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Ⅴ 王都での生活(後編)
⑩
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二度目の発情期を過ぎて、ササラのウルイへの嫌悪はさらに強くなった。
「こんな下品な者がオメガとしてライ様と過ごすなど、許せない!」
そんな言葉が投げかけられるようになった。ウルイはその通りだと思った。
オメガには他の貴族令嬢が相応しい。誰がオメガになってもライは優しくすると思う。ウルイだから大切に扱っているワケじゃない。
そんなことはウルイにも分かっていた。
だけど今更オメガを他の人に変わることはできない。
ライからもらった黒真珠を撫でてみても、徐々に気持ちが浮上しなくなってきた。
そんな日々を過ごすうちに食事が喉を通らなくなった。
食べないとササラに「マナーがなっていない」と叱られる。だから、食事の時は何とか飲み下し、その後にトイレで吐き戻すようになった。
さすがにトイレのことまでは見られないから、注意されない。吐き戻すことは汚くても、怒られない。
苦しいけれど吐くことが唯一の自由のような気がした。
そう思うと、苦しいときには吐き戻せば気持ちがスッキリする、という変な癖がついてしまった。
ウルイは見る間に痩せて、ライがとても心配してくれた。病院に連れて行かれたが、吐いていることは内緒にした。
病院の先生からは「住む環境が変わったことでのストレスでしょう」と言われた。
栄養剤と体力回復の薬を処方された。苦い薬だけれど、薬を飲んでいればライが安心するから飲んだ。
(もし僕がいなくなれば、ライは新しいオメガを作れるのかな)
そんなことを考えるようになった。
三度目のライの発情期が終えた後、これまでと違ってウルイの回復に時間がかかった。
全身がしんどくて全く動けなかった。微熱も引かなかった。
往診に来てくれた医師からは、「何とか体力をつけないと危険だ」と言われた。それを聞いたライが大慌てした。起き上がれるようになるまで、仕事を休んで付き添ってくれた。
処方された液状の栄養剤は吐かずにすんだ。ササラたちがいなければ吐く必要もなかった。
種類が増えた栄養剤と薬のおかげで、徐々にウルイの体力が戻った。発情期後から十日が経過していた。
「ウルイ、よければスープを飲んでみる? 最近栄養ドリンクとゼリー類は口にできているから、温かいスープはいけるかな?」
ライは毎日優しく食べ物を勧めてくる。ウルイの体力は戻っても、食べたい気持ちは戻っていない。
栄養ドリンクとゼリーがあれば良いと思うけれど、毎日断ってばかりはライに申し訳ない。
「あの、全部食べられないかもだし、口に運ぶだけで精一杯かもだけど、それでも良いなら、もらおうかな」
無理なら吐いてしまえば良い、と考えた。
「いいよ! 食べる気になっただけでも嬉しい! 野菜のポタージュとポトフを用意してあるよ」
「え? 二種類も?」
スープ二皿も胃に入るだろうか。急に不安になってくる。もしササラが運んできたら残すことなどできない。
やはり断ろうとしたが、すでにライが侍女に指示を出していた。
「どっちか食べたいほうを選べたらいいかなって思ってね」
にこにこ笑うライを見て、『やっぱりいらない』とは言えなかった。
「こんな下品な者がオメガとしてライ様と過ごすなど、許せない!」
そんな言葉が投げかけられるようになった。ウルイはその通りだと思った。
オメガには他の貴族令嬢が相応しい。誰がオメガになってもライは優しくすると思う。ウルイだから大切に扱っているワケじゃない。
そんなことはウルイにも分かっていた。
だけど今更オメガを他の人に変わることはできない。
ライからもらった黒真珠を撫でてみても、徐々に気持ちが浮上しなくなってきた。
そんな日々を過ごすうちに食事が喉を通らなくなった。
食べないとササラに「マナーがなっていない」と叱られる。だから、食事の時は何とか飲み下し、その後にトイレで吐き戻すようになった。
さすがにトイレのことまでは見られないから、注意されない。吐き戻すことは汚くても、怒られない。
苦しいけれど吐くことが唯一の自由のような気がした。
そう思うと、苦しいときには吐き戻せば気持ちがスッキリする、という変な癖がついてしまった。
ウルイは見る間に痩せて、ライがとても心配してくれた。病院に連れて行かれたが、吐いていることは内緒にした。
病院の先生からは「住む環境が変わったことでのストレスでしょう」と言われた。
栄養剤と体力回復の薬を処方された。苦い薬だけれど、薬を飲んでいればライが安心するから飲んだ。
(もし僕がいなくなれば、ライは新しいオメガを作れるのかな)
そんなことを考えるようになった。
三度目のライの発情期が終えた後、これまでと違ってウルイの回復に時間がかかった。
全身がしんどくて全く動けなかった。微熱も引かなかった。
往診に来てくれた医師からは、「何とか体力をつけないと危険だ」と言われた。それを聞いたライが大慌てした。起き上がれるようになるまで、仕事を休んで付き添ってくれた。
処方された液状の栄養剤は吐かずにすんだ。ササラたちがいなければ吐く必要もなかった。
種類が増えた栄養剤と薬のおかげで、徐々にウルイの体力が戻った。発情期後から十日が経過していた。
「ウルイ、よければスープを飲んでみる? 最近栄養ドリンクとゼリー類は口にできているから、温かいスープはいけるかな?」
ライは毎日優しく食べ物を勧めてくる。ウルイの体力は戻っても、食べたい気持ちは戻っていない。
栄養ドリンクとゼリーがあれば良いと思うけれど、毎日断ってばかりはライに申し訳ない。
「あの、全部食べられないかもだし、口に運ぶだけで精一杯かもだけど、それでも良いなら、もらおうかな」
無理なら吐いてしまえば良い、と考えた。
「いいよ! 食べる気になっただけでも嬉しい! 野菜のポタージュとポトフを用意してあるよ」
「え? 二種類も?」
スープ二皿も胃に入るだろうか。急に不安になってくる。もしササラが運んできたら残すことなどできない。
やはり断ろうとしたが、すでにライが侍女に指示を出していた。
「どっちか食べたいほうを選べたらいいかなって思ってね」
にこにこ笑うライを見て、『やっぱりいらない』とは言えなかった。
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