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大賢者、イケメンに出会う2
しおりを挟む「あ~~もうっ!いつまでつきまとうんだこのストーカーめ!!!!」
「お前が正体をあらわすまでだといってるじゃないか!早く正体あらわせよ!!!!クソ!」
あのとんでもないイケメンに森の中でこんにちはしてからはや1週間。
俺はあの日から、何処へ行くにも何もするにもずーっと、もう、ずーーーーーーーーーーっと!!あのイケメンにつきまとわれているのだ!なんて迷惑なやつ!
しかもあのイケメン、どこのワガママ王子なんですかー!?ってくらい俺様なんだよ!
今日だって魔法の使えない俺が一日中、あんまり金にならない薬草集めをしてそれはもう、腰を痛めながらひたすら草を引っこ抜いて頑張って稼いだお金で!あいつは高級串焼きをなんと3本も買いやがったんだよ!クソ!しかも謝りもしないの。なんてこったい。
しかも今も絶賛宿までくっついてきてるからね、イケメンくん。ほら、そこのソファを我が物顔で使ってらっしゃるのがイケメンくんですよ。はぁ。
「おい、そういえばお前飯食わねえのか?」
「はぁァァァァ?」
急に話しかけてきたと思えばそれ!?なんなんだこいつ!!お前が俺の金で高級串焼きを3本も食うから俺の飯代はもうないんだよっっっ!お前のせいだぞ!!!!
あれれ、もしかして俺、金持ちだとか思われてたのか?
あーなんかも~イライラしてきた!ここはビシッと言ってやろ!
「あのさぁ、そろそろ俺につきまとうのやめてくんないかな!?俺の金使って美味しいもん食べようとするのもやめて欲しいし!厠に行く時でさえついてくるよね君!ホントなんなの!?控えめに言ってキモイよ!?変質者だよ!?」
「ああ?俺がキモイだと!?!?この俺に向かって何言ってんだお前!!!てか俺も好きでお前のあとつけてるわけじゃねーかんな!?お前が早くネクロ………いや、とにかくお前の正体を見破るまでだって言ってんだろ!?」
「はぁぁぁぁ~。あーもうわかったから……でも金だけは荒使いするなよっっ!」
「は?お前どうせいくらでも金あんだろ?」
「ねーからこれだけ言ってんだろーがァァァァァ!!!!!!」
「はぁっ!?ねーのかよぉぉぉぉ!?!?」
やっぱ俺勘違いされてたぁぁぁあぁ~
ソファでびっくりして固まっているイケメンを見ながら俺は説明してやる。
「クソ、俺は魔法が使えないんだよっ!だからギルドの依頼も1番レベルの低いEランクしか受けれないし。俺、一日中草引っこ抜くしか仕事ないんだよ……。」
「は……?嘘言ってんじゃねーよ!魔法が使えない?馬鹿言え!お前なぁ!お前がネクロマンサーだってことくらいお見通しなんだぞ!?」
「ね、ネクロマンサー……?」
「チッ、言っちまった。」
イライラしながらのイケメンの舌打ち、めっちゃ怖……。いや、てかネクロマンサーって、あの死体を操るっていうネクロマンサー……?
俺が?何を勘違いしてるんだこの男は!俺がネクロマンサーだなんて、そんなわけあるか!
「まあいい。とりあえずお前、風呂入る時言えよ。ついてくから。」
「あっ、はい……。」
そう言うと、イケメンはまたソファで本を読み出してしまった。
な、なんか自分勝手な男だなぁ……。
その後、風呂にまでついてこられるのが嫌でこそ~っと入りに行こうとしたら即バレして余計にイケメンの機嫌を悪くしてしまったり、風呂の中にまで入ってこようとするイケメンを本気で押しとどめたりなど1悶着あったが、無事に一日を終えた。というか、今から就寝。
ぎゅうぎゅうになりながら1人用のベッドに2人で入り込んで、地味に押し合いをしながら布団の中で考える。
あれ、このイケメン、最初なんか大賢者アルバートを探してるとか言ってなかったか……?その俺と同じ名前のアルバートさん探さくていいのかな……?うーむ気になる。よし、ちょっと聞いてみよう!
「あのさ、そういえば大賢者アルバートを探してる、とか言ってなかった?もう探すのはいいのか?」
「あ?まだすっとぼけるつもりかお前。」
じろりと睨まれる。
「いや、だからほんとに知らないんだって。そのアルバートさん。」
俺、100年間ずっと棺の中だったから絶対知り合いはいないはずなんだよね。だからきっとこのイケメン、俺をどこかの誰かさんと勘違いしてると思うんだよなぁ……。
「はぁ……お前ほんとにこの国……いや、この世界の人間か?あの大賢者アルバートサマだぞ?知らない奴なんてもはやこの世界の人間じゃないだろ。」
はは、と笑いながらチラ、とこちらを見てくる。カチリと目が合った。
何故だかその瞬間、胸がドキリとした。こちらを見つめてくるイケメンは、酷く辛そうに顔を歪めている。
──────あれ、この表情、前もどこかで……
ズキ、と頭が鳴った。
―――
「おい、どうしたんだ、それ……。」
目の前で、男が信じられないものを見たような顔をしてこちらを凝視してくる。……何を見ている?
「何がだ?」
「その、心臓の位置にある酷い傷は……?」
ああ、なんだこれのことか。
「気にしないでくれ。別に今は痛まない。」
そう淡々と告げると、目の前の男は辛そうに顔を歪めた。
…………?
なんで、どうしてお前がそんな顔をするんだ……?たかが人の傷を見ただけでそんなにも心を痛めるなんて……なんて、綺麗で、、
―――
「はあっ、はっ、はっ、!、」
い、今のは…………記憶?昔の記憶か?
俺と会話していた男、俺が死ぬ直前に、手を伸ばしていた男と同一人物だったな……。
しかも今見た記憶の中の男の表情、今目の前にいるイケメンの表情とそっくりだった…………。
顔は全然違うのに、どこか、似て……いや、さすがに気のせいか。
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