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「あぁ、申し遅れた。私は……」
ギルドナイトの男はそう区切ってカチャカチャと兜を外し始めた。
俺は何も言えないままそれをジッと眺めていると、ようやく曝け出された男の顔を見て俺は驚愕した。
太陽光に反射してキラキラ光る銀髪に、深い海のようなブルーの瞳。
そして、いつものように向けられる穏やかな眼差しとは違い、猛禽類のような鋭い眼光を向けられる。
「ッッ! お前は……」
口をあんぐりと開けて呆然とする俺に構わず彼は名乗る。
「私は、『陽光連帯騎士団』迷宮都市ケルオン支部統括……」
いつもなら晴れた日の太陽のように、にこやかに彼は俺に笑ってくる。
だが、普段とは違い陽気なオーラは無く重苦しい威圧感を纏っていた。
「ギルドナイト第四位、スベン・ハイゼンベルクだ」
言い終わると同時に、この場に重苦しい空気が流れる。
俺は驚愕で脳の神経回路がショートしていたし、スベンは俺をジッと見つめていた。
そのまま、時間が経過しようしていた、その時。
「ぶははははははは!! 何だよその顔、マジウケるぜ!!」
「うわッ!?」
周囲の空間を圧迫するような威圧感が霧散し、スベンは突然一人腹を抱えて大笑いし出した。
突然のそれに俺は思わずビクッと驚いてしまった。
周りの観衆も唖然として彼の豹変を眺めていた。
その様子が滑稽だったのか目元に涙を溜め込みながら、人差し指を向けてきて更に笑ってくる。
「ぶははははははははは!!」
俺は呆然としてスベンが笑い転げている様子を眺めていたが、段々と怒りが湧き上がってきた。
「おい! そろそろ笑うのやめろよ!!」
俺は恥ずかしさからか顔を赤くしてキレた。
恐らくスベンがあそこまでーーまぁ普段から笑ってばっかの奴だがーー笑うのは、俺の呆けた顔があまりにも間抜けだったからだろう。
「ははは!! だってよぉ、お前の呆け顔っていったら傑作だったんだぜ? 笑うなって言う方が無理な話だぜ!」
俺は呆れてものも言えなかった。
スベンは昔からこうだからな。諦めているとも言うべきか。
スベンはひとしきり笑った後、スッと表情を変えて真剣な声色で告げてくる。
「ディランよぉ。本当は俺もお前を拘束したくはないんだが、上からの命令だからな。大人しく付いてきてくれるな?」
スベンは縋るような声で問いかけてきた。
陽気な彼からは想像できないほどの真剣味を帯びていたので、思わず息を呑んでしまう。
無論、俺の答えは最初から決まっているのだが。
「ああ、いいぜ。俺も最初からついて行くつもりだったしな」
ため息をついてそう軽く返すと、スベンはホッとしたようにため息をつく。
「やれやれだぜ、全く……お前も巻き込まれ体質ってゆーかよぉ、厄介ごとを持ってくるのは昔から変わんねぇな!」
「俺も好きで巻き込まれてるんじゃない……」
俺が死んだ魚のような目で答えると、スベンはまたもやブフッと笑う……が。
その時、和んだ空気の中凛とした声が俺の耳を貫いた。
「スベン様、『獅子の牙』のパーティメンバー三名全員の拘束が完了しました」
後ろからの声に振り返ると、兜を外して髪を整えている美少女の姿があった。
揺れるふわふわとした小麦色の髪に、ブラウンの瞳。
整った顔立ちにぷっくりとした桃色の唇。
男女問わず誰もが彼女の美貌に見惚れてしまうだろう。
そして、彼女の小柄ながらも威厳あるその姿はとても美しかった。
「おう、お疲れ!ソフィア」
スベンが陽気にそう返すと、ソフィアは頷いて俺に目を向けてきた。
「彼は?」
ソフィアは首を傾げながら俺を見つめてくる。
彼女のような可憐な女の子に見つめられると照れてしまうところだが、そうはいかなかった。
彼女の突き刺すような内面まで見透かされるような視線に思わず狼狽えるが、しっかりと彼女の目を見据えて一歩前に出た。
「俺はディラン・ヘンストリッジだ。Fランク冒険者として活動している」
「私はギルドナイト第二十一位、ソフィア・スカーレットよ」
彼女の名前を聞いて驚愕を通り越して思考停止してしまった。
スカーレット家といえば、代々200年の歴史を持つ由緒ある名門貴族だ。
爵位は大公であり、王家にも匹敵するほどの権力を持っている。
現在は、国民に莫大な人気を誇る第一王子派に所属していた筈だ。
そんな生きている世界が違うお嬢様がなんで騎士を……
そんな俺にボソッとスベンが耳打ちをしてくる。
「ディラン、お前の疑問は分かるがそれは胸の内に留めておけ」
真剣な彼の囁きに俺は疑問符を浮かべるが、彼の忠告に従うことにした。
「よろしくお願いします、ソフィア様」
「やめてちょうだい、私は貴族としてここに立っているわけではないわ。気楽に接してくれてもいいわよ」
ソフィアはフンと顔を逸らして言うと、スベンに向き直った。
「スベン様、連行致しますか?」
「ああ、そうだな」
スベンはその言葉に頷くと、他三人のギルドナイトに宣言した。
「これより、当該の違反者を連行する!」
「「「了解しました」」」
他三人のギルドナイトは気を失い身動きが取れないドンク達を担ぎ上げた。
それを確認してスベンは俺とソフィアに告げた。
