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Ⅴ 王都での生活(後編)
③
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広い通りで馬車を降り、美しい店舗が建ち並ぶ道をライと歩いた。上品な街並みにウルイは緊張した。
オアシスの一番街の比じゃない。夢の世界レベルだ。
「ここに寄りたくて。一緒に入ってくれる?」
ライが立ち止まった店は高級そうな店だ。外見だけでは何の店か分からない。
入り口から外に延びている赤絨毯や、入り口前に立っている警備員の様子から、ウルイが立ち入って良い店でないことは明らかだ。
「ライは行ってくればいいよ。僕はちょっと相応しくないと思うから、離れたところで待っている」
ライの隣に立つ自信が無くてウルイの足が止まった。
「いや、一緒に行こう。注文品を取りに行かなくてはいけないけれど、あんな洒落た店に俺一人で入るにはハードルが高すぎる。お願いだから一緒に行って欲しい」
小さな声でウルイに囁いてくるから吹き出して笑ってしまった。
「おい、ライ。貴族アルファだろ? 高級な場所には慣れているんじゃないのか?」
ライを見上げれば細い目をさらに細くして困り顔をしている。
「苦手だよ。一人で田舎を旅しているほうが性に合っている。高級店とか上流貴族の集まりは大嫌いだ」
ライの本音を聞いたようでウルイの気持が緩んだ。気取らないライだから一緒に居て楽しいのだと思い出す。
「そっか。僕と一緒だ。じゃ、ライに付き合うとするか」
ウルイの言葉にライがニコっと笑う。
「そうしてくれると嬉しいよ。オアシスの視察のときみたいだ」
考えていることが一緒で嬉しくなる。ライと目線を合わせて軽く笑い合う。ウルイの心がじんわり温まった。
(ライと二人だけの世界ならいいのになぁ)
そんなことを考えてウルイはライの隣を歩いた。
外から見るとシンプルな重厚感のある店構えだが、入店してみると内装はお城のような雰囲気だった。そのきらびやかな様子に足がすくみそうだ。横を見れば、ライは自信に満ちた堂々たる態度だった。
全く臆していないライを見て、ウルイは騙されたと思った。苦手なようには見えない。自分と同じだ、と思ったことが、少し悔しかった。
ウルイは隠れるようにライの傍に寄り添った。
「これはライ伯爵様、本日はご来店誠にありがとうございます」
すぐに店内から中年男性店員がライに駆け寄り、低姿勢なお辞儀をする。頭の角度からライより立場の低い者だとわかる。
そっと店内を見れば、姿勢良く微笑んでいる店員たちがいる。その姿だけで高級な店なのだと語っているようだ。オアシスで働いていた店の店員とは所作が全然違う。礼儀って大切なのだと実感する。
「頼んでおいた品はどちらに?」
ライが落ち着いた声を出した。
「はい。特別品でございます。奥のお席へどうぞ。ご案内いたします」
「いや、少し待ってくれ。ウルイ、店内とか見てみたい? ここ宝石店だよ。ジュエリーとか欲しい物や好みの物があるかな?」
急に話を振られて、ウルイは全身をビクッとさせて首を横に振った。
「そっか。じゃ、奥の部屋でいくつかジュエリーを出してもらおうか」
ウルイがライを見つめると目の前にいる男性店員が視界に入る。穏やかな顔でウルイを見ている。
ウルイと目が合うと、すぐに男性店員が腰を落としウルイより頭を低くして頭を垂れる。
「これはお美しいオメガ様でいらっしゃいます。オメガ様、この店のオーナーをしておりますアウレンと申します。平民でございます。オメガ様にお会いできて大変光栄でございます」
こんなに丁寧な挨拶を受けたことが無くてウルイは驚いた。
教育の中でササラに言われたことを思い出し、相手より頭を高くしたまま、軽く足を折りお辞儀を返した。
「ウルイ・ハンクです。お会いできて嬉しく思います」
