拳の剣聖

シンカイ

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10 難しいなんていう次元じゃねぇ

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 さて、暴走した後の顛末をアーリィから聞いた後、俺は流石にそれはないだろう、と思い今度は単身村長の家に再び挨拶に向かって行った。
 勿論今度はリラもアーリィもいないので少し不安だったが。
 俺は村長に今度はきちんと挨拶を済ませ、村長の家を後にしようとすると、声が掛かる。

「ん? お前さん今から外に向かうのかい?」
「あ、はい。ちょっと時間も惜しいので今から教わった場所に行こうかと思います」

 村長はふむ、と少しの思考の後

「少し待っておれ」

 と言うなりくるりと背を向けどこかに行ってしまった。

(この展開は……何かをくれたりするパターンか!?)

 どうかそのパターンであって欲しいと思いつつ、村長が戻ってくるのを待つ。
 数分後、予想通り村長は袋を提げて戻ってきた。
 期待が表に出ないようにして村長に聞いてみる。

「村長さん、それは一体?」
「ん、これかい?」

 村長はピクリと反応し、徐に袋を丁度俺に見えやすいように顔の前に掲げると、急に神妙な顔つきになり話し始める。

「これはな……」

 ゴクリ。思わず喉がなる。

(もしかして貴重な何かをくれるんじゃ……!?)

 だが。
 ゴソゴソと袋から村長が取り出したものを見て、俺は肩を落とすことになる。

「ほれ、採集道具じゃ」

 ポン、とその代物が俺の手に握らされる。

(ん、まぁ現実はこんなもんだよな~)

 だが何故に採集キットを渡されるのか。俺が手に持っているものを見つめ不思議そうに採集キットと村長の顔を見比べていると、こちらの疑問を汲み取ったのか説明してくれる。

 大まかに説明すると、まずこの村はここ数日間魔物からの襲撃が増加しているようだ。今までは本当に稀に魔物が村人を襲うくらいだったそうだ。おかげで日に日に負傷者が増え、薬草の数が足りないらしい。その為大人と子供含め薬草採取に駆り出されているようだ。リラが村の外に出ていたのも同じ理由らしい。

 説明を受け納得した俺は薬草の採取を手伝うことにした。
 村長は俺に出した答えを聞いて喜び、採集キットの他に革のグローブと年季の入ったショートソードをくれた。

「わぁ、ありがとう村長さん! お礼に絶対沢山薬草取ってくるね!」
「うむ、期待して待っておるよ。気を付けて行っておいで」
「はい!」

 結果的に話し込んでしまったものの十分に有意義な時間を過ごせたと思う。
 俺は村長の家を後にすると、一目散に村の入り口へと向かった。


 俺はようやく目的地のスタット草原にたどり着いた。

(リラってばマジでしつこ過ぎでしょ……)

 俺がこんなことを思うにもきちんと理由がある。
 俺は村から出る際偶然にもアーガスという青年と一緒にいたリラに、バッタリと出くわしてしまった。
 因みに偶然というのはこちらの勘違いで、リラはアーガスを引き連れながら延々と俺のカッコよさとやらを聞かせながら、俺を探し歩いていたようだ。
 リラ曰く、闇雲に歩き回っていたのではなく『気配を追っていた』のだそうだ。あの時の怖気は一生忘れられそうにもない。
 話が長くなってしまったが、要するに村を出る前に一悶着あったのだ。
 俺は見晴らしの良さげな場所に腰を下ろし、
 
「ステータス」

 と唱えた。
 それによって出てきたものは以下の内容だ。

名前  リン ミヤマ
性別   男
職業   なし
LV   2
力      15
守      12
命中   10
魔力   8
素早さ  13
スキル   スキルの種 lv:unknown
              神眼 lv:1
称号   謎の一般人

 うん、まぁ普通だと思う。称号に関してだけ目を瞑れば普通のはずだ。

(謎の一般人てなんだよ! 怪しすぎるわ!)

 村とかならともかく都市とか大きな街だったりすればこんな怪しい称号つけた奴は通らせたくないだろう。

「はぁ…、ま、それは一旦おいとくか。いつそんな機会が訪れるかもわからないし」

 今は別の問題の解決を急がねば。
気を取り直して再び自分のステータスに向き直り、今度はその状態で別の言葉を唱える。

「スキルの種、解放条件、開示」

 ネットで検索するように区切って言葉を唱える。すると、ジェイドに教わった通り一部分の表示が変わり出した。

の種 解放条件一覧

連撃 対象の敵に対して一ヶ所にのみ攻撃を複数回当てトドメを刺す×100

魔法適正有 上級魔法以上の攻撃を受ける×200

我流武術  魔物に素手でトドメを刺す×500

遠当て  特定の魔物に対して遠距離攻撃で157回トドメを刺す  
グレムリンアサシン×0

俊足  100km完走する

我流剣術 特定の魔物と剣戟を行なう
スケルトンジェネラルあと100回
デュラハン                  あと150回
幽世かくりよの門番                  あと200回

 ……なんだろう。一応ジェイドにも注意されていたけどこんなに難易度が高いとは思わなかった。
 サッと目を通しただけでわかる鬼畜とも呼べる数字の羅列に、どこぞのゲームで拝見した覚えのある名前が続々と出てきている。
 さらに調べようとしたがどうやら今解放できるのはこれだけのようだ。

「現実的なのは『連撃』『我流武術』『俊足』、か」

 口に出してみればあら不思議、なんだかやれそうな気がしてきた。

「ウジウジ言っててもしょうがないしとりあえずやるかぁ!」

 そう言って俺はグローブを装着し、剣をその手に持って魔物を探しに出かけるのだった。


 道が見えなくなる場所に来てから数分後、俺の目の前には魔物がいた。

LV?スライム

 外見はマスカット味のゼリーのようなそいつは俺が接近しているのを知ってか知らずか呑気にポヨポヨしている。
 俺は気付かれない様にそぉ~っと接近し叩きつける様に剣を振り下ろす。
 俺に斬りつけられたスライムはもの言うことなくその身体を水風船の様に弾けさせた。

「ふう、ちょっと抵抗あったけど何とかいけそうだな」

 俺は数が減ったかどうか確認するためにステータスを開いて確認し愕然とした。

我流武術  魔物にでトドメを刺す×500

「はぁ!? 素手ぇ? マジかよ!」

 マジかぁ~素手かぁ。コレを?いやいやないわぁ~マジないわぁ~…。
 嘆いたところでステータスの数字は変動しない。ただ無慈悲に素手と500の文字を見せつけて来ていた。
 悲嘆にくれていた俺は、至極残念そうに持っていた剣を袋にしまい、いつの間にか眼前にいるスライムの集団を憎々しく睨みつけ突進する。

「チクショウ、やってやんぜこのやらぁぁぁ!」

 振りかぶった拳が粘液に浸かる感触と共に俺の孤独な特訓は幕を開けた。

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