「じゃあ、移動するぞ」
ギルドナイトの男はそう区切ってカチャカチャと兜を外し始めた。
俺は何も言えないままそれをジッと眺めていると、ようやく曝け出された男の顔を見て俺は驚愕した。
太陽光に反射してキラキラ光る銀髪に、深い海のようなブルーの瞳。
そして、いつものように向けられる穏やかな眼差しとは違い、猛禽類のような鋭い眼光を向けられる。
「ッッ! お前は……」
口をあんぐりと開けて呆然とする俺に構わず彼は名乗る。
「私は、『陽光連帯騎士団』迷宮都市ケルオン支部統括……」
いつもなら晴れた日の太陽のように、にこやかに彼は俺に笑ってくる。
だが、普段とは違い陽気なオーラは無く重苦しい威圧感を纏っていた。
「ギルドナイト第四位、スベン・ハイゼンベルクだ」
言い終わると同時に、この場に重苦しい空気が流れる。
俺は驚愕で脳の神経回路がショートしていたし、スベンは俺をジッと見つめていた。
そのまま、時間が経過しようしていた、その時。
「ぶははははははは!! 何だよその顔、マジウケるぜ!!」
「うわッ!?」
周囲の空間を圧迫するような威圧感が霧散し、スベンは突然一人腹を抱えて大笑いし出した。
突然のそれに俺は思わずビクッと驚いてしまった。
周りの観衆も唖然として彼の豹変を眺めていた。
その様子が滑稽だったのか目元に涙を溜め込みながら、人差し指を向けてきて更に笑ってくる。
「ぶははははははははは!!」
俺は呆然としてスベンが笑い転げている様子を眺めていたが、段々と怒りが湧き上がってきた。
「おい! そろそろ笑うのやめろよ!!」
俺は恥ずかしさからか顔を赤くしてキレた。
恐らくスベンがあそこまでーーまぁ普段から笑ってばっかの奴だがーー笑うのは、俺の呆けた顔があまりにも間抜けだったからだろう。
「ははは!! だってよぉ、お前の呆け顔っていったら傑作だったんだぜ? 笑うなって言う方が無理な話だぜ!」
俺は呆れてものも言えなかった。
スベンは昔からこうだからな。諦めているとも言うべきか。
スベンはひとしきり笑った後、スッと表情を変えて真剣な声色で告げてくる。
「ディランよぉ。本当は俺もお前を拘束したくはないんだが、上からの命令だからな。大人しく付いてきてくれるな?」
スベンは縋るような声で問いかけてきた。
陽気な彼からは想像できないほどの真剣味を帯びていたので、思わず息を呑んでしまう。
無論、俺の答えは最初から決まっているのだが。
「ああ、いいぜ。俺も最初からついて行くつもりだったしな」
ため息をついてそう軽く返すと、スベンはホッとしたようにため息をつく。
「やれやれだぜ、全く……お前も巻き込まれ体質ってゆーかよぉ、厄介ごとを持ってくるのは昔から変わんねぇな!」
「俺も好きで巻き込まれてるんじゃない……」
俺が死んだ魚のような目で答えると、スベンはまたもやブフッと笑う……が。
その時、和んだ空気の中凛とした声が俺の耳を貫いた。
「スベン様、『獅子の牙』のパーティメンバー三名全員の拘束が完了しました」
後ろからの声に振り返ると、兜を外して髪を整えている美少女の姿があった。
揺れるふわふわとした小麦色の髪に、ブラウンの瞳。
整った顔立ちにぷっくりとした桃色の唇。
男女問わず誰もが彼女の美貌に見惚れてしまうだろう。
そして、彼女の小柄ながらも威厳あるその姿はとても美しかった。
「おう、お疲れ!ソフィア」
スベンが陽気にそう返すと、ソフィアは頷いて俺に目を向けてきた。
「彼は?」
ソフィアは首を傾げながら俺を見つめてくる。
彼女のような可憐な女の子に見つめられると照れてしまうところだが、そうはいかなかった。
彼女の突き刺すような内面まで見透かされるような視線に思わず狼狽えるが、しっかりと彼女の目を見据えて一歩前に出た。
「俺はディラン・ヘンストリッジだ。Fランク冒険者として活動している」
「私はギルドナイト第二十一位、ソフィア・スカーレットよ」
彼女の名前を聞いて驚愕を通り越して思考停止してしまった。
スカーレット家といえば、代々200年の歴史を持つ由緒ある名門貴族だ。
爵位は大公であり、王家にも匹敵するほどの権力を持っている。
現在は、国民に莫大な人気を誇る第一王子派に所属していた筈だ。
そんな生きている世界が違うお嬢様がなんで騎士を……
そんな俺にボソッとスベンが耳打ちをしてくる。
「ディラン、お前の疑問は分かるがそれは胸の内に留めておけ」
真剣な彼の囁きに俺は疑問符を浮かべるが、彼の忠告に従うことにした。
「よろしくお願いします、ソフィア様」
「やめてちょうだい、私は貴族としてここに立っているわけではないわ。気楽に接してくれてもいいわよ」
ソフィアはフンと顔を逸らして言うと、スベンに向き直った。
「スベン様、連行致しますか?」
「ああ、そうだな」
スベンはその言葉に頷くと、他三人のギルドナイトに宣言した。
「これより、当該の違反者を連行する!」
「「「了解しました」」」
他三人のギルドナイトは気を失い身動きが取れないドンク達を担ぎ上げた。
それを確認してスベンは俺とソフィアに告げた。
「じゃあ、移動するぞ」
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