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Ⅶ ガリイ国の奴隷<Sideライ>
④
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死を覚悟したけれど、ライは運良く人さらいに助けられていた。この場合、助けられたと言えるのか分からないのだが。
人さらいたちはガリイ国国境近くの土木作業をする労働力集めをしていたようだ。ライは知らないうちに国境付近に来ていたらしい。砂漠で見えた光はガリイ国の光だった。オアシスではなかった。
ガリイ国は貴族階級の特権意識が強く、人種差別制度のある国だ。田舎集落から人をさらい強制労働をさせても問題とならない。
国民を大切にするアドレアとは大違いだ。こんな横暴に国民がよく我慢していると思う。いや、我慢しなくては生きて行けないのだろうと考え直す。
アドレアとは国交が無く、ガリイ国の情報が乏しいことが悔しく思えた。
ライの意識が戻ったとき、人さらいの荷馬車から労働現場に引き渡される時だった。そのときはライの腕の中にウルイが居た。気を失ってもウルイを手放さなかった自分を褒めたかった。
そのまま労働場所の選別をされて、ライは重労働の土木現場になり、ウルイは軽作業現場に振り分けられた。ライは記憶喪失のフリをした。
絶対にウルイと離れたくなかったが、強制的に離されてしまった。
青ざめて目覚めないままのウルイが運ばれていくのを見て、腹の底が燃え上がるような怒りを感じた。
しかし、ここで暴れるわけにはいず、何とか気持ちを抑えた。いくらアルファであっても、これだけの敵の中で勝てるとは思えない。犬ハイエナとの一戦で数には勝てないと実感している。
ライ自身の体力を回復しなければ今すぐの逃走も成功しないだろう。ウルイとともにアドレアに帰るための策を練らなくてはいけない。
(ウルイ、必ず助ける)
連れられて行くウルイを見つめ、悔しさに震える拳を握りしめた。
ライの作業はガリイ国の国境壁の設置のようだ。その労働力として収容されたらしい。今いる場所がアドレアから遠く離れた場所ではない事にライは安堵した。
「あなたは何処から来たのですか?」
傍で働く三十代ほどの男性に声をかけてみた。
「あぁ、この近くのダラ村だ」
「働き手が急に不在になって家族が困っているでしょうね。残された家族が探しているでしょう」
ライが声をかけると男性は驚いたような顔をした。
「いや、よくあることだろう。強制労働に捕まったなら諦めているさ」
淡々とした男性の返事にライの方が驚いた。
「帰りたいと思わないのですね」
「ま、強制労働は国民の義務だからなぁ。捕まったなら仕方ないさ」
ライは『強制労働は国民の義務』という言葉を心に留めた。
つまり、この人たちにとって家族より自分の事より、国のために働くことが優先されるのだ。そんな認識を植え付けられているのだ。
「もし、この場所で死ぬまで働くとしたら、それを受け入れるのですか?」
「お前は何を言ってんだ? そんなの義務なのだから当然だろう」
苦笑する男性にライは会釈を返した。ライは心の中で(そんなのオカシイだろうが!)と叫んでいた。
そのほか数名に声をかけてみたが、自分の幸せを考える人は居なかった。
もしこの場から逃げようと考える者がいれば同志として心強いと考えたが、同士探しは無理だと諦めた。
彼らはなぜ理不尽な状況を受け入れるのか不思議だった。
食事の時間はライにとって最高な時間だ。
食事内容は貧相で味気のないものだが、ウルイを見る事ができる。ウルイもライに気がついて軽く手を振ってくる。
ガリイ国の人たちには逃走や反抗の意思がないため労務時間以外の監視が緩い。食事時間や夜間の監視には重点を置いていない。働かせることが監視の仕事と言ってもいいくらいだ。
