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Ⅱ章「幸せを運ぶコウノトリと小さな文鳥の幸せ番」
side:加藤幸一⑨ ※
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<愛しい番鳥>
「あ~、もう大学行くの面倒になった。ずっとリモートでいいかぁ」
ソファーに寝そべっている徹。
旅行から帰宅して、家の中ではズボラな徹が戻ってきた。普通の幸せに顔が緩む。
「良いと思うけど。徹に任せる。一応試験とレポートは必須、卒論とリモート出席七割以上で卒業できる事になってるよ」
「そうなのか。でも、幸一が臨床実習いけないと困るなぁ。仕方ない。大学行くか。幸一、俺さ、大学で誘拐されたから敷地内怖いんだけど、どうしたらいいかな」
「俺としては、徹には卒業までリモートで自宅にいて欲しい。俺が同学年で同学部なら良いけれど、離れている時間が嫌だ。俺が不安で自分の授業どころじゃなくなる。俺の臨床実習や必要授業は俺だけ大学に行く。すぐに帰るから。その間は家から動かないで。お願い」
「うん。それが一番かな。そうしよう」
クリスマスの買い物に少し外出することがあるけれど、俺が付き添っての外出。外でパニック発作を起こして辛い思いをさせたくない。徹のペースでゆっくり回復してほしい。
俺の前ではいつもの徹になった。食欲が戻り頬もふっくらしてきた。顔色も良く黒い瞳がキラキラしている。それだけで十分だ。
「メリークリスマス!」
徹と声をかけ合い、乾杯する。白のシャンパンの泡が綺麗に見える。
「飲みすぎるなよ。旅行の時のグダグダは勘弁だ」
徹が笑う。
「分かっているよ。俺、アルコール得意じゃない。この一杯にするよ。あ、シャンパン旨いな」
室内をばさりとコウノトリが舞う。今日はコウノトリと文鳥がお揃いのサンタマントを着けている。ネットで見つけて「絶対に似合う」と徹が即買いした。飛ぶとマントがひらりとして楽しいらしく、さっきから二鳥が室内をバサバサ飛んでいる。
「可愛いサンタだ。あー帽子もつければよかった」
「帽子は絶対嫌がるだろ。特に大型鳥は不向きって書いてあったじゃん」
「そうなんだけどさぁ、やっぱし着けたくて小型用を買ったんだよ。だけど、コウノトリとお揃いじゃないなら嫌だって突っぱねられた。俺の鳥、気が強いんだよ」
途端に文鳥が徹めがけて飛んでくる。
「こら、やめろ!」
文鳥が徹の頭を数回足蹴りしていく様子を見て笑いが止まらない。
「ほんっと、誰に似たんだよ」
ブツブツ小声でつぶやいている。
「分身鳥の性格って、人に似るのかな。俺のコウノトリはおっとり系かな」
「こいつらが言葉をしゃべったら面白いよな」
「あ、そうだ。そう言えば俺のコウノトリが時々心に声を届けてくれるようになったんだ。徹に伝えたかったんだ」
「え? すごいじゃんか。良かったな、幸一。そうだな、幸一はコウノトリそのものだな。幸せを運んでくれる。きっとコウノトリの心を救ったのは幸一だ。俺も救ってもらった。幸一、お前すごいな。一生懸命で真っすぐで、あったかい。裏がない愛情を、ありがとう」
真っすぐに俺を見て徹がニッコリする。嬉しくて手が震える。
「違うよ、そんなことない。いつもどうしていいか分からなくて、必死なだけだ。徹が居ないと俺ダメなんだ」
「まぁ、そうだな。こんな俺たちだから番なんだろうな。俺、幸一と番鳥で満足だ。」
徹が勢いよくフォークでホールケーキにかぶりつく。
「あぁ、おい、カットしなくていいのか?」
