24 / 31
Last Act. もしも君に巡り合わなければ
【望まざる凱旋】
しおりを挟む
あの花火大会から早くも3年が過ぎ
僕たちは大学4年生になろうとしていた。
純玲とは時々SNSでのやり取りがあったものの
あの日から会うことはなかった。
地元に帰ると何だかこれまで積み上げた物が
崩されるような気がした、
純玲に会うことで自分の弱さが
また露呈してしまうのではないか?と
敢えて純玲と距離を置くようになっていた。
そんなこともありバンド活動に専念していると
継続は力なり、なのか
それなりに自分らしさを見い出すことも
出来たように思えた。
純玲もまた翌年の夏から姉に会うために
こちらに来ることはなかったようだ。
それはそれで少し寂しい思いもあったが
次、会う機会があれば
少しだけでも"変わった"と言う部分を
見せたい気持ちが強くなっていた。
もちろんそれがきっかけでどうこう、
なんて期待はしていないが。
人伝にこんな噂を聞いた
純玲は大学1年の夏にアイドルグループの
オーディションを受けて
三次審査まで合格したと言うのに
何故だか本人が最終審査を辞退した、と。
それはちょうど日程的にあの花火大会と
重なっていて
あの日、二人で出掛けたこと
そして時折時計を気にしながら遠くを見る
純玲のことを思い出し
もしかしたら…と思いはしたが
その件について聞くことはしなかった。
しなかった、と言うより出来なかった
仮にそうだったとして何故"僕"だったのか?
考えても答えの出ない案件は
思考を放棄する、僕の悪い癖はまだ治らない。
そして僕はと言えば…
今、地元へ向かうフェリーの中にいる
あんなに没頭していたバンド活動も辞めてしまい
髪の色も黒くしてリクルートスーツに身を包んで
就職活動をするためだ。
僕が関西の学校を選んだ訳…
それは就職してからも音楽を続け
あわよくば…などと大それた夢を抱いていたが
そんな夢は跡形もなく崩れていった、
病弱だった父親が更に鬱病になっていまい
自営業を畳んで入院することになるとの連絡を受け
母親一人ではもう生活を支えきれないと悟った。
家庭の事情にはどうしても逆らえない、と言うわけだ。
だが様子を見るために一度、実家に帰って驚いた
入院していると聞いた父親は家にいて
何一つ悪びれることのない様子で僕を出迎えた。
…騙された
気づいた時は遅かった。
これは僕を地元に就職させようと言う父親の謀略だった
理由はわからないが、父は県外の大学に行くことも
最初は反対していた
だから僕は2年になると学費をバイト代で賄う事にした。
経済的に苦しかった訳ではない、
意味もなく僕を束縛しようとした
父への反抗の気持ちからだった。
おそらく今回の一件も息子を近くに置いて
いざと言う時に面倒を見させよう、と言う
分かりやすく言えば僕の将来よりも
一人でも家族を地元に縛り付けることで
自身の安泰を選んだ、
身勝手な父親のエゴに巻き込まれたと言うことだ。
僕たちは大学4年生になろうとしていた。
純玲とは時々SNSでのやり取りがあったものの
あの日から会うことはなかった。
地元に帰ると何だかこれまで積み上げた物が
崩されるような気がした、
純玲に会うことで自分の弱さが
また露呈してしまうのではないか?と
敢えて純玲と距離を置くようになっていた。
そんなこともありバンド活動に専念していると
継続は力なり、なのか
それなりに自分らしさを見い出すことも
出来たように思えた。
純玲もまた翌年の夏から姉に会うために
こちらに来ることはなかったようだ。
それはそれで少し寂しい思いもあったが
次、会う機会があれば
少しだけでも"変わった"と言う部分を
見せたい気持ちが強くなっていた。
もちろんそれがきっかけでどうこう、
なんて期待はしていないが。
人伝にこんな噂を聞いた
純玲は大学1年の夏にアイドルグループの
オーディションを受けて
三次審査まで合格したと言うのに
何故だか本人が最終審査を辞退した、と。
それはちょうど日程的にあの花火大会と
重なっていて
あの日、二人で出掛けたこと
そして時折時計を気にしながら遠くを見る
純玲のことを思い出し
もしかしたら…と思いはしたが
その件について聞くことはしなかった。
しなかった、と言うより出来なかった
仮にそうだったとして何故"僕"だったのか?
考えても答えの出ない案件は
思考を放棄する、僕の悪い癖はまだ治らない。
そして僕はと言えば…
今、地元へ向かうフェリーの中にいる
あんなに没頭していたバンド活動も辞めてしまい
髪の色も黒くしてリクルートスーツに身を包んで
就職活動をするためだ。
僕が関西の学校を選んだ訳…
それは就職してからも音楽を続け
あわよくば…などと大それた夢を抱いていたが
そんな夢は跡形もなく崩れていった、
病弱だった父親が更に鬱病になっていまい
自営業を畳んで入院することになるとの連絡を受け
母親一人ではもう生活を支えきれないと悟った。
家庭の事情にはどうしても逆らえない、と言うわけだ。
だが様子を見るために一度、実家に帰って驚いた
入院していると聞いた父親は家にいて
何一つ悪びれることのない様子で僕を出迎えた。
…騙された
気づいた時は遅かった。
これは僕を地元に就職させようと言う父親の謀略だった
理由はわからないが、父は県外の大学に行くことも
最初は反対していた
だから僕は2年になると学費をバイト代で賄う事にした。
経済的に苦しかった訳ではない、
意味もなく僕を束縛しようとした
父への反抗の気持ちからだった。
おそらく今回の一件も息子を近くに置いて
いざと言う時に面倒を見させよう、と言う
分かりやすく言えば僕の将来よりも
一人でも家族を地元に縛り付けることで
自身の安泰を選んだ、
身勝手な父親のエゴに巻き込まれたと言うことだ。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる