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Ⅺ 幸せに
⑤
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ジリスが目覚めて数日が経過した。
ジリスはすっかり元気なのだが、アルが心配するから室内で過ごしている。
その甘やかしぶりに、アルがどれだけ不安だったかが伝わってきた。ジリスにしてみれば、ちょっと寝てスッキリ目覚めた感覚だ。だが、見守るアルとしては、相当辛かったのだろう。
ジリスがいる部屋は白国主城の最上階、王の居室とされる部屋だ。
最上階のワンフロア全てが王と王妃の居室となっている。執務室やダンスルーム、空中庭園、小会議室やファミリールームもあり、見て回るのが楽しかった。
ちなみに前国王は準王族となり公爵の爵位を得て、アルの後見者になっていた。今は元王太子宮殿に住んでいる。
不思議な事に、前国王の番オメガは発情期が来なくなっていた。前国王がアルファでなくなっても愛し合う二人を見ると、心が和んだ。前王妃が苦しむことが無くてジリスはホッとした。
「考え事ですか?」
アルの声で我に返った。
「うん。色々ね」
アルを見上げれば軽いキスが額に触れる。
「まったく、王の居室が広すぎるのは問題です。ジリス様が何処に行ったのか、毎回冷汗をかきます」
「この中のどこかには居るって」
ニコっと笑いかければ、ジリスの肩に毛布がフワリと掛けられる。ジリスは空中庭園のテラスで空を眺めていた。部屋着のまま出てきていたからアルは心配したのだろう。
「こんな薄着で、熱が出たらどうするのですか。また一か月も眠られたら、困ります」
冗談のように言っているが、本気で不安になっているのが伝わってきた。少し申し訳なさを感じる。
「もう大丈夫だって。ねえ、アル。部屋の中に運んで~~」
甘えたように手を差し出せば、アルが膝をついてジリスの手の甲にキスをした。アルの瞳から不安の色が消えて安堵した。
「はい、仰せのままに」
恭しくジリスを横抱きにして、アルが室内に入った。政務で忙しいはずなのにアルは相変わらず逞しい。
「アル、僕、午後ちょっと出かけたい。護衛がいれば行っていいかな」
「どこに、ですか?」
「アルとアフタヌーンティー食べたところ。スイーツ買ってくるよ」
「では一緒に行きましょう」
「公務は?」
「ひと休みです」
「大丈夫なら、一緒に行こう。あのテラス席で食べる?」
「いいですね」
懐かしさに笑い合った。
その日の午後。ジリスはほぼ揺れることの無い馬車に乗って、アルと出かけた。王都内の移動なら獣馬車より馬車が楽だ。王城から城下街に行くだけなのに、前後を王室護衛一部隊で警備している。王太子妃の頃とは全然違うなぁと感じる。
白に輝く馬車は代々の王専用らしい。中も外も煌く白。これを黒に変えることは難しかったらしい。悔しそうなアルを見て、別にそこまでしなくていい、とジリスは笑った。
「キナに乗っていくのかと思った」
「あの店は上流貴族街にあります。国王と王妃が乗馬で登場したら、破天荒な王だと騒がれてしまいます」
「そっか。今日は護衛もいっぱいだ。前にあの店に言った時とは違うね」
「王太子妃の時と比べないでください。俺は、国王ですから! ジリス様は俺の王妃です!」
変なところでネモスと張り合うアルに少し笑った。
「分かってるよ。嫌なこと思い出させてゴメン」
分かりやすく拗ねるアルに笑いが込み上げる。こういうところが可愛いところだ。
「アル、アル国王様」
アルの機嫌を取ろうとジリスは顔を覗き込んだ、すると。
「うわっ」
アルが楽しそうにジリスを捕まえ、唇を重ねた。アルは拗ねた振りをして、これを狙っていたようだ。
(ほんと、カッコいいのに可愛いとこあるよな)
ジリスは笑いが止まらずに、舌を絡ませながら喉でクスッと笑った。
その拍子にアルの唾液が身体に入った。濃厚な匂いが鼻に抜ける。
