僕の彼女はアイツの親友

みつ光男

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Act 53. 両想いFinally

【じゃあね!】

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そして美月は一人ではなかった。


「えー!!!!」


4人全員が目を丸くして驚いたのは
言うまでもない。

僕はあの日のあいつのあの言葉を思い出した。

"あの娘はお前の友達か?"

あの切羽詰まった状況での一言の意味は
そしてあの"選択"の意味は…

僕は "友情" や"同胞感"らしきものだと
てっきり思い込んでいたが


・・・そう言うことか

玲二は僕を助けるつもりではなく
美月のことを助けたかったのか?

恋は盲目、とはよく言ったものだ。

どこでどう転ぶかわからないから
恋愛は面白い。

もちろんそれは当人ではなく
周りから見れば、の話だが。

「猿は猿なりに考えてた、ってわけか」

「ふふっ…単純なとこ、タカムラに似てるよね」

「え?あんな猿と一緒にしないでくれよ」


「猿?あの人、申年生まれなんすか?」

「岩田は黙ってて!話がややこしくなるから」


「しかし、煌子、あれだね…美月ってさ」

「ぷっ、そうだよねぇ…」

煌子と由里が顔を見合わせて吹き出す、


美月はいつだって・・・

自分は真面目なくせにタカムラにしても
あのヤンキーくんにしても
悪そうな見た目の人、好きになっちゃうんだね・・・

「ま、美月が幸せなら…」

「うん、それでいいと思うよ」

隣に煌子がいて不謹慎だとは思いながらも
僕は少しだけ美月に対する寂寥感にさいなまれた

「タカムラ…」

「ん?どしたの?」

「泣くよ…そんな目で美月のこと見てたら」

「な、何言ってんだよ!」

そう言って本気で瞳を潤ませた煌子は
何もかもお見通しのようだ、

怒られるのは慣れているが泣かれたら困る。

そんな僕を尻目に

― じゃあね、高村くん!

美月の背中がそう告げたように感じた。
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