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Ⅳ 王都での生活(前編)
④
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午前中は土下座を繰り返して終了した。さすがに心が疲弊した。
こんな時はオアシスの水色キッチンが懐かしくなる。
水色キッチンでは、多少差別を感じたがウルイに意地悪する人はいなかった。
忙しいと雑務に没頭出来て楽しかった。賑やかな店の中が懐かしい。
思い出すとジワリと涙が溢れそうになり、慌てて唇を噛みしめた。
この状況はライには言えない。ライはウルイが邸内で平穏に暮らしていると思っている。
ライは自分の使用人を信頼している。使用人たちとライの関係はウルイより長い。
だから、言えない。ウルイが我慢すれば丸く収まる。
午後になると計算の教育が始まった。
「こんな簡単な計算も出来ないのですか。本当に何も学んでいないのですね。あなたは自分で学ぶこともせず、オメガになれば楽でも出来ると思ったのでしょう。まんまと騙されたライ様がお可哀そうですわ」
ササラの嫌味に「申し訳ありません」と下を向く。
ウルイだって学ぶ機会があれば学びたかった。だが、生きて行くのに精一杯だったのだ。悔しさに唇を噛みしめた。
突然、ウルイの全身に水がかけられた。驚いてササラを見上げた。
ウルイの頭上にササラが水差しを掲げている。水がポタポタと滴っている。
ササラと、目が合った。冷酷な目が怖くてウルイの背筋がゾクリとした。
「不満ですか。顔に出ています。そのような反抗的な態度では教えることができません」
冷たい言葉とともに水差しが床に投げ捨てられる。銀製の水差しがガチャンと音を立てて転がった。
「拾いなさい」
ササラに命じられて、直ぐにウルイは席を立ち、水差しを拾う。
「申し訳、ありません」
とにかく謝って、水差しをササラに渡した。
ササラは水差しを受け取ったが、また床に落とした。水差しが叩きつけられて、大きな音が鳴る。ウルイはビクッと全身を強張らせた。
「本来ならば貴族の高貴なオメガ様をお迎えしているはずでしたのに。あなたの様な卑劣な手段でオメガになるなど、恥を知りなさい! ライ様は生まれながらの上流貴族である伯爵家アルファですのに! お前などが! 拾え! この薄汚い貧乏人が!」
ササラの怒りをぶつけられて、ウルイの心臓が震えた。ウルイは濡れたまま水差しを拾った。拾えばまた水差しを投げられた。ウルイは謝罪の言葉を言い続けた。
繰り返しているうちに、悲しいでも苦しいでもなく、ただ真っ暗な気持ちになった。
これから毎日こんなことをやるのだと思うと身体が鉛のように重くなった。
恐怖で背筋がゾワリとした。
この時、自分は抜ける事の出来ない闇に堕ちたのだ、とウルイは理解した。
こんな時はオアシスの水色キッチンが懐かしくなる。
水色キッチンでは、多少差別を感じたがウルイに意地悪する人はいなかった。
忙しいと雑務に没頭出来て楽しかった。賑やかな店の中が懐かしい。
思い出すとジワリと涙が溢れそうになり、慌てて唇を噛みしめた。
この状況はライには言えない。ライはウルイが邸内で平穏に暮らしていると思っている。
ライは自分の使用人を信頼している。使用人たちとライの関係はウルイより長い。
だから、言えない。ウルイが我慢すれば丸く収まる。
午後になると計算の教育が始まった。
「こんな簡単な計算も出来ないのですか。本当に何も学んでいないのですね。あなたは自分で学ぶこともせず、オメガになれば楽でも出来ると思ったのでしょう。まんまと騙されたライ様がお可哀そうですわ」
ササラの嫌味に「申し訳ありません」と下を向く。
ウルイだって学ぶ機会があれば学びたかった。だが、生きて行くのに精一杯だったのだ。悔しさに唇を噛みしめた。
突然、ウルイの全身に水がかけられた。驚いてササラを見上げた。
ウルイの頭上にササラが水差しを掲げている。水がポタポタと滴っている。
ササラと、目が合った。冷酷な目が怖くてウルイの背筋がゾクリとした。
「不満ですか。顔に出ています。そのような反抗的な態度では教えることができません」
冷たい言葉とともに水差しが床に投げ捨てられる。銀製の水差しがガチャンと音を立てて転がった。
「拾いなさい」
ササラに命じられて、直ぐにウルイは席を立ち、水差しを拾う。
「申し訳、ありません」
とにかく謝って、水差しをササラに渡した。
ササラは水差しを受け取ったが、また床に落とした。水差しが叩きつけられて、大きな音が鳴る。ウルイはビクッと全身を強張らせた。
「本来ならば貴族の高貴なオメガ様をお迎えしているはずでしたのに。あなたの様な卑劣な手段でオメガになるなど、恥を知りなさい! ライ様は生まれながらの上流貴族である伯爵家アルファですのに! お前などが! 拾え! この薄汚い貧乏人が!」
ササラの怒りをぶつけられて、ウルイの心臓が震えた。ウルイは濡れたまま水差しを拾った。拾えばまた水差しを投げられた。ウルイは謝罪の言葉を言い続けた。
繰り返しているうちに、悲しいでも苦しいでもなく、ただ真っ暗な気持ちになった。
これから毎日こんなことをやるのだと思うと身体が鉛のように重くなった。
恐怖で背筋がゾワリとした。
この時、自分は抜ける事の出来ない闇に堕ちたのだ、とウルイは理解した。
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