だからウルイを見つけたら傍で食べることができる。怪しいと思われてはいけないから、言葉を交わすのは少しだけど、声が聞けて調子が分かるだけで安心する。
すでにガリイ国に来て五日が経過していた。
人さらいたちはガリイ国国境近くの土木作業をする労働力集めをしていたようだ。ライは知らないうちに国境付近に来ていたらしい。砂漠で見えた光はガリイ国の光だった。オアシスではなかった。
ガリイ国は貴族階級の特権意識が強く、人種差別制度のある国だ。田舎集落から人をさらい強制労働をさせても問題とならない。
国民を大切にするアドレアとは大違いだ。こんな横暴に国民がよく我慢していると思う。いや、我慢しなくては生きて行けないのだろうと考え直す。
アドレアとは国交が無く、ガリイ国の情報が乏しいことが悔しく思えた。
ライの意識が戻ったとき、人さらいの荷馬車から労働現場に引き渡される時だった。そのときはライの腕の中にウルイが居た。気を失ってもウルイを手放さなかった自分を褒めたかった。
そのまま労働場所の選別をされて、ライは重労働の土木現場になり、ウルイは軽作業現場に振り分けられた。ライは記憶喪失のフリをした。
絶対にウルイと離れたくなかったが、強制的に離されてしまった。
青ざめて目覚めないままのウルイが運ばれていくのを見て、腹の底が燃え上がるような怒りを感じた。
しかし、ここで暴れるわけにはいず、何とか気持ちを抑えた。いくらアルファであっても、これだけの敵の中で勝てるとは思えない。犬ハイエナとの一戦で数には勝てないと実感している。
ライ自身の体力を回復しなければ今すぐの逃走も成功しないだろう。ウルイとともにアドレアに帰るための策を練らなくてはいけない。
(ウルイ、必ず助ける)
連れられて行くウルイを見つめ、悔しさに震える拳を握りしめた。
ライの作業はガリイ国の国境壁の設置のようだ。その労働力として収容されたらしい。今いる場所がアドレアから遠く離れた場所ではない事にライは安堵した。
「あなたは何処から来たのですか?」
傍で働く三十代ほどの男性に声をかけてみた。
「あぁ、この近くのダラ村だ」
「働き手が急に不在になって家族が困っているでしょうね。残された家族が探しているでしょう」
ライが声をかけると男性は驚いたような顔をした。
「いや、よくあることだろう。強制労働に捕まったなら諦めているさ」
淡々とした男性の返事にライの方が驚いた。
「帰りたいと思わないのですね」
「ま、強制労働は国民の義務だからなぁ。捕まったなら仕方ないさ」
ライは『強制労働は国民の義務』という言葉を心に留めた。
つまり、この人たちにとって家族より自分の事より、国のために働くことが優先されるのだ。そんな認識を植え付けられているのだ。
「もし、この場所で死ぬまで働くとしたら、それを受け入れるのですか?」
「お前は何を言ってんだ? そんなの義務なのだから当然だろう」
苦笑する男性にライは会釈を返した。ライは心の中で(そんなのオカシイだろうが!)と叫んでいた。
そのほか数名に声をかけてみたが、自分の幸せを考える人は居なかった。
もしこの場から逃げようと考える者がいれば同志として心強いと考えたが、同士探しは無理だと諦めた。
彼らはなぜ理不尽な状況を受け入れるのか不思議だった。
食事の時間はライにとって最高な時間だ。
食事内容は貧相で味気のないものだが、ウルイを見る事ができる。ウルイもライに気がついて軽く手を振ってくる。
ガリイ国の人たちには逃走や反抗の意思がないため労務時間以外の監視が緩い。食事時間や夜間の監視には重点を置いていない。働かせることが監視の仕事と言ってもいいくらいだ。
だからウルイを見つけたら傍で食べることができる。怪しいと思われてはいけないから、言葉を交わすのは少しだけど、声が聞けて調子が分かるだけで安心する。
すでにガリイ国に来て五日が経過していた。
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