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Ⅱ 貴族アルファが来る
⑤
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ウルイはその日の仕事を楽しく感じた。
ひたすら増える食器の洗い物は、『ガンガン持ってこ~い』、と声に出したくなるくらい、テキパキと処理できた。
店のオーナーからも「いい働きだ」と褒められた。
とても気持ちが良かった。
仕事が終わり帰宅している時、ウルイは気が付いた。彼の名前を聞き忘れた。
明日は忘れず名前を聞こうと思った。
見慣れた夜の砂漠を目に映し、輝く月を綺麗だと思った。
翌日、ウルイは朝から湖に来た。昨日の仕事帰りに買った小さな石鹸を手に持っている。
昨日は、「頑張ってくれているから」、とオーナーが少し多めにバイト代をくれた。
オーナーは機嫌が良いとウルイに小遣いをつけてくれる。お菓子かジュースを買える程度だけど嬉しい。
いつものウルイなら妹にお菓子を買って帰るが、昨日はどうしても石鹸が欲しかった。
湖で会った彼はウルイの髪や頬を触った。首後ろは舐められた。
改めて考えるとウルイは自分の汚れが気になってしまった。
『臭い、汚い、貧乏人』
聞こえるようにウルイに向けられる言葉が頭を過ったから。彼にもそう思われていないか、と不安になった。
だからウルイは、彼に会う前に全身を洗おうと考えた。
ザバーと湖水を浴びて、あまりの冷たさに全身をブルブルと震わせた。
「う~~! さっぶいぃ!」
朝の湖水は肌が痛いほど冷たい。でも我慢、我慢、とウルイは自分に言い聞かせる。
ガタガタ震えながら全身を泡で洗う。汚れを丁寧に落とさなくてはいけない。
髪まで洗うと自然乾燥に時間がかかる。あとは服も洗って乾かしたい。だから早朝しかないのだ。
全身を洗い終えてタオルで拭きあげると、びしょ濡れよりは身体の冷えがおさまる。
そのまま一気に石鹸で服を洗う。日が出て気温が上がれば乾くはず。今だけの辛抱だ。
そう考えても、身体の震えが引いてくれない。つまりすごく寒い。寒すぎて皮膚が痛い。
いつもは暑くて嫌な太陽だが、今は早く砂漠の気温を上げて欲しかった。
早朝水浴びがこれ程寒くて辛いとは思っていなかった。
タオルで身体の水分をとっても、髪が濡れていて体温を奪う。予備の服がないから裸のままだ。
ウルイの歯がガチガチと鳴り続けている。
その内に砂漠に明るい光が差した。徐々に気温が上がることに安心を覚える。早く乾かしたくて、ウルイは裸のまま日光を浴びた。
この湖には人が近づかないから、見られる心配はない。日の当たる場所に服を干していると、思いがけず声がかけられた。
「ブハっ! な、なにしているんだ! 裸? ウ、ウルイ?」
ものすごい大声と、駆け寄る足音が耳に届いた。
ウルイが振り返ると、顔を真っ赤にした昨日の彼がいる。
こんなところを見られると思っていなかったから、ウルイはその場で凍り付いた。
彼の目がウルイの頭の先から下まで、全身を見たのが分かった。途端に恥ずかしさが沸き上がる。身体に火が付いたように熱くなる。
干してある服に手を伸ばしたが、まだ洗ったばかりで着られそうにない。
どうしていいのか分からず、タオルで前だけは隠した。恥ずかしすぎて彼が見られなかった。
「ウルイ、これを着て。聞いてもいい? 何か、あったの?」
彼の上着をウルイにかけてくれる。優しく問われたが、恥ずかしさで答えられず、ウルイは下を向いて震えた。
「うん。分かった。大丈夫だよ。ウルイ、俺は怖くないよね? このままじゃ風邪をひくから抱き上げるよ。服と荷物はコレで全部?」
抱き上げると言われて、意味が分からずウルイは首を傾げた。
混乱で静止していたウルイは、あっという間に彼の腕の中に閉じ込められた。『降ろして』と言う間もなく、彼の馬に一緒に乗せられる。
「ウルイ、もう大丈夫だよ。怖かったね」
馬を走らせながら何度も彼が言葉をかけて来た。ウルイには、その意味が分からなかった。
冷えた身体が彼の体温でホカホカと温まる。その内にウルイは腕の中で眠ってしまった。