オメガになってから初めて人と挨拶を交わした。上手く出来たのか分からず、ウルイの心臓がドキドキと響いた。
オアシスの一番街の比じゃない。夢の世界レベルだ。
「ここに寄りたくて。一緒に入ってくれる?」
ライが立ち止まった店は高級そうな店だ。外見だけでは何の店か分からない。
入り口から外に延びている赤絨毯や、入り口前に立っている警備員の様子から、ウルイが立ち入って良い店でないことは明らかだ。
「ライは行ってくればいいよ。僕はちょっと相応しくないと思うから、離れたところで待っている」
ライの隣に立つ自信が無くてウルイの足が止まった。
「いや、一緒に行こう。注文品を取りに行かなくてはいけないけれど、あんな洒落た店に俺一人で入るにはハードルが高すぎる。お願いだから一緒に行って欲しい」
小さな声でウルイに囁いてくるから吹き出して笑ってしまった。
「おい、ライ。貴族アルファだろ? 高級な場所には慣れているんじゃないのか?」
ライを見上げれば細い目をさらに細くして困り顔をしている。
「苦手だよ。一人で田舎を旅しているほうが性に合っている。高級店とか上流貴族の集まりは大嫌いだ」
ライの本音を聞いたようでウルイの気持が緩んだ。気取らないライだから一緒に居て楽しいのだと思い出す。
「そっか。僕と一緒だ。じゃ、ライに付き合うとするか」
ウルイの言葉にライがニコっと笑う。
「そうしてくれると嬉しいよ。オアシスの視察のときみたいだ」
考えていることが一緒で嬉しくなる。ライと目線を合わせて軽く笑い合う。ウルイの心がじんわり温まった。
(ライと二人だけの世界ならいいのになぁ)
そんなことを考えてウルイはライの隣を歩いた。
外から見るとシンプルな重厚感のある店構えだが、入店してみると内装はお城のような雰囲気だった。そのきらびやかな様子に足がすくみそうだ。横を見れば、ライは自信に満ちた堂々たる態度だった。
全く臆していないライを見て、ウルイは騙されたと思った。苦手なようには見えない。自分と同じだ、と思ったことが、少し悔しかった。
ウルイは隠れるようにライの傍に寄り添った。
「これはライ伯爵様、本日はご来店誠にありがとうございます」
すぐに店内から中年男性店員がライに駆け寄り、低姿勢なお辞儀をする。頭の角度からライより立場の低い者だとわかる。
そっと店内を見れば、姿勢良く微笑んでいる店員たちがいる。その姿だけで高級な店なのだと語っているようだ。オアシスで働いていた店の店員とは所作が全然違う。礼儀って大切なのだと実感する。
「頼んでおいた品はどちらに?」
ライが落ち着いた声を出した。
「はい。特別品でございます。奥のお席へどうぞ。ご案内いたします」
「いや、少し待ってくれ。ウルイ、店内とか見てみたい? ここ宝石店だよ。ジュエリーとか欲しい物や好みの物があるかな?」
急に話を振られて、ウルイは全身をビクッとさせて首を横に振った。
「そっか。じゃ、奥の部屋でいくつかジュエリーを出してもらおうか」
ウルイがライを見つめると目の前にいる男性店員が視界に入る。穏やかな顔でウルイを見ている。
ウルイと目が合うと、すぐに男性店員が腰を落としウルイより頭を低くして頭を垂れる。
「これはお美しいオメガ様でいらっしゃいます。オメガ様、この店のオーナーをしておりますアウレンと申します。平民でございます。オメガ様にお会いできて大変光栄でございます」
こんなに丁寧な挨拶を受けたことが無くてウルイは驚いた。
教育の中でササラに言われたことを思い出し、相手より頭を高くしたまま、軽く足を折りお辞儀を返した。
「ウルイ・ハンクです。お会いできて嬉しく思います」
オメガになってから初めて人と挨拶を交わした。上手く出来たのか分からず、ウルイの心臓がドキドキと響いた。
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