「いいんだよ。好きに食べて楽しもうよ」
徹のフォークでケーキをほじって、俺の口元に「あーん」と差し出す。徹が楽しいならいい。パクリと一口。
「うっまぃ」
「出た出た! 幸一のうっまい。それ聞きたかった!」
ケラケラ笑う徹を、このぉ~~、と抱きしめる。徹を膝に抱き、お互いにオードブルやチキンを食べさせたり自分で食べたり、キスしたり。
本当にうれしかった。徹が笑っている。俺も満足だよ。伝わるように、抱きしめてそっとキス。今日はシャンパンをグラスに二杯だけ。美味しいけれど、俺は飲みすぎて泣き上戸になる事が分かったから今日は控える。
少し赤い顔をして上機嫌な徹。アルコールはいるとこんな風なのか。可愛い。旅行の時には自分が酔っぱらってしまい気づかなかった。
徹と一緒にお風呂に入る。今日は俺に全て任せて洗わせてくれる。湯船に入ると徹が俺に寄りかかってくる。
「勃ってる」
「そりゃあ、徹との風呂だし」
「……する?」
「したいけど、我慢する。徹が望むまで、待つ」
「いいよ。多分、幸一なら大丈夫。だけど、俺、綺麗じゃないから、幸一が気にしないならいいけど……」
「綺麗だ。俺は徹だけが輝いて見える。俺にとって徹は美しい美味しそうな金魚だ」
黒い瞳が俺を見上げる。
「汚れて、ごめん」
「分かってない。徹は、あいつらを愛したのか? 違うだろう。そんな行為はウン〇と一緒だ。ウン〇をセックスの回数に入れるなよ。俺はウン〇じゃなくて、徹の全てを愛す行為をしたいんだ」
ポカンと俺を見つめる徹。
「……ウン〇。幸一、お前、スゲーな。そんな風に考えたこと無かった。そうか、ははは。ウン〇か」
徹が、だんだんと声をあげて笑い出す。
ちょっと表現を間違えたのか? よく分からなくて恥ずかしくて、口を塞ぐようにキスをする。笑い声を飲み込むようなキスで、少し息が苦しそうな徹が色っぽい。
「今日が徹の初めてのセックスになる。俺も初めてで、上手く出来なかったら、あの、ごめん。少しでも痛かったら、怖かったら直ぐ止めるから」
「いいよ。幸一なら大丈夫。こうして裸で密着していても怖くないし。それに、俺、最近風呂で勃っちゃうから……」
恥ずかしそうに下を向く。旅行以降、徹が時々勃起しているのは知っている。触れられたくないかと思い、そっとしていた。
「知っている。もう、ほんと色っぽくて鼻血垂れないか心配だった……」
「おい、見てたのかよ。」
真っ赤な徹に、パシャリと湯をかけられる。そのままザバっと湯船から出てしまう徹を追いかけて捕まえる。
「ごめん。徹の裸、色っぽいんだ。いつもドキドキしてる。そんな徹の勃起だぞ。目が釘付けになるだろう」
抱きしまたまま必死で謝ったけど、さらに真っ赤になった徹から「わかったから、もう何も言うな」と言われた。
黙って、正面から抱きしめなおすと、俺の起立と徹のが触れ合う。心臓がドキドキうるさい。徹のは、細いわりに長くて形が綺麗。すっとして、徹の立ち姿そのものだ。固くなって立ち上がった姿も美しい。
俺のともっと密着させたくて腰を押し付ける。徹の腰を抱き締めて互いの腹の間に起立を挟み込む。真っ赤になり目を泳がせる徹にキスをする。自然と腰が揺れる。気持ちいい。徹の口から「んぅ~~」と上がる声に興奮する。可愛い。全部、俺のだ。
抱え上げてベッドに行く。俺の鳥と徹の鳥は浴室でまだ湯遊び。バスタオルを置いてドアを開けておく。こうしておけば、好きな時に出てきてリビングで遊ぶだろう。
ベッドにそっと徹を降ろしてバスタオルで身体を拭く。時々舐めて甘噛みすると「ふふ」っと笑いが漏れる。時々ビクっと動く身体が愛おしい。
