがなかった。
さっきからハマーさんのブラックコーヒーの消費率が早い。
そうだよね……何が悲しくて、上司のラブラブな光景を見せられてるんだ、って感じだよね。
私もだよ。それに私、元カノ!
何が悲しくて、自然消滅扱いされた元彼のイチャラブを見なきゃいけないんだ。
これは何の試練だ……? 乗り越えた先に何がある……?
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