26 / 52
Vol. Ⅶ 神の戯れ その1
【decade!】
しおりを挟む
ミヤさんがウインカーを右に点滅させると
スーパー青洋を横目に車は田梨迫町へ向けて走り出した。
「さぁドライブの始まりだよぉー!」
開口一番、おどけた口調でミヤさんは
信号待ちで俺の方を向いて微笑んだ。
か…かわいい
前からずっと思っていることではあるが
年上だろうといくつ歳の差があろうと
そのかわいさには勝てっこない。
「ダメだぁ」
「え?どうしたの、体調悪いとか?」
むしろその逆、元気すぎてどうにかなりそうだ。
実はまだ何歳か知らないんだよな…
今さら聞くのも変だしそもそも女性に年齢聞くなんて…
しばらく沈黙が続いた。
「ん?ショーちゃんどしたの?」
「え…年が何…?」
「ど・し・た・の?って聞いたの」
「あ、あ…」
「そっかあ、あたしが何歳か知りたいんだ?」
「え、いや、別に…そうではなく…」
ミヤさんはしどろもどろになる
俺の様子を楽しむかのように
「ディケイド!」
「へ?」
あまりにも唐突な回答に俺は返す言葉もなかった
「ショーちゃん、今、高3でしょ?」
「うん、そうだけど」
「じゃディケイドだ!やっぱ」
“ディケイド”って和訳したら…
そうか!そう言うことか!
やっぱ女子に直接年齢聞けないもんな
でも…ミヤさんは今日答えてくれた
直接じゃなくても答えてくれたんだ
やっぱりこれは“年の差ファンタジー”だ
実際そんなに年が離れていても
全然ジェネレーションギャップを感じさせない
「ミヤさん…かわいいっす、これが“年の差ファンタジー”ってやつ?」
「ふふ、いくら褒めても何にもあげないよー」
「そう言うとこが…かわいいんすよ」
「やだぁ!大人をからかうもんじゃないの」
「そりゃディケイドですもんね」
「こら!ショーセイ!」
「うわ、フルネームで呼ばれた!」
「これは“呼び捨てファンタジー”」
「そんな曲あったよね」
「あれ?アイドルも聴くの?」
会話が止まらない…
これがあの時快斗が話してた音楽の力、なんだろうな。
と、その時見慣れたシルエットが
俺の視界に飛び込んできた。
信号待ちの横断歩道、間の抜けた表情で
遠くを見ている一人の男子
その姿は紛れもなく快斗だった。
咄嗟に俺はこう言った
「ミヤさん!ちょとクラクション鳴らして」
「え?どしたの?絶対みんなこっち見るよ?」
「軽~く、でいいから」
「クラクションに軽いも重いも無いんだけどな…」
少し遠慮気味にクラクションを押さえる京
ファン!
まるでお昼の休憩時間を告げるサイレンのように
その音は響き渡り
当然ながら信号待ちの快斗にもその音は届き
絵に描いたような動きで
ビクッと身体を揺らしこちらを見た。
「あはは、あいつビックリしてる」
「やだぁ、だから言ったのにー」
しかし快斗が本当に驚いたのはクラクションの音、
だけにではなかったようだ。
ふとこちらに視線を送った快斗は
まず助手席から手を振る俺に驚き
更に運転席で爆笑している京を見た時は
大きく口を開けて俺とミヤさんを交互に指差した。
「やだぁ!ショーちゃんの友達に顔見られたよー」
信号が変わり車が走り出しても
なお快斗はあんぐりと口を開けたまま
驚愕の表情を浮かべていた。
「あの子はショーちゃんの友達?」
「そう、数少ない…ね」
「またまたそんなこと…」
俺はわざと真剣な表情を作り
「ミヤさんのこと、名前は出してないけど色々相談乗ってくれてたんだ」
「そうなんだ…親友なんだね」
「どうだろ?まあ長い付き合いではあるけど」
「で…」
― あたしのことで相談…ってどんなことを?