「大丈夫?」
頬を両手で包んで、そっと確認する。
「うん。俺も、触りたい」
赤い顔で俺の胸筋を両手で触れる徹。身体の線を確認するようにゆっくりなぞっていく。
「結構筋肉ある。俺と違う。ココも、大きいな。俺のが子供サイズみたいだ」
俺の起立を撫で上げる。たまらずに腰が揺れる。
「筋肉は、毎日の筋トレの成果かな。何かあったときには徹を抱えて十キロ以上は走り切りたいからな」
「ぶはっ。何だよそれ。何基準?」
「俺の徹保護基準だ。移動手段がなくても十キロ圏内は守り抜く」
あはは、と笑う徹にキス。
今度は俺が触る番。桜色の突起を手で摘む。コリッとして癖になりそうな触り心地。指の腹でグリグリとその感触を楽しむ。「うぁ、ちょっと」徹の笑いが消えて、またビクっとする。
綺麗な活きのいい魚、いや人魚だ。徹の不思議な魅力に酔ってしまう。
胸の突起をいじりながら、スマートな起立を手で確認。そのまま手で包み込み、そっとしごく。くちゅっと湿ってくるのが分かると、夢中になって口の中に含んだ。徹に尽くしたくて、愛したくて。
「あぁ、幸一! ちょっと!」身体をビクビクと跳ねさせて、徹が俺の顔を離そうと弱弱しい抵抗をする。けど、気持ちいいのは口の中の存在から分かる。下手だったらごめん。気持ちよくなってほしくて、舌を使い吸い付いて奉仕する。徹のあげる短い嬌声が俺を煽る。
ぐっと腰に力が入り、徹からビュルっと飛び出たものを飲み下す。脱力して荒い息の徹を見下ろす。艶めいている。
「ばか」
涙目の一言が愛らしくて、そっと触れるキス。
「ニガい」
恥ずかしそうに横を向く徹の頭を撫でる。
「進めていい?」
横を向いたまま、コクリと頷いてくれる。嬉しくて、そっと抱きしめる。
徹の背中に枕をいれて、腰を上げさせる。一度出して萎えている陰茎にキスをすると、少し起ち上る。そのまま袋にキス。袋も左右対称で美しい。
口に含んで玉をコロコロすると太ももに力が入りまた完全に起ち上る。小さな嬌声が色っぽい。ジェルをたっぷり手に取り、ゆっくりと徹の後ろをほぐす。緊張している感はあるけれど、萎えてない。身体の震えもない。ゆっくり時間をかけて気持ち良くなるように。
ココで繋がれたら、きっと感動で泣いてしまう。指で触りながら徹の温かさに、感じる姿に欲望が抑えきれない。片手で自分の起立を慰める。
「もう、いいよ。入ってきて」
我慢できずに自分で擦っているのを気づかれる。優しく微笑む徹。俺、カッコ悪い。ちょっと見栄を張りたくもなった。
「大丈夫。我慢できる。もう少し慣らして……」
「ばか。俺がじれったいんだよ。言わせるな」
真っ赤になって横を向く徹。胸がいっぱいになる。俺だけがカッコ悪いんじゃない。徹もさらけ出してくれている。嬉しくて涙が滲む。
「徹、大好きだ。大切にするつもりだけど、我慢できなくなって無茶したら殴っていいから」
「とにかく、おいで」
赤い顔でニッコリ笑ってくれる。
そっと徹の中に沈み込む。高い嬌声を上げて、でも決して苦しいとは言わない徹の優しさに感動して涙が出た。
可愛くビクつく徹の身体が落ち着くまで根性で動かなかった。
「うごいて、いいよ」とか細い声が聞こえて、必死で我慢して柔らかく動いていたのに、いつの間にか貪るように食らいついてしまった。
俺が二回達して、はっと我に返ったとき、徹はほとんど放心状態だった。「あ~~」と細い声を漏らして身体をびくつかせていた。何回か達したであろうドロドロの徹を見て激しく後悔した。キスマークも沢山残してしまっていた。
