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3 激闘の末
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息を大きく吐き、一つ深呼吸をすると疲れが全身から吹き出てきたような感覚に襲われる。さっきまで命のやり取りをしていたのだ、無理もないことだと我ながら思った。
俺はその場に腰を下ろし寝転がった。
「つ、疲れた……」
そんな俺の横には、俺が初めて自分の意思で殺した『敵』がその身を横たわらせていた。
その身体は俺とは違いもう息をしていない。当然だ、俺がコイツの命を奪ったのだから。だから、先程のように襲ってくることはもうないだろう。
*
さて、そろそろ柔らかい草原の上に寝転がってたおかげで疲れも少し和らいだ。俺は身体を起こし、はたと気付く。
「あっ、そういえば女の子は!?」
バッ、と女の子がいるはずの場所へと顔を向ける。すると、未だに痛みで動けずにいる女の子の姿が確認できる。俺は慌てて女の子のもとに駆けつけた。
「お~い大丈夫かい?」
「は、はい、ありがとうございますっ」
女の子は突然声をかけられたことに驚いたのか、若干声が上ずっていた。
「怪我は平気かい?」
「は、はいっだいじょうぶ、ですっ」
「そっか、なら良か……、って良くないな」
「あ、あのっ、見捨てないでくれてありがとう、ですっ!」
「ははは、見捨てるなんてあり得ないよ」
(そうだ、あり得ない…あり得ないことだ、そんなことは絶対に……っだけど俺は………)
「あの…?」
俺が突然黙ってしまったことに不安を感じたのだろうか。女の子は小さく愛らしい藍色の瞳をクリクリとさせて、こちらを心配そうに伺っている。
「あ、ああごめんね、なんでもないんだ。と、それよりも、とりあえず安全な場所に移動しようか」
「あ、は、はいそうですね、でもわたし……」
悲しそうな目で自らの腫れてしまった華奢な足を見つめる女の子。そんな様子を見て察した俺は女の子にこんな声をかけた。
「良ければ俺が君を運ぼうか?」
「え、ええ!? でもそんなこと…申し訳ないですし、その……(はずかしいです…)」
「いやいや、流石にそんな痛々しい足で歩かせたらこちらが申し訳ないよ。どうしても嫌なら仕方ないけど……」
(頼むっ、運んでくださいって言ってくれ! マジでそんな痛そうに歩く姿とか見たくねぇ!)
俺の祈りははたして通じたのだろうか。はたして女の子は蚊の鳴くような声で呟く様にこちらに意思を告げる。
「じゃあ、あの、よろしくお願いします、です……」
「ん、よしきた! じゃあほら、乗って!」
女の子にくるりと背を向けその場にしゃがむ。
「は、はい、じゃあその、しつれいします……」
おずおずと女の子は俺の肩に腕をかけ、落ちない様に己の身体を固定させるためギュッと力を入れる。
「よし、じゃあ立つよ」
「は、はいっ」
宣言通りにゆっくりと立ち上がる。それと同時に俺の上半身に女の子特有の柔らかな感触が伝わっていく。
(うはぁ、やわらけぇ~! 女の子の体って小さくてもなんか、こう女の子なんだな…)
小さな身体を大事に運ぶ。それは、思わず父親だか母親だかになった気分にしてくれる。
(と、余計なことを考えるのは程々にしないと)
「そういえばどこに向かったら良いんだ?」
「あ、あのっ、この先にわたしのお家がある村があるんです、けど」
「ん? それならそこに行こっか。他にいくあてもないし。じゃあ案内してくれる?」
後ろに首を捻り、告げる。途端にその女の子は急にあわあわしだした。
「ああああのあのあの、はい分かりましたですっ!」
「うん、よろしくね」
(かわええなぁ、ほんと)
女の子のその様を見て思わずそんなことを思う。それと同時に、これはさっき頑張った自分へのご褒美なのかもなぁ、と思った。
俺はその場に腰を下ろし寝転がった。
「つ、疲れた……」
そんな俺の横には、俺が初めて自分の意思で殺した『敵』がその身を横たわらせていた。
その身体は俺とは違いもう息をしていない。当然だ、俺がコイツの命を奪ったのだから。だから、先程のように襲ってくることはもうないだろう。
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さて、そろそろ柔らかい草原の上に寝転がってたおかげで疲れも少し和らいだ。俺は身体を起こし、はたと気付く。
「あっ、そういえば女の子は!?」
バッ、と女の子がいるはずの場所へと顔を向ける。すると、未だに痛みで動けずにいる女の子の姿が確認できる。俺は慌てて女の子のもとに駆けつけた。
「お~い大丈夫かい?」
「は、はい、ありがとうございますっ」
女の子は突然声をかけられたことに驚いたのか、若干声が上ずっていた。
「怪我は平気かい?」
「は、はいっだいじょうぶ、ですっ」
「そっか、なら良か……、って良くないな」
「あ、あのっ、見捨てないでくれてありがとう、ですっ!」
「ははは、見捨てるなんてあり得ないよ」
(そうだ、あり得ない…あり得ないことだ、そんなことは絶対に……っだけど俺は………)
「あの…?」
俺が突然黙ってしまったことに不安を感じたのだろうか。女の子は小さく愛らしい藍色の瞳をクリクリとさせて、こちらを心配そうに伺っている。
「あ、ああごめんね、なんでもないんだ。と、それよりも、とりあえず安全な場所に移動しようか」
「あ、は、はいそうですね、でもわたし……」
悲しそうな目で自らの腫れてしまった華奢な足を見つめる女の子。そんな様子を見て察した俺は女の子にこんな声をかけた。
「良ければ俺が君を運ぼうか?」
「え、ええ!? でもそんなこと…申し訳ないですし、その……(はずかしいです…)」
「いやいや、流石にそんな痛々しい足で歩かせたらこちらが申し訳ないよ。どうしても嫌なら仕方ないけど……」
(頼むっ、運んでくださいって言ってくれ! マジでそんな痛そうに歩く姿とか見たくねぇ!)
俺の祈りははたして通じたのだろうか。はたして女の子は蚊の鳴くような声で呟く様にこちらに意思を告げる。
「じゃあ、あの、よろしくお願いします、です……」
「ん、よしきた! じゃあほら、乗って!」
女の子にくるりと背を向けその場にしゃがむ。
「は、はい、じゃあその、しつれいします……」
おずおずと女の子は俺の肩に腕をかけ、落ちない様に己の身体を固定させるためギュッと力を入れる。
「よし、じゃあ立つよ」
「は、はいっ」
宣言通りにゆっくりと立ち上がる。それと同時に俺の上半身に女の子特有の柔らかな感触が伝わっていく。
(うはぁ、やわらけぇ~! 女の子の体って小さくてもなんか、こう女の子なんだな…)
小さな身体を大事に運ぶ。それは、思わず父親だか母親だかになった気分にしてくれる。
(と、余計なことを考えるのは程々にしないと)
「そういえばどこに向かったら良いんだ?」
「あ、あのっ、この先にわたしのお家がある村があるんです、けど」
「ん? それならそこに行こっか。他にいくあてもないし。じゃあ案内してくれる?」
後ろに首を捻り、告げる。途端にその女の子は急にあわあわしだした。
「ああああのあのあの、はい分かりましたですっ!」
「うん、よろしくね」
(かわええなぁ、ほんと)
女の子のその様を見て思わずそんなことを思う。それと同時に、これはさっき頑張った自分へのご褒美なのかもなぁ、と思った。
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