(昨日は遅くまで働いて、朝から水浴びしたから疲れたなぁ)
ウルイは人肌の心地よさに身を任せた。
ひたすら増える食器の洗い物は、『ガンガン持ってこ~い』、と声に出したくなるくらい、テキパキと処理できた。
店のオーナーからも「いい働きだ」と褒められた。
とても気持ちが良かった。
仕事が終わり帰宅している時、ウルイは気が付いた。彼の名前を聞き忘れた。
明日は忘れず名前を聞こうと思った。
見慣れた夜の砂漠を目に映し、輝く月を綺麗だと思った。
翌日、ウルイは朝から湖に来た。昨日の仕事帰りに買った小さな石鹸を手に持っている。
昨日は、「頑張ってくれているから」、とオーナーが少し多めにバイト代をくれた。
オーナーは機嫌が良いとウルイに小遣いをつけてくれる。お菓子かジュースを買える程度だけど嬉しい。
いつものウルイなら妹にお菓子を買って帰るが、昨日はどうしても石鹸が欲しかった。
湖で会った彼はウルイの髪や頬を触った。首後ろは舐められた。
改めて考えるとウルイは自分の汚れが気になってしまった。
『臭い、汚い、貧乏人』
聞こえるようにウルイに向けられる言葉が頭を過ったから。彼にもそう思われていないか、と不安になった。
だからウルイは、彼に会う前に全身を洗おうと考えた。
ザバーと湖水を浴びて、あまりの冷たさに全身をブルブルと震わせた。
「う~~! さっぶいぃ!」
朝の湖水は肌が痛いほど冷たい。でも我慢、我慢、とウルイは自分に言い聞かせる。
ガタガタ震えながら全身を泡で洗う。汚れを丁寧に落とさなくてはいけない。
髪まで洗うと自然乾燥に時間がかかる。あとは服も洗って乾かしたい。だから早朝しかないのだ。
全身を洗い終えてタオルで拭きあげると、びしょ濡れよりは身体の冷えがおさまる。
そのまま一気に石鹸で服を洗う。日が出て気温が上がれば乾くはず。今だけの辛抱だ。
そう考えても、身体の震えが引いてくれない。つまりすごく寒い。寒すぎて皮膚が痛い。
いつもは暑くて嫌な太陽だが、今は早く砂漠の気温を上げて欲しかった。
早朝水浴びがこれ程寒くて辛いとは思っていなかった。
タオルで身体の水分をとっても、髪が濡れていて体温を奪う。予備の服がないから裸のままだ。
ウルイの歯がガチガチと鳴り続けている。
その内に砂漠に明るい光が差した。徐々に気温が上がることに安心を覚える。早く乾かしたくて、ウルイは裸のまま日光を浴びた。
この湖には人が近づかないから、見られる心配はない。日の当たる場所に服を干していると、思いがけず声がかけられた。
「ブハっ! な、なにしているんだ! 裸? ウ、ウルイ?」
ものすごい大声と、駆け寄る足音が耳に届いた。
ウルイが振り返ると、顔を真っ赤にした昨日の彼がいる。
こんなところを見られると思っていなかったから、ウルイはその場で凍り付いた。
彼の目がウルイの頭の先から下まで、全身を見たのが分かった。途端に恥ずかしさが沸き上がる。身体に火が付いたように熱くなる。
干してある服に手を伸ばしたが、まだ洗ったばかりで着られそうにない。
どうしていいのか分からず、タオルで前だけは隠した。恥ずかしすぎて彼が見られなかった。
「ウルイ、これを着て。聞いてもいい? 何か、あったの?」
彼の上着をウルイにかけてくれる。優しく問われたが、恥ずかしさで答えられず、ウルイは下を向いて震えた。
「うん。分かった。大丈夫だよ。ウルイ、俺は怖くないよね? このままじゃ風邪をひくから抱き上げるよ。服と荷物はコレで全部?」
抱き上げると言われて、意味が分からずウルイは首を傾げた。
混乱で静止していたウルイは、あっという間に彼の腕の中に閉じ込められた。『降ろして』と言う間もなく、彼の馬に一緒に乗せられる。
「ウルイ、もう大丈夫だよ。怖かったね」
馬を走らせながら何度も彼が言葉をかけて来た。ウルイには、その意味が分からなかった。
冷えた身体が彼の体温でホカホカと温まる。その内にウルイは腕の中で眠ってしまった。
(昨日は遅くまで働いて、朝から水浴びしたから疲れたなぁ)
ウルイは人肌の心地よさに身を任せた。
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