すぐに徹から抜け出て「ごめん」と声をかけると、「満足、した?」と弱い息で声を出し、カクリと意識を失ってしまう。驚いてしまい、「徹、徹、大丈夫か?」と何度か揺さぶってしまった。
「もう、休ませて……」
弱い声だけが聞こえて、慌ててそっとベッドに休ませる。涙の残る目元にキスを落とす。徹、大好きだ。
ついそのまま一緒にまどろみそうになり、はっと俺の意識を全力覚醒させる。
そうだよ! 後処理だ! 徹が気持ち悪くないように、全身を清めて綺麗なシーツに変えなきゃ。
その後は、丁寧に徹を拭いて、服を着せて清潔なベッドで寝かせた。起こさないように細心の注意を払った。一息ついて一緒にベッドに入って、寝入っている徹を抱き締める。そっと「愛している」と伝えた。
俺たちの鳥はいつの間にかベッドルームの鳥用ベッドに戻っていて、寝入った文鳥を俺の鳥が温めるように抱きしめていた。
「あ~~、起きられない。今日はベッドから出ない~~」
朝目が覚めて、身体のあちこちが痛いと甘える徹。
「徹、ゴメン。途中から夢中になって全然気遣えなかった。俺、暴走した。辛い思いさせていたらゴメン」
慌てて謝ると、グイっと引き寄せられる。触れるだけのキス。
「大丈夫。怖くなかったし、すごかった。セックス、気持ち良かった。愛してる~って実感するよな」
目元がいたずらっぽく笑みを浮かべている。嬉しくて可愛らしくてもう一度キスをする。
「徹、大好きだ。今日はベッドでダラダラしよう。俺、ご飯も全部ここで一緒に食べる。とにかく一緒に居たい」
「冬休みだから授業もないしな」
「じゃ、朝ごはん作るから待っていて。もう少し寝ていて。サンドイッチでいい?」
「うん。ハムとレタスがいい。苺ジャムも欲しい」
了解、と徹の頭を撫でてベッドを後にする。
ふわりと徹の肩に飛び乗る文鳥。会話するように笑い合っている。肩に乗ってくる俺の鳥に「幸せだな」と声をかける。「幸せだね」心に声が届く。温かいものが身体中に満ちてくる。
俺はこの幸せを守っていこうと俺の鳥と誓い合った。
「あ~、もう大学行くの面倒になった。ずっとリモートでいいかぁ」
ソファーに寝そべっている徹。
旅行から帰宅して、家の中ではズボラな徹が戻ってきた。普通の幸せに顔が緩む。
「良いと思うけど。徹に任せる。一応試験とレポートは必須、卒論とリモート出席七割以上で卒業できる事になってるよ」
「そうなのか。でも、幸一が臨床実習いけないと困るなぁ。仕方ない。大学行くか。幸一、俺さ、大学で誘拐されたから敷地内怖いんだけど、どうしたらいいかな」
「俺としては、徹には卒業までリモートで自宅にいて欲しい。俺が同学年で同学部なら良いけれど、離れている時間が嫌だ。俺が不安で自分の授業どころじゃなくなる。俺の臨床実習や必要授業は俺だけ大学に行く。すぐに帰るから。その間は家から動かないで。お願い」
「うん。それが一番かな。そうしよう」
クリスマスの買い物に少し外出することがあるけれど、俺が付き添っての外出。外でパニック発作を起こして辛い思いをさせたくない。徹のペースでゆっくり回復してほしい。
俺の前ではいつもの徹になった。食欲が戻り頬もふっくらしてきた。顔色も良く黒い瞳がキラキラしている。それだけで十分だ。
「メリークリスマス!」
徹と声をかけ合い、乾杯する。白のシャンパンの泡が綺麗に見える。
「飲みすぎるなよ。旅行の時のグダグダは勘弁だ」
徹が笑う。
「分かっているよ。俺、アルコール得意じゃない。この一杯にするよ。あ、シャンパン旨いな」
室内をばさりとコウノトリが舞う。今日はコウノトリと文鳥がお揃いのサンタマントを着けている。ネットで見つけて「絶対に似合う」と徹が即買いした。飛ぶとマントがひらりとして楽しいらしく、さっきから二鳥が室内をバサバサ飛んでいる。
