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Ⅶ ガリイ国の奴隷<Sideライ>
⑤
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「ウルイ、今日の調子はどうだ?」
食事の配給の混雑に紛れてウルイの傍に行く。
「大丈夫だよ」
ライを見るウルイの顔に疲れが滲んでいる。手元のウルイの食事皿を見た。スープに固いパンが一切れと炒め豆がスプーン一盛り分。ライの食事皿にはパンがひとつ余分にある。
これっぽっちで労働をさせるなど、アドレアでは有り得ないと思う。知れば知るほどガリイ国に怒りが湧き上がる。
この食事場は、奥に厨房があり手前に簡素な長テーブルがいくつか並ぶだけの小屋だ。だから人が入りきらないと野外で食べる。
この労働現場では五百人以上が労働している。食事時間は一斉に始まるから人が溢れる。時間帯をずらすとか、もっと効率よくすれば良いのに、と思ってしまう。
ライはウルイに「外で食べよう」と声を掛けた。ウルイが頷いてライについてくる。
食事場から出て廃材となった木材に腰掛けると、隣にウルイが座る。
「ライこそ、重労働は平気?」
「俺にしてみたら、そんなに大変でも無いよ」
「あはは。そりゃそうか」
アルファだからだろ、とウルイが言いたいことが伝わってきて、顔を見合わせて二人で小さく笑った。
「はい、ウルイ。食べて」
ライは自分のパンを半分ウルイに渡した。
「だめだよ。僕はこれで十分だ。ライは重労働だから食事が多いんだ。もし食べなければ倒れるよ。力が出ないだろ。それは困る」
「俺はウルイが心配なんだ。足の傷の回復が遅い。ここでは労働者の傷の手当はしてもらえないだろ。ウルイは痩せたことで体力が落ちている。犬ハイエナに噛まれたってだけでも化膿しやすいのに、食べて抵抗力つけなきゃ」
「いや、僕はいいよ。正直、疲れてしまってあまり食欲がなくて。もちろん、自分の分は全部食べる。いざという時のために体力は落とさないようにするよ」
軽く微笑むウルイを抱き締めたかった。だけど目立つ行動がとれず、微笑みを返すだけに留める。ウルイの足の傷を確認したくて、物を落とした振りをして足元にかがんだ。
ライの意図を読んで、ウルイが作業着ズボンを少し上げる。巻かれている包帯は汚れているものの出血や腫脹している様子はない。
ライは姿勢を直して空を見上げた。一呼吸して、ウルイに微笑みかける。
「痛くないか?」
「うん。もう大丈夫。ライは、すごいね。もうカサブタだ」
ウルイの目線がライの腕に向いている。
「昔から回復が早いんだ。病気も怪我も」
犬ハイエナにつけられたライの傷は筋肉に至る深さだったが、すでに痛みもない。通常なら二週間ほどかかる回復過程だろう。
こんなところがアルファだなぁと感じるが、今はこの回復力に感謝したい。
「うん。俺は大丈夫だ。ウルイ、俺を信じて耐えていて」
ウルイが頷いてニコリと微笑んだ。首元の黒真珠を服から出して見せてくれる。その顔を見て楽しかった王都デートがライの頭に駆け巡る。
このままウルイを抱き抱えて、走ってアドレアに帰りたいと思った。
その時、『ピーー』と笛が鳴り響いた。その音に周囲の人が食事場に戻っていく。食事時間終了の合図だ。
「じゃ、ライ。またね」
ウルイが先に戻る。怪しまれないために密着しすぎないよう注意しているが、ウルイが去っていく姿を見るのが寂しくて辛い。
(絶対に助けるから)
ウルイの後姿に誓った。
食事の配給の混雑に紛れてウルイの傍に行く。
「大丈夫だよ」
ライを見るウルイの顔に疲れが滲んでいる。手元のウルイの食事皿を見た。スープに固いパンが一切れと炒め豆がスプーン一盛り分。ライの食事皿にはパンがひとつ余分にある。
これっぽっちで労働をさせるなど、アドレアでは有り得ないと思う。知れば知るほどガリイ国に怒りが湧き上がる。
この食事場は、奥に厨房があり手前に簡素な長テーブルがいくつか並ぶだけの小屋だ。だから人が入りきらないと野外で食べる。
この労働現場では五百人以上が労働している。食事時間は一斉に始まるから人が溢れる。時間帯をずらすとか、もっと効率よくすれば良いのに、と思ってしまう。
ライはウルイに「外で食べよう」と声を掛けた。ウルイが頷いてライについてくる。
食事場から出て廃材となった木材に腰掛けると、隣にウルイが座る。
「ライこそ、重労働は平気?」
「俺にしてみたら、そんなに大変でも無いよ」
「あはは。そりゃそうか」
アルファだからだろ、とウルイが言いたいことが伝わってきて、顔を見合わせて二人で小さく笑った。
「はい、ウルイ。食べて」
ライは自分のパンを半分ウルイに渡した。
「だめだよ。僕はこれで十分だ。ライは重労働だから食事が多いんだ。もし食べなければ倒れるよ。力が出ないだろ。それは困る」
「俺はウルイが心配なんだ。足の傷の回復が遅い。ここでは労働者の傷の手当はしてもらえないだろ。ウルイは痩せたことで体力が落ちている。犬ハイエナに噛まれたってだけでも化膿しやすいのに、食べて抵抗力つけなきゃ」
「いや、僕はいいよ。正直、疲れてしまってあまり食欲がなくて。もちろん、自分の分は全部食べる。いざという時のために体力は落とさないようにするよ」
軽く微笑むウルイを抱き締めたかった。だけど目立つ行動がとれず、微笑みを返すだけに留める。ウルイの足の傷を確認したくて、物を落とした振りをして足元にかがんだ。
ライの意図を読んで、ウルイが作業着ズボンを少し上げる。巻かれている包帯は汚れているものの出血や腫脹している様子はない。
ライは姿勢を直して空を見上げた。一呼吸して、ウルイに微笑みかける。
「痛くないか?」
「うん。もう大丈夫。ライは、すごいね。もうカサブタだ」
ウルイの目線がライの腕に向いている。
「昔から回復が早いんだ。病気も怪我も」
犬ハイエナにつけられたライの傷は筋肉に至る深さだったが、すでに痛みもない。通常なら二週間ほどかかる回復過程だろう。
こんなところがアルファだなぁと感じるが、今はこの回復力に感謝したい。
「うん。俺は大丈夫だ。ウルイ、俺を信じて耐えていて」
ウルイが頷いてニコリと微笑んだ。首元の黒真珠を服から出して見せてくれる。その顔を見て楽しかった王都デートがライの頭に駆け巡る。
このままウルイを抱き抱えて、走ってアドレアに帰りたいと思った。
その時、『ピーー』と笛が鳴り響いた。その音に周囲の人が食事場に戻っていく。食事時間終了の合図だ。
「じゃ、ライ。またね」
ウルイが先に戻る。怪しまれないために密着しすぎないよう注意しているが、ウルイが去っていく姿を見るのが寂しくて辛い。
(絶対に助けるから)
ウルイの後姿に誓った。
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