6 / 9
大賢者、イケメンに出会う1
しおりを挟むすやすやと気持ちよく寝ていると、体が揺さぶられる感触がした。
「お…………起き…………!」
……???
何か、声が聞こえる……?
「おい、起き……って……!」
うん……?なんだ?
「おい!早く起きろって言ってんだろーがァァァァ!」
「うぉぉぉぉぉ!?」
「おわっ!急に起き上がるなよ!」
耳元で鳴り響いた大音量にびっくりして跳ね起きると、目の前には俺の知らない青年が。しかもめちゃめちゃイケメン。
え、俺にこんな知り合いいたっけ……?って、記憶喪失だからいても知らないか……じゃなかった、俺100年間棺の中でおねんねしてたから友達なんて居ないか………………
あれ?今よーく考えてみたら、俺ってば友達ゼロ人のぼっちじゃね?嘘だろー!?
「おい!何1人で顔赤くしたり青くしたりしてんだ。俺が話しかけてるんだよ、聞け!」
「あ、そうでしたすみませんすみません。」
友達ゼロ人という事実がショックすぎて、うっかり目の前のイケメン青年の存在を忘れちまってたよ。
「なんだその適当な返事は……。」
あああやばい、イケメン青年の顔がどんどん鬼みたいに歪んでいく……めちゃめちゃ怒らせちゃってるわ……。
「すみません…………あ、あの、それで、俺になにか用ですかね……?」
何故だかイケメンをすごい怒らせてしまっているが、安眠妨害された俺も少しイライラしている。これでしょーもないこと言ってきたら怒っちまうんだからな!と、心の中でぶつくさ言いながらも耳を貸す。
「ああ、そうだった。お前に言うことがあって俺はここへ来たんだ。
率直に聞くがお前──────大賢者アルバートの居場所を知ってるな?」
え?
「し、しし、知りません!」
ピシ、と固まりそうになるのを必死に抑え、平静を装って答える。
いやいやいやいや、俺じゃん!それ、俺だよ!?普通本人に聞く!?焦って知らないって答えちゃったよ…………って、
いやいや、落ち着け、俺!俺は今姿変える魔道具をつけてるんだった!そりゃあ本人ってわかんないだろうな!
いや~でも、焦って俺です!とか言っちゃわなくてよかったよ!もし、俺が本当に大賢者アルバートだってバレたらゾンビだーとか言われて殺されちゃうかもしれないからね!
いや、でもそれにしても俺の居場所を探してるって、この人一体誰なんだ?何が目的で?
てか普通、死んだはずの俺を探すやつなんて居ないよな……?
俺が生き返ってるって、バレてたりしないよな……?
そこまで考えて、ピンとくる。
(あ、そういえば昨日そのまんまの姿で街中あるいてたわ!ちょっとの間だったけど、その中に俺の事を知ってる人がいたとか!?それで、生き返ってるってバレちゃったのか!?)
や、やばい……!何とかしてこの人の追求をかわさなきゃ……!
と、焦るも待てよ、と冷静になる。
(いや、普通に考えていくら大賢者アルバートである俺を町で見たからって、本人だなんて思うやついる?常識的に考えて誰も俺が生き返ったなんて思考には至らないだろうし…………ってことはあれか!)
俺はついに、ひとつの結論にたどり着いた。
(大賢者アルバートっていう俺と同じ名前の大賢者さんがきっといるんだ!それでその人を探してると。うん、そういうことだろきっと!)
冷静に考えて、活躍(?)したの100年前だしとっくに死んだはずの俺を探してるやつなんているわけないよな~!
あ~焦った!
「そうか……知らない、とシラを切るか………。ふん、まあいい。とぼけても無駄だからな?嘘をついたこと、一生後悔するんだな。」
ニヤリ、と不敵な笑みを向けるイケメン。
え?な、なんで俺が嘘ついてるみたいな状況になってるんすか!?まあ、俺も大賢者アルバートだから嘘ついちゃったけど!いや、でも俺と同じ名前の大賢者アルバートさんなんて知らないし!いるなら出てこいよ俺と同じ名前の大賢者アルバートぉぉぉ!!!
このイケメン怖いよぉぉぉ!!!!!誰か変わってくれぇ~~!
