発情期アルファ貴族にオメガの導きをどうぞ

小池 月

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Ⅲ アルファの番は誰?

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 それから二日間をライと一緒に過ごした。

 ウルイの事は、オメガ覚醒後の精神不安定として、ライが徹底的に甘やかしてくれた。恥ずかしくなるくらい密着していた。

 ライは『可愛い』『俺のウルイだ』とウルイを撫でまわした。抱き上げて、食事を口まで運んで食べさせることまでしてきた。

 そんなライをウルイが拒否しなかったのは、側に控えるササラとトムの冷ややかな目線が怖かったから。

 あの二人と過ごすよりライに引っ付いているほうが断然良かった。

 発情期明けから五日が経過すると、ウルイの身体の倦怠感は無くなった。普通に生活できるようになった。

 テーブルに座って朝食を食べている時に、今後についての話題になった。

「これからの事を伝えていいかな?」
「うん。僕はどうすれば良いのか聞きたかった」

「ウルイは世界でただ一人の俺のオメガだ。番というのは妻であり伴侶であり、アルファが生涯必要とする存在だ」

 ライの言葉にウルイはコクリと頷く。

「離れて暮らすことなど考えられない。ウルイには王都に来て欲しい。生涯を俺と過ごして欲しい。いいだろうか?」

 真剣にライが話してくれる。ちらりと見ると、怖い顔のササラとトムが目に入る。

「王都、行かなきゃダメなのか? 王都のライの家に僕が住むの?」
 できれば行きたくない思いを込めて聞いてみた。

「うん。オメガになったからには、それ以外に選択肢がなくて。ウルイに負担をかけるけれど、ごめんね。でも、俺の家には使用人がいるし、何不自由なく過ごせるようにするから」

 その使用人がいる空間が嫌なんだよ、とは言えずにウルイは下を向く。

「アルファの発情期は毎月来る人もいれば一年に一度の人もいる。人による。その周期が俺の場合まだ分からない。出来ればこのまま連れて帰りたい。ウルイを連れていくお礼に、ウルイの家族にオアシス内に邸宅を用意する。王都からの仕事を委託していくつもりだ」

「家族が、オアシスに住めるの? 集落の皆も?」
「もちろんだよ」

 家族が救われるのなら、オメガになって良かったのかも、と思えた。

「僕は教養がないから王都で暮らしていけないと思う。ここで家族と居たらダメかな?」
「ならば家族を王都に連れてくるかい?」

 ライの言葉に心が揺れる。
 家族ごと王都に居たらウルイは気が楽だ。

 だけど王都ではウルイ達はズルいオメガ、汚いオメガとして見られるのだろう。ササラとトムの態度でそれが分かる。

 貧乏で汚い者たちだと罵られる暮らしに、父が耐えられるとは思えない。まだ幼い妹に辛い思いはさせたくない。

 ウルイは覚悟を決めて返事をする。

「王都には僕一人で行くよ。僕の家族はこのオアシスで暮らしていくのが一番だから」

 そう伝えると「ありがとう」、とウルイを抱きしめてライが喜ぶ。
 ウルイはどこか冷めた気持ちで乾いた笑いを返した。

 これからの王都での生活を思うと、素直にライの喜びに同調することが出来なかった。
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