ゾクリと背中を駆け抜ける何か。アルはキスに夢中になっていて、ジリスの妙な感覚に気が付いてくれない。
ジリスはすっかり元気なのだが、アルが心配するから室内で過ごしている。
その甘やかしぶりに、アルがどれだけ不安だったかが伝わってきた。ジリスにしてみれば、ちょっと寝てスッキリ目覚めた感覚だ。だが、見守るアルとしては、相当辛かったのだろう。
ジリスがいる部屋は白国主城の最上階、王の居室とされる部屋だ。
最上階のワンフロア全てが王と王妃の居室となっている。執務室やダンスルーム、空中庭園、小会議室やファミリールームもあり、見て回るのが楽しかった。
ちなみに前国王は準王族となり公爵の爵位を得て、アルの後見者になっていた。今は元王太子宮殿に住んでいる。
不思議な事に、前国王の番オメガは発情期が来なくなっていた。前国王がアルファでなくなっても愛し合う二人を見ると、心が和んだ。前王妃が苦しむことが無くてジリスはホッとした。
「考え事ですか?」
アルの声で我に返った。
「うん。色々ね」
アルを見上げれば軽いキスが額に触れる。
「まったく、王の居室が広すぎるのは問題です。ジリス様が何処に行ったのか、毎回冷汗をかきます」
「この中のどこかには居るって」
ニコっと笑いかければ、ジリスの肩に毛布がフワリと掛けられる。ジリスは空中庭園のテラスで空を眺めていた。部屋着のまま出てきていたからアルは心配したのだろう。
「こんな薄着で、熱が出たらどうするのですか。また一か月も眠られたら、困ります」
冗談のように言っているが、本気で不安になっているのが伝わってきた。少し申し訳なさを感じる。
「もう大丈夫だって。ねえ、アル。部屋の中に運んで~~」
甘えたように手を差し出せば、アルが膝をついてジリスの手の甲にキスをした。アルの瞳から不安の色が消えて安堵した。
「はい、仰せのままに」
恭しくジリスを横抱きにして、アルが室内に入った。政務で忙しいはずなのにアルは相変わらず逞しい。
「アル、僕、午後ちょっと出かけたい。護衛がいれば行っていいかな」
「どこに、ですか?」
「アルとアフタヌーンティー食べたところ。スイーツ買ってくるよ」
「では一緒に行きましょう」
「公務は?」
「ひと休みです」
「大丈夫なら、一緒に行こう。あのテラス席で食べる?」
「いいですね」
懐かしさに笑い合った。
その日の午後。ジリスはほぼ揺れることの無い馬車に乗って、アルと出かけた。王都内の移動なら獣馬車より馬車が楽だ。王城から城下街に行くだけなのに、前後を王室護衛一部隊で警備している。王太子妃の頃とは全然違うなぁと感じる。
白に輝く馬車は代々の王専用らしい。中も外も煌く白。これを黒に変えることは難しかったらしい。悔しそうなアルを見て、別にそこまでしなくていい、とジリスは笑った。
「キナに乗っていくのかと思った」
「あの店は上流貴族街にあります。国王と王妃が乗馬で登場したら、破天荒な王だと騒がれてしまいます」
「そっか。今日は護衛もいっぱいだ。前にあの店に言った時とは違うね」
「王太子妃の時と比べないでください。俺は、国王ですから! ジリス様は俺の王妃です!」
変なところでネモスと張り合うアルに少し笑った。
「分かってるよ。嫌なこと思い出させてゴメン」
分かりやすく拗ねるアルに笑いが込み上げる。こういうところが可愛いところだ。
「アル、アル国王様」
アルの機嫌を取ろうとジリスは顔を覗き込んだ、すると。
「うわっ」
アルが楽しそうにジリスを捕まえ、唇を重ねた。アルは拗ねた振りをして、これを狙っていたようだ。
(ほんと、カッコいいのに可愛いとこあるよな)
ジリスは笑いが止まらずに、舌を絡ませながら喉でクスッと笑った。
その拍子にアルの唾液が身体に入った。濃厚な匂いが鼻に抜ける。
ゾクリと背中を駆け抜ける何か。アルはキスに夢中になっていて、ジリスの妙な感覚に気が付いてくれない。
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