★★★
??side
目の前で焦った顔をしながら嘘をついている男を睨む。
──────ああ、やはりこいつが黒で間違いないな。
心の中で、そう確信する。
俺は今日の朝、この町で会話をしている者から〝大賢者アルバート〟の言葉が聞こえてきて、棺からいなくなってしまったアルバートの居場所を知っているのかもしれないと、その者達に会話内容を聞いた。
すると、驚いたことに昨日、この町の中を歩く大賢者アルバートにそっくりな人間を見たというのだ。
そこで、確信した。ああ、それは棺からいなくなってしまった本物のアルバートで間違いない、と。きっと、ネクロマンサーに操られて動いているのだろうと。
しかし、馬鹿なもんだ。死体を盗んでおいて、町を大っぴらに歩かせるなんて。アルバートを奪ったネクロマンサーはさほどバカに違いない。
さらにその者に詳しく話を聞くと、アルバート似の男は夜遅くに森の中に消えていったらしい。
ならば、森の中にアルバートを隠し持っているネクロマンサーがいるはずだ。
そう頭の中で結論付け、森をしばらく歩いているとすやすやと眠っている、いかにも怪しそうな男がいた。しかもこの男、首に変身魔法が使える魔道具を身につけている。
やはり、怪しい。顔を変えながら眠るなんて、怪しすぎる。何かを隠しているはずだ。
今すぐにでもこの男の首の魔道具を剥ぎ取ってやりたいところだが、魔道具は装着している本人ではないと取り外しができないようになっているのだ。ああ、腹が立つ。
しかも、こいつが黒だと確信した理由はそれだけじゃない─────こいつからは、アルバートの魔力の匂いがするのだ。
常人よりも鼻のきく俺が、魔力の匂いをかぎ間違えることはないと言ってもいいくらいだろう。
何時間も一緒にくっついていなければそうそう、魔力の匂いが他人にうつることは無い。
そういうわけでこの男はもはや、アルバートと直前まで一緒にいた、と公言しているようなものだ。
それなのに焦ったような顔をして嘘をつくこの男。
これらのことを繋ぎ合わせると、確実にコイツは黒。それなのに、それなのに……。全く、腹が立って仕方がない。
ただ、ひとつ不審な点はアルバートの姿が近くに見当たらないことだ。
どこかに隠し持っているのだろうか……?
まあいい。この男をくまなく調べれば、そんなものすぐに分かる。
1日中張り付いてやれば、いつかボロが出るはずだ。
卑劣なネクロマンサーめ。今すぐにその正体を見破ってやるからな!
(大賢者アルバートはもちろん2人もいないです。アルバートくんの勘違いです。ちょっとバカなアルバートくんです。)
20
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*本編完結しました
従者は知らない間に外堀を埋められていた
SEKISUI
BL
新作ゲーム胸にルンルン気分で家に帰る途中事故にあってそのゲームの中転生してしまったOL
転生先は悪役令息の従者でした
でも内容は宣伝で流れたプロモーション程度しか知りません
だから知らんけど精神で人生歩みます
魔王を倒した勇者の凱旋に、親友の俺だけが行かなかった理由
スノウマン(ユッキー)
BL
スラム育ちの少年二人は、15歳になり神の祝福でスキルを得た事で道をたがえる。彼らはやがて青年となり、片方は魔王討伐に旅立つ勇者として華々しい活躍をし、もう片方はただ彼の帰還を待つ相変わらずスラム暮らしの存在となる。
これは何も持たない青年がただ勇者の帰りを待つ日常を描いた作品です。
無自覚両片想いの勇者×親友。
読了後、もう一度だけ読み直して頂けると何か見える世界が変わるかもしれません。
【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。
桜月夜
BL
前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。
思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
コンビニごと異世界転生したフリーター、魔法学園で今日もみんなに愛されます
ひと息
BL
コンビニで働く渚は、ある日バイト中に奇妙なめまいに襲われる。
睡眠不足か?そう思い仕事を続けていると、さらに奇妙なことに、品出しを終えたはずの唐揚げ弁当が増えているのである。
驚いた渚は慌ててコンビニの外へ駆け出すと、そこはなんと異世界の魔法学園だった!
そしてコンビニごと異世界へ転生してしまった渚は、知らぬ間に魔法学園のコンビニ店員として働くことになってしまい・・・
フリーター男子は今日もイケメンたちに甘やかされ、異世界でもバイト三昧の日々です!
悪役令息に転生した俺は推しの為に舞台から退場する
スノウマン(ユッキー)
BL
前世の記憶を思い出したアレクシスは悪役令息に転生したことに気づく。このままでは推しである義弟ノアが世界を救った後も幸せになれない未来を迎えてしまう。それを回避する為に、俺は舞台から退場することを選んだ。全てを燃やし尽くす事で。
そんな俺の行動によってノアが俺に執着することになるとも知らずに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる