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Ⅰ 黒のオメガ
⑦
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気持ちが少し落ち着き、ジリスは今から会う番相手の王太子がどんな人だろう、と考え始めた。
先程目が合った騎士のように、優しそうな、紳士的な人だといい。そう思うと騎士の顔が頭を過り、ジリスは前方を見た。
彼の目は青くて綺麗だった。この護衛は王室護衛か軍中枢部隊のはずだ。彼は護衛対象であるジリスの傍にいる事から、この中で上位の者だろう。
(あの人は、アルファなのかな)
閉じてあるカーテンを開けて、もう一度彼を見たい気持ちが生じる。しかしカーテンを開けてしまったら、閉じるタイミングが難しくなる。
ここは黒国ではないから、お行儀良くしなくてはいけない。落ち着きの無い次期王妃だと噂されないように、ジリスは彼を見るのを諦めた。
それから道中、護衛と付き人はジリスを直接見つめるような事は無く、丁寧な対応を受けて王都までの快適な旅を過ごした。
ジリスは周囲が自分と距離を置いていることを寂しく感じた。
しかしこれは黒国でも同様の対応をしているから仕方ないとも言える。
この道中に恋に落ちることは無いだろうが、オメガやアルファのフェロモンに惑わされる者を出さないための配慮だ。
(あぁ、早く王太子に会いたいな。一言も言葉を交わさずに旅をするなんて、性に合っていないや。綺麗な景色を一緒に楽しんでほしいし、せっかくの食事だって独りじゃ寂しいじゃんか)
そんなことを考えながらジリスは獣馬車に揺られて数日を過ごした。
「王城に到着です」
護衛の声かけに獣馬車を降りると、そこには出迎えの大勢の人がいた。
直接出迎えしてくれる彼らは下級貴族たちだろう。上級貴族と王族は城内で会うはずだ。
この歓迎の先に、番相手がいる。妙な緊張で怖気づきそうな自分の弱さをジリスは必死に隠した。
白国の全ての方に好印象を残したくて、会釈をしながら歓迎の中を歩んだ。
大きくて広い王城がまぶしくて立ち眩みがする。白に慣れていなくて、歩くだけで体調が悪くなる。
それでも、とうとう番相手と会えると思うとドキドキした。期待でソワソワした。
(第一印象が大切だ。ふらついてカッコ悪いところを見せられるか!)
そんな根性でジリスは前を向いた。震えそうな手を固く握って歩いた。
王城の大広間に案内されると、そこには正装の人々が揃っていた。ジリスが広間に着くとリンリンと美しい鐘の音が響いた。
「黒国のオメガであらせられます、ジリス・イーリー王子殿下のご到着です」
案内をしていた者が大きな声でジリスの紹介をした。それに従い、室内の人々がジリスの方を見て頭を下げた。
一礼の後、皆が顔を上げジリスを見つめる。その迫力に足を進めるのが怖くなった。緊張が先程までとはまるで違う。
「ジリス様、どうぞお進みください。正面に国王陛下と王太子殿下がいらっしゃいます」
案内係に声を掛けられてジリスは覚悟を決めた。歓迎の拍手に微笑みを返して足を進めた。顔が引きつりそうだと思った。変な汗が出ている。
「なんとお美しいオメガ王子だろう」
「天使のようにお綺麗ですわね」
そんな賞賛の言葉がいくつか聞こえていた。けれどジリスは、飛び出そうな心臓の音と戦うことで手いっぱいだった。
(僕はこの国の次期王妃なんだ。これくらい耐えなくてどうする!)
逃げたしたくなる自分自身に何度も言い聞かせた。
先程目が合った騎士のように、優しそうな、紳士的な人だといい。そう思うと騎士の顔が頭を過り、ジリスは前方を見た。
彼の目は青くて綺麗だった。この護衛は王室護衛か軍中枢部隊のはずだ。彼は護衛対象であるジリスの傍にいる事から、この中で上位の者だろう。
(あの人は、アルファなのかな)
閉じてあるカーテンを開けて、もう一度彼を見たい気持ちが生じる。しかしカーテンを開けてしまったら、閉じるタイミングが難しくなる。
ここは黒国ではないから、お行儀良くしなくてはいけない。落ち着きの無い次期王妃だと噂されないように、ジリスは彼を見るのを諦めた。
それから道中、護衛と付き人はジリスを直接見つめるような事は無く、丁寧な対応を受けて王都までの快適な旅を過ごした。
ジリスは周囲が自分と距離を置いていることを寂しく感じた。
しかしこれは黒国でも同様の対応をしているから仕方ないとも言える。
この道中に恋に落ちることは無いだろうが、オメガやアルファのフェロモンに惑わされる者を出さないための配慮だ。
(あぁ、早く王太子に会いたいな。一言も言葉を交わさずに旅をするなんて、性に合っていないや。綺麗な景色を一緒に楽しんでほしいし、せっかくの食事だって独りじゃ寂しいじゃんか)
そんなことを考えながらジリスは獣馬車に揺られて数日を過ごした。
「王城に到着です」
護衛の声かけに獣馬車を降りると、そこには出迎えの大勢の人がいた。
直接出迎えしてくれる彼らは下級貴族たちだろう。上級貴族と王族は城内で会うはずだ。
この歓迎の先に、番相手がいる。妙な緊張で怖気づきそうな自分の弱さをジリスは必死に隠した。
白国の全ての方に好印象を残したくて、会釈をしながら歓迎の中を歩んだ。
大きくて広い王城がまぶしくて立ち眩みがする。白に慣れていなくて、歩くだけで体調が悪くなる。
それでも、とうとう番相手と会えると思うとドキドキした。期待でソワソワした。
(第一印象が大切だ。ふらついてカッコ悪いところを見せられるか!)
そんな根性でジリスは前を向いた。震えそうな手を固く握って歩いた。
王城の大広間に案内されると、そこには正装の人々が揃っていた。ジリスが広間に着くとリンリンと美しい鐘の音が響いた。
「黒国のオメガであらせられます、ジリス・イーリー王子殿下のご到着です」
案内をしていた者が大きな声でジリスの紹介をした。それに従い、室内の人々がジリスの方を見て頭を下げた。
一礼の後、皆が顔を上げジリスを見つめる。その迫力に足を進めるのが怖くなった。緊張が先程までとはまるで違う。
「ジリス様、どうぞお進みください。正面に国王陛下と王太子殿下がいらっしゃいます」
案内係に声を掛けられてジリスは覚悟を決めた。歓迎の拍手に微笑みを返して足を進めた。顔が引きつりそうだと思った。変な汗が出ている。
「なんとお美しいオメガ王子だろう」
「天使のようにお綺麗ですわね」
そんな賞賛の言葉がいくつか聞こえていた。けれどジリスは、飛び出そうな心臓の音と戦うことで手いっぱいだった。
(僕はこの国の次期王妃なんだ。これくらい耐えなくてどうする!)
逃げたしたくなる自分自身に何度も言い聞かせた。
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