「え、あ、あのさ、ほら初対面からなかなか再会出来なかったから…さ」
「一目惚れしたスーパーの店員さんにどうしたらまた会えるかな?って聞いたのね、ふふ」
「そ、そんなストレートには」
「またまたぁ!照れちゃって」
「照れてない!」
これはまさかの誘導尋問?
もしかしたらミヤさんも何かきっかけを待っている?
俺がリードして、なんて無理だけど
もしもミヤさんが導いてくれるのなら
それに答えた方がいいのでは?
まだまだ低レベルは俺の恋愛脳は
この時点で既にショートしそうになっていた、
長い長い1日はまだ始まったばかりだと言うのに。
スーパー青洋を横目に車は田梨迫町へ向けて走り出した。
「さぁドライブの始まりだよぉー!」
開口一番、おどけた口調でミヤさんは
信号待ちで俺の方を向いて微笑んだ。
か…かわいい
前からずっと思っていることではあるが
年上だろうといくつ歳の差があろうと
そのかわいさには勝てっこない。
「ダメだぁ」
「え?どうしたの、体調悪いとか?」
むしろその逆、元気すぎてどうにかなりそうだ。
実はまだ何歳か知らないんだよな…
今さら聞くのも変だしそもそも女性に年齢聞くなんて…
しばらく沈黙が続いた。
「ん?ショーちゃんどしたの?」
「え…年が何…?」
「ど・し・た・の?って聞いたの」
「あ、あ…」
「そっかあ、あたしが何歳か知りたいんだ?」
「え、いや、別に…そうではなく…」
ミヤさんはしどろもどろになる
俺の様子を楽しむかのように
「ディケイド!」
「へ?」
あまりにも唐突な回答に俺は返す言葉もなかった
「ショーちゃん、今、高3でしょ?」
「うん、そうだけど」
「じゃディケイドだ!やっぱ」
“ディケイド”って和訳したら…
そうか!そう言うことか!
やっぱ女子に直接年齢聞けないもんな
でも…ミヤさんは今日答えてくれた
直接じゃなくても答えてくれたんだ
やっぱりこれは“年の差ファンタジー”だ
実際そんなに年が離れていても
全然ジェネレーションギャップを感じさせない
「ミヤさん…かわいいっす、これが“年の差ファンタジー”ってやつ?」
「ふふ、いくら褒めても何にもあげないよー」
「そう言うとこが…かわいいんすよ」
「やだぁ!大人をからかうもんじゃないの」
「そりゃディケイドですもんね」
「こら!ショーセイ!」
「うわ、フルネームで呼ばれた!」
「これは“呼び捨てファンタジー”」
「そんな曲あったよね」
「あれ?アイドルも聴くの?」
会話が止まらない…
これがあの時快斗が話してた音楽の力、なんだろうな。
と、その時見慣れたシルエットが
俺の視界に飛び込んできた。
信号待ちの横断歩道、間の抜けた表情で
遠くを見ている一人の男子
その姿は紛れもなく快斗だった。
咄嗟に俺はこう言った
「ミヤさん!ちょとクラクション鳴らして」
「え?どしたの?絶対みんなこっち見るよ?」
「軽~く、でいいから」
「クラクションに軽いも重いも無いんだけどな…」
少し遠慮気味にクラクションを押さえる京
ファン!
まるでお昼の休憩時間を告げるサイレンのように
その音は響き渡り
当然ながら信号待ちの快斗にもその音は届き
絵に描いたような動きで
ビクッと身体を揺らしこちらを見た。
「あはは、あいつビックリしてる」
「やだぁ、だから言ったのにー」
しかし快斗が本当に驚いたのはクラクションの音、
だけにではなかったようだ。
ふとこちらに視線を送った快斗は
まず助手席から手を振る俺に驚き
更に運転席で爆笑している京を見た時は
大きく口を開けて俺とミヤさんを交互に指差した。
「やだぁ!ショーちゃんの友達に顔見られたよー」
信号が変わり車が走り出しても
なお快斗はあんぐりと口を開けたまま
驚愕の表情を浮かべていた。
「あの子はショーちゃんの友達?」
「そう、数少ない…ね」
「またまたそんなこと…」
俺はわざと真剣な表情を作り
「ミヤさんのこと、名前は出してないけど色々相談乗ってくれてたんだ」
「そうなんだ…親友なんだね」
「どうだろ?まあ長い付き合いではあるけど」
「で…」
― あたしのことで相談…ってどんなことを?
