外れスキル【栽培】でドーピングしまくって最強を目指す!ーーパワーに極振りした俺は「無能は消えろ」と追放してきた元パーティメンバーを粉砕する。

Axiom

文字の大きさ
10 / 13

9.正体

しおりを挟む
 「あぁ、申し遅れた。私は……」

 ギルドナイトの男はそう区切ってカチャカチャと兜を外し始めた。
 俺は何も言えないままそれをジッと眺めていると、ようやく曝け出された男の顔を見て俺は驚愕した。

 太陽光に反射してキラキラ光る銀髪に、深い海のようなブルーの瞳。
 そして、いつものように向けられる穏やかな眼差しとは違い、猛禽類のような鋭い眼光を向けられる。



 「ッッ! お前は……」



 口をあんぐりと開けて呆然とする俺に構わず彼は名乗る。

 「私は、『陽光連帯騎士団ギルドナイツ』迷宮都市ケルオン支部統括……」

 いつもなら晴れた日の太陽のように、にこやかに彼は俺に笑ってくる。
 だが、普段とは違い陽気なオーラは無く重苦しい威圧感を纏っていた。


 「ギルドナイト第四位、スベン・ハイゼンベルクだ」


 言い終わると同時に、この場に重苦しい空気が流れる。
 俺は驚愕で脳の神経回路がショートしていたし、スベンは俺をジッと見つめていた。

 そのまま、時間が経過しようしていた、その時。

 「ぶははははははは!! 何だよその顔、マジウケるぜ!!」

 「うわッ!?」

 周囲の空間を圧迫するような威圧感が霧散し、スベンは突然一人腹を抱えて大笑いし出した。
 突然のそれに俺は思わずビクッと驚いてしまった。
 周りの観衆も唖然として彼の豹変を眺めていた。
 その様子が滑稽だったのか目元に涙を溜め込みながら、人差し指を向けてきて更に笑ってくる。

 「ぶははははははははは!!」

 俺は呆然としてスベンが笑い転げている様子を眺めていたが、段々と怒りが湧き上がってきた。

 「おい! そろそろ笑うのやめろよ!!」

 俺は恥ずかしさからか顔を赤くしてキレた。
 恐らくスベンがあそこまでーーまぁ普段から笑ってばっかの奴だがーー笑うのは、俺の呆けた顔があまりにも間抜けだったからだろう。

 「ははは!! だってよぉ、お前の呆け顔っていったら傑作だったんだぜ? 笑うなって言う方が無理な話だぜ!」

 俺は呆れてものも言えなかった。
 スベンは昔からこうだからな。諦めているとも言うべきか。

 スベンはひとしきり笑った後、スッと表情を変えて真剣な声色で告げてくる。

 「ディランよぉ。本当は俺もお前を拘束したくはないんだが、上からの命令だからな。大人しく付いてきてくれるな?」

 スベンは縋るような声で問いかけてきた。
 陽気な彼からは想像できないほどの真剣味を帯びていたので、思わず息を呑んでしまう。
 無論、俺の答えは最初から決まっているのだが。

 「ああ、いいぜ。俺も最初からついて行くつもりだったしな」

 ため息をついてそう軽く返すと、スベンはホッとしたようにため息をつく。

 「やれやれだぜ、全く……お前も巻き込まれ体質ってゆーかよぉ、厄介ごとを持ってくるのは昔から変わんねぇな!」

 「俺も好きで巻き込まれてるんじゃない……」

 俺が死んだ魚のような目で答えると、スベンはまたもやブフッと笑う……が。

 その時、和んだ空気の中凛とした声が俺の耳を貫いた。

 「スベン様、『獅子の牙』のパーティメンバー三名全員の拘束が完了しました」

 後ろからの声に振り返ると、兜を外して髪を整えている美少女の姿があった。
 揺れるふわふわとした小麦色の髪に、ブラウンの瞳。
 整った顔立ちにぷっくりとした桃色の唇。

 男女問わず誰もが彼女の美貌に見惚れてしまうだろう。
 そして、彼女の小柄ながらも威厳あるその姿はとても美しかった。

 「おう、お疲れ!ソフィア」

 スベンが陽気にそう返すと、ソフィアは頷いて俺に目を向けてきた。

 「彼は?」

 ソフィアは首を傾げながら俺を見つめてくる。
 彼女のような可憐な女の子に見つめられると照れてしまうところだが、そうはいかなかった。

 彼女の突き刺すような内面まで見透かされるような視線に思わず狼狽えるが、しっかりと彼女の目を見据えて一歩前に出た。

 「俺はディラン・ヘンストリッジだ。Fランク冒険者として活動している」

 「私はギルドナイト第二十一位、ソフィア・スカーレットよ」

 彼女の名前を聞いて驚愕を通り越して思考停止してしまった。

 スカーレット家といえば、代々200年の歴史を持つ由緒ある名門貴族だ。
 爵位は大公であり、王家にも匹敵するほどの権力を持っている。
 現在は、国民に莫大な人気を誇る第一王子派に所属していた筈だ。

 そんな生きている世界が違うお嬢様がなんで騎士を……

 そんな俺にボソッとスベンが耳打ちをしてくる。

 「ディラン、お前の疑問は分かるがそれは胸の内に留めておけ」

 真剣な彼の囁きに俺は疑問符を浮かべるが、彼の忠告に従うことにした。

 「よろしくお願いします、ソフィア様」

 「やめてちょうだい、私は貴族としてここに立っているわけではないわ。気楽に接してくれてもいいわよ」

 ソフィアはフンと顔を逸らして言うと、スベンに向き直った。

 「スベン様、連行致しますか?」

 「ああ、そうだな」

 スベンはその言葉に頷くと、他三人のギルドナイトに宣言した。

 「これより、当該の違反者を連行する!」

 「「「了解しました」」」

 他三人のギルドナイトは気を失い身動きが取れないドンク達を担ぎ上げた。

 それを確認してスベンは俺とソフィアに告げた。

 「じゃあ、移動するぞ」


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

処理中です...