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Ⅳ 王都での生活(前編)
①
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ウルイは浮遊移動車という乗り物を初めて見た。
卵型の小部屋が、地面から一メートルほどの高さに浮いて動く。オアシスから王都まではこの浮遊移動車で行くそうだ。
乗るときは地面に降りているが、動き出すと車体が地面から浮き上った。
これは、岩場でも砂地でも、川や湖の上でも進んで行く。
面白くて、窓に張り付いてウルイは景色を見た。
「浮遊移動車は初めて?」
「うん」
「そうか。これは昨年完成したばかりの移動技術だよ。第一皇子で王位継承者であるディモン殿下のご功績だ。ディモン殿下はまだ十歳だけど、その能力からアルファであることは間違いないと言われているよ。鉱物エネルギー開発も手掛けてくださっている。王族と貴族にアルファが生まれてくるけど、少数なんだ。俺を含めて現在アルファが二十人だよ」
アドレア国の大きさは分からないけれど、ウルイのいたオアシスは小さな都市と聞いた。それでも街の人数は五万人以上いると聞いている。
オアシス内の二十人と聞いても少人数だと感じるのに、アドレア国中の二十人と考えると、その稀少さが分かる。
「すごく少ないんだね」
「うん。だから貴重と言われるのかもね」
そうなのか、とウルイは頷く。そんなウルイを覗き込むようにライが見てくる。
「ウルイ、ここ数日、元気がないのはどうして?」
聞かれたくない部分に触れられて、ウルイの心臓がドキッと鳴る。
「元気、あるよ。大丈夫」
「そうかなぁ」
「僕は王都が初めてだし、色々不安にだってなるよ」
ウルイは精一杯ごまかしの言葉を言った。
「そっか。そうだよね。じゃ、何か要望や希望はある? こうすれば安心かなってことを教えて」
「そんなこと言われても直ぐに分からないよ。でも、そうだな。僕は貧乏で教養のない者だから不安だよ。きっと王都で馬鹿にされるし、罵られる。それは、怖い」
「わかった。それは何とかなるように考えるよ。ウルイを無理やりオメガにしてしまってゴメン。負担を強いてゴメン。発情期に、その、無理やり身体を繋げてゴメン。どう償って良いのか……」
「いや、もういいよ。薬使われて仕方なかったんだ。ライが悪いとは思えないよ。そのおかげで家族が救われたならいい。僕はオメガとして、発情期の相手をすればいいんだろ? それがオメガの義務なんだろう?」
何故かライが悲しそうな顔をする。
オメガとしての義務は果たすと言っているのに、何が不満なのだろう。分からなくてウルイは困る。
分からないのは、きっとウルイに教養がないからだ。ライに不釣り合いな自分を恥ずかしく思い、ウルイは窓の外に目線を向けた。
せめてオメガとして、精一杯ライに尽くさなくてはいけない。それくらいしかウルイには出来ないから。
外の景色を見ながら、ライに見えないようにウルイは唇を噛みしめた。
卵型の小部屋が、地面から一メートルほどの高さに浮いて動く。オアシスから王都まではこの浮遊移動車で行くそうだ。
乗るときは地面に降りているが、動き出すと車体が地面から浮き上った。
これは、岩場でも砂地でも、川や湖の上でも進んで行く。
面白くて、窓に張り付いてウルイは景色を見た。
「浮遊移動車は初めて?」
「うん」
「そうか。これは昨年完成したばかりの移動技術だよ。第一皇子で王位継承者であるディモン殿下のご功績だ。ディモン殿下はまだ十歳だけど、その能力からアルファであることは間違いないと言われているよ。鉱物エネルギー開発も手掛けてくださっている。王族と貴族にアルファが生まれてくるけど、少数なんだ。俺を含めて現在アルファが二十人だよ」
アドレア国の大きさは分からないけれど、ウルイのいたオアシスは小さな都市と聞いた。それでも街の人数は五万人以上いると聞いている。
オアシス内の二十人と聞いても少人数だと感じるのに、アドレア国中の二十人と考えると、その稀少さが分かる。
「すごく少ないんだね」
「うん。だから貴重と言われるのかもね」
そうなのか、とウルイは頷く。そんなウルイを覗き込むようにライが見てくる。
「ウルイ、ここ数日、元気がないのはどうして?」
聞かれたくない部分に触れられて、ウルイの心臓がドキッと鳴る。
「元気、あるよ。大丈夫」
「そうかなぁ」
「僕は王都が初めてだし、色々不安にだってなるよ」
ウルイは精一杯ごまかしの言葉を言った。
「そっか。そうだよね。じゃ、何か要望や希望はある? こうすれば安心かなってことを教えて」
「そんなこと言われても直ぐに分からないよ。でも、そうだな。僕は貧乏で教養のない者だから不安だよ。きっと王都で馬鹿にされるし、罵られる。それは、怖い」
「わかった。それは何とかなるように考えるよ。ウルイを無理やりオメガにしてしまってゴメン。負担を強いてゴメン。発情期に、その、無理やり身体を繋げてゴメン。どう償って良いのか……」
「いや、もういいよ。薬使われて仕方なかったんだ。ライが悪いとは思えないよ。そのおかげで家族が救われたならいい。僕はオメガとして、発情期の相手をすればいいんだろ? それがオメガの義務なんだろう?」
何故かライが悲しそうな顔をする。
オメガとしての義務は果たすと言っているのに、何が不満なのだろう。分からなくてウルイは困る。
分からないのは、きっとウルイに教養がないからだ。ライに不釣り合いな自分を恥ずかしく思い、ウルイは窓の外に目線を向けた。
せめてオメガとして、精一杯ライに尽くさなくてはいけない。それくらいしかウルイには出来ないから。
外の景色を見ながら、ライに見えないようにウルイは唇を噛みしめた。
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