「え、あ、あのさ、ほら初対面からなかなか再会出来なかったから…さ」
「一目惚れしたスーパーの店員さんにどうしたらまた会えるかな?って聞いたのね、ふふ」
「そ、そんなストレートには」
「またまたぁ!照れちゃって」
「照れてない!」
これはまさかの誘導尋問?
もしかしたらミヤさんも何かきっかけを待っている?
俺がリードして、なんて無理だけど
もしもミヤさんが導いてくれるのなら
それに答えた方がいいのでは?
まだまだ低レベルは俺の恋愛脳は
この時点で既にショートしそうになっていた、
長い長い1日はまだ始まったばかりだと言うのに。
1
あなたにおすすめの小説
僕《わたし》は誰でしょう
紫音みけ🐾新刊2月中旬発売!
青春
※第7回ライト文芸大賞にて奨励賞を受賞しました。応援してくださった皆様、ありがとうございました。
【あらすじ】
交通事故の後遺症で記憶喪失になってしまった女子高生・比良坂すずは、自分が女であることに違和感を抱く。
「自分はもともと男ではなかったか?」
事故後から男性寄りの思考になり、周囲とのギャップに悩む彼女は、次第に身に覚えのないはずの記憶を思い出し始める。まるで別人のものとしか思えないその記憶は、一体どこから来たのだろうか。
見知らぬ思い出をめぐる青春SF。
※表紙イラスト=ミカスケ様
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
その出会い、運命につき。
あさの紅茶
恋愛
背が高いことがコンプレックスの平野つばさが働く薬局に、つばさよりも背の高い胡桃洋平がやってきた。かっこよかったなと思っていたところ、雨の日にまさかの再会。そしてご飯を食べに行くことに。知れば知るほど彼を好きになってしまうつばさ。そんなある日、洋平と背の低い可愛らしい女性が歩いているところを偶然目撃。しかもその女性の名字も“胡桃”だった。つばさの恋はまさか不倫?!悩むつばさに洋平から次のお誘いが……。
石榴(ざくろ)の月~愛され求められ奪われて~
めぐみ
歴史・時代
お民は江戸は町外れ徳平店(とくべいだな)に夫源治と二人暮らし。
源治はお民より年下で、お民は再婚である。前の亭主との間には一人息子がいたが、川に落ちて夭折してしまった。その後、どれだけ望んでも、子どもは授からなかった。
長屋暮らしは慎ましいものだが、お民は夫に愛されて、女としても満ち足りた日々を過ごしている。
そんなある日、徳平店が近々、取り壊されるという話が持ちあがる。徳平店の土地をもっているのは大身旗本の石澤嘉門(いしざわかもん)だ。その嘉門、実はお民をふとしたことから見初め、お民を期間限定の側室として差し出すなら、長屋取り壊しの話も考え直しても良いという。
明らかにお民を手に入れんがための策略、しかし、お民は長屋に住む皆のことを考えて、殿様の取引に応じるのだった。
〝行くな!〟と懸命に止める夫に哀しく微笑み、〝約束の1年が過ぎたから、きっとお前さんの元に帰ってくるよ〟と残して―。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
お前が欲しくて堪らない〜年下御曹司との政略結婚
ラヴ KAZU
恋愛
忌まわしい過去から抜けられず、恋愛に臆病になっているアラフォー葉村美鈴。
五歳の時の初恋相手との結婚を願っている若き御曹司戸倉慶。
ある日美鈴の父親の会社の借金を支払う代わりに美鈴との政略結婚を申し出た慶。
年下御曹司との政略結婚に幸せを感じることが出来ず、諦めていたが、信じられない慶の愛情に困惑する美鈴。
慶に惹かれる気持ちと過去のトラウマから男性を拒否してしまう身体。
二人の恋の行方は……
短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜
美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる