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大賢者、スライムと格闘する
しおりを挟む次の日、いつものようにイケメンと共にギルドへ行ってEランクの依頼を探していた、のだが……
「い、Eランクの依頼がない、だと……!?」
あるのは、Dランク以上の依頼のみだった。
基本、冒険者はD、Eランクの依頼は誰でも受けることが出来るので、Eランクがなかった場合、普通にDランク依頼を受ければいいのだが、その依頼内容がちょっと厳しい。俺的に。
Dランクの中でも1番簡単そうなのが、
〝スライムの素材集め〟
である。
スライムを倒して、出てきた素材を集める、という依頼だ。
そして金に困っている俺は最低限の服と、短剣1本が基本装備。スライムくらいなら倒せそうではあるけど………。
ただ、問題はここだ。魔王を倒してから、魔物の力が弱まってダンジョンとかの洞窟にしか魔物は基本現れなくなったらしい。と、いうことは洞窟に入らないとスライムは倒せないわけで。そしてその洞窟には、うじゃうじゃと色んな魔物がいるのだそうだ。(ギルドで話していた冒険者情報)
そう考えると、今の俺の装備で洞窟に入るのはだいぶやばそうじゃないか……!?もし、たまたまバカ強い魔物とかに遭遇しちゃったら一発アウト、2度目の死へと一直線☆なのでは……!?
ぐぬぬ……でも、何かしら依頼を受けないと多分、いや、確実に今日は野宿だ。そして飯もほぼ抜き。
それは横にいるイケメンが許さないんだよなぁ、多分……。
どうしよう……。
「おい、何悩んでるんだよ。早く依頼受ければいいだろ。」
「もー!イケメンはちょっと黙ってて!今考えてるんだから!」
1歩間違えれば死の、ドキドキ☆スライム退治をするか、宿に泊まれず機嫌の悪いイケメンの小言を1晩中聞き続ける、地獄の時間を過ごすか、の二択だろ……?
それは、もう、こっちしかないだろ!
「今日は依頼受けるのやめよーぜ!今夜は野宿だ野宿だー!!!!」
「ぎゃあああああ~!!!!」
「おいおい、スライムごときでうるさいヤツだな。ははは!」
「ちょ、笑ってないでこのスライム剥がしてよ!くっついて剥がれないんだけどぉぉぉ!」
そう、何故か俺は今、ダンジョンの中でスライムと格闘している。
「うぎゃああああ!ちょ、まてよ!ふ、服がァ!俺の大切な服が溶けてるんですけどぉぉー!?!?!」
「あははははは!ざまーみろネクロマンサーめ!ははは!」
「笑ってないで何とかしろ、コノヤローー!!!!無理やり俺をダンジョンまで連れてきたの君だよねぇ!?」
「ははははは!!!」
クソ、これってまさかこのまま体まで溶かされちゃったりとか、しない、よね……?え?大丈夫だよね?
口ではコノヤローとか、バカヤローとか、色々言ってるけど、実際、めちゃめちゃ怖い。このイケメン、俺のこと簡単に見捨てそうだしね!?てかもう、見捨てられてるのかなこれ!?
だんだんと、怖くなってきて涙が目にたまる。どうにかしてスライムを引き剥がしたいんだけど、ツルツル滑って全然上手くいかない。
なんで、なんで、ヤダ、死にたくない!
「助けて……」
そう言った瞬間、イケメンの笑い声がピタッと止まった。
そして、俺と目が合ったイケメンの顔が、すごい真っ赤っかになった。
「ライト」
そう、イケメンが呟いた瞬間、僕に張り付いていたスライムが弾けるように消えた。
それを見届けた瞬間、ほっとして、腰が抜けたのだろう、ペちゃりとその場に座り込む。
「お、おい、大丈夫か?……いや、ほんとに、魔法が使えないとは思わなくてだな、その、ええと、」
「う、うわぁぁぁぁ~ん!!!!!」
そして次の瞬間、俺はイケメンに抱きついていた。
「おわっ!?」
「ばぁぁぁか!!!もっと!ぐすっ、早く助けろよぉっ!!!!コノヤロー!!!!うわぁぁぁん!」
ぽかぽかと、イケメンの胸を叩く。涙がボロボロこぼれて止まらない。
「ぐすっ、謝れ!このやろぉぉ!」
キッと目の前のイケメンを睨みつける。すると、イケメンの顔はもっと真っ赤っかの真っ赤っかになって、トマトみたいな顔をしてしばらく黙りこくったあと、急に俺のおでこにチュッとキスをしてきた。
「………。」
「………。」
「………はぁっっっ!?!?!?何き、きき、キスなんてしてんだよ!!!!このへんたーーーい!!!!!!!」
ばシィ!と俺がイケメンの頬をはたいたのは、言うまでもない。
結局その後、イケメンが倒した数匹分のスライムの素材をギルドに届けて金を貰い、そのお金で俺の溶けた服を買って金が尽き、結局野宿になった。
てか、このイケメン、身なりがいいのになんで宿代すら持ってないんだろ?宿だっていつも俺の金で泊まってたし。
さてはニートか?ニートなのか?
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