「可愛いサンタだ。あー帽子もつければよかった」
「帽子は絶対嫌がるだろ。特に大型鳥は不向きって書いてあったじゃん」
「そうなんだけどさぁ、やっぱし着けたくて小型用を買ったんだよ。だけど、コウノトリとお揃いじゃないなら嫌だって突っぱねられた。俺の鳥、気が強いんだよ」
途端に文鳥が徹めがけて飛んでくる。
「こら、やめろ!」
文鳥が徹の頭を数回足蹴りしていく様子を見て笑いが止まらない。
「ほんっと、誰に似たんだよ」
ブツブツ小声でつぶやいている。
「分身鳥の性格って、人に似るのかな。俺のコウノトリはおっとり系かな」
「こいつらが言葉をしゃべったら面白いよな」
「あ、そうだ。そう言えば俺のコウノトリが時々心に声を届けてくれるようになったんだ。徹に伝えたかったんだ」
「え? すごいじゃんか。良かったな、幸一。そうだな、幸一はコウノトリそのものだな。幸せを運んでくれる。きっとコウノトリの心を救ったのは幸一だ。俺も救ってもらった。幸一、お前すごいな。一生懸命で真っすぐで、あったかい。裏がない愛情を、ありがとう」
真っすぐに俺を見て徹がニッコリする。嬉しくて手が震える。
「違うよ、そんなことない。いつもどうしていいか分からなくて、必死なだけだ。徹が居ないと俺ダメなんだ」
「まぁ、そうだな。こんな俺たちだから番なんだろうな。俺、幸一と番鳥で満足だ。」
徹が勢いよくフォークでホールケーキにかぶりつく。
「あぁ、おい、カットしなくていいのか?」
「いいんだよ。好きに食べて楽しもうよ」
徹のフォークでケーキをほじって、俺の口元に「あーん」と差し出す。徹が楽しいならいい。パクリと一口。
「うっまぃ」
「出た出た! 幸一のうっまい。それ聞きたかった!」
ケラケラ笑う徹を、このぉ~~、と抱きしめる。徹を膝に抱き、お互いにオードブルやチキンを食べさせたり自分で食べたり、キスしたり。
本当にうれしかった。徹が笑っている。俺も満足だよ。伝わるように、抱きしめてそっとキス。今日はシャンパンをグラスに二杯だけ。美味しいけれど、俺は飲みすぎて泣き上戸になる事が分かったから今日は控える。
少し赤い顔をして上機嫌な徹。アルコールはいるとこんな風なのか。可愛い。旅行の時には自分が酔っぱらってしまい気づかなかった。
徹と一緒にお風呂に入る。今日は俺に全て任せて洗わせてくれる。湯船に入ると徹が俺に寄りかかってくる。
「勃ってる」
「そりゃあ、徹との風呂だし」
「……する?」
「したいけど、我慢する。徹が望むまで、待つ」
「いいよ。多分、幸一なら大丈夫。だけど、俺、綺麗じゃないから、幸一が気にしないならいいけど……」
「綺麗だ。俺は徹だけが輝いて見える。俺にとって徹は美しい美味しそうな金魚だ」
黒い瞳が俺を見上げる。
「汚れて、ごめん」
「分かってない。徹は、あいつらを愛したのか? 違うだろう。そんな行為はウン〇と一緒だ。ウン〇をセックスの回数に入れるなよ。俺はウン〇じゃなくて、徹の全てを愛す行為をしたいんだ」
ポカンと俺を見つめる徹。
「……ウン〇。幸一、お前、スゲーな。そんな風に考えたこと無かった。そうか、ははは。ウン〇か」
徹が、だんだんと声をあげて笑い出す。
ちょっと表現を間違えたのか? よく分からなくて恥ずかしくて、口を塞ぐようにキスをする。笑い声を飲み込むようなキスで、少し息が苦しそうな徹が色っぽい。
「今日が徹の初めてのセックスになる。俺も初めてで、上手く出来なかったら、あの、ごめん。少しでも痛かったら、怖かったら直ぐ止めるから」
「いいよ。幸一なら大丈夫。こうして裸で密着していても怖くないし。それに、俺、最近風呂で勃っちゃうから……」
恥ずかしそうに下を向く。旅行以降、徹が時々勃起しているのは知っている。触れられたくないかと思い、そっとしていた。
「知っている。もう、ほんと色っぽくて鼻血垂れないか心配だった……」
「おい、見てたのかよ。」
真っ赤な徹に、パシャリと湯をかけられる。そのままザバっと湯船から出てしまう徹を追いかけて捕まえる。
「ごめん。徹の裸、色っぽいんだ。いつもドキドキしてる。そんな徹の勃起だぞ。目が釘付けになるだろう」
抱きしまたまま必死で謝ったけど、さらに真っ赤になった徹から「わかったから、もう何も言うな」と言われた。
黙って、正面から抱きしめなおすと、俺の起立と徹のが触れ合う。心臓がドキドキうるさい。徹のは、細いわりに長くて形が綺麗。すっとして、徹の立ち姿そのものだ。固くなって立ち上がった姿も美しい。
俺のともっと密着させたくて腰を押し付ける。徹の腰を抱き締めて互いの腹の間に起立を挟み込む。真っ赤になり目を泳がせる徹にキスをする。自然と腰が揺れる。気持ちいい。徹の口から「んぅ~~」と上がる声に興奮する。可愛い。全部、俺のだ。
抱え上げてベッドに行く。俺の鳥と徹の鳥は浴室でまだ湯遊び。バスタオルを置いてドアを開けておく。こうしておけば、好きな時に出てきてリビングで遊ぶだろう。
ベッドにそっと徹を降ろしてバスタオルで身体を拭く。時々舐めて甘噛みすると「ふふ」っと笑いが漏れる。時々ビクっと動く身体が愛おしい。
「大丈夫?」
頬を両手で包んで、そっと確認する。
「うん。俺も、触りたい」
赤い顔で俺の胸筋を両手で触れる徹。身体の線を確認するようにゆっくりなぞっていく。
「結構筋肉ある。俺と違う。ココも、大きいな。俺のが子供サイズみたいだ」
俺の起立を撫で上げる。たまらずに腰が揺れる。
「筋肉は、毎日の筋トレの成果かな。何かあったときには徹を抱えて十キロ以上は走り切りたいからな」
「ぶはっ。何だよそれ。何基準?」
「俺の徹保護基準だ。移動手段がなくても十キロ圏内は守り抜く」
あはは、と笑う徹にキス。
今度は俺が触る番。桜色の突起を手で摘む。コリッとして癖になりそうな触り心地。指の腹でグリグリとその感触を楽しむ。「うぁ、ちょっと」徹の笑いが消えて、またビクっとする。
綺麗な活きのいい魚、いや人魚だ。徹の不思議な魅力に酔ってしまう。
胸の突起をいじりながら、スマートな起立を手で確認。そのまま手で包み込み、そっとしごく。くちゅっと湿ってくるのが分かると、夢中になって口の中に含んだ。徹に尽くしたくて、愛したくて。
「あぁ、幸一! ちょっと!」身体をビクビクと跳ねさせて、徹が俺の顔を離そうと弱弱しい抵抗をする。けど、気持ちいいのは口の中の存在から分かる。下手だったらごめん。気持ちよくなってほしくて、舌を使い吸い付いて奉仕する。徹のあげる短い嬌声が俺を煽る。
ぐっと腰に力が入り、徹からビュルっと飛び出たものを飲み下す。脱力して荒い息の徹を見下ろす。艶めいている。
「ばか」
涙目の一言が愛らしくて、そっと触れるキス。
「ニガい」
恥ずかしそうに横を向く徹の頭を撫でる。
「進めていい?」
横を向いたまま、コクリと頷いてくれる。嬉しくて、そっと抱きしめる。
徹の背中に枕をいれて、腰を上げさせる。一度出して萎えている陰茎にキスをすると、少し起ち上る。そのまま袋にキス。袋も左右対称で美しい。
口に含んで玉をコロコロすると太ももに力が入りまた完全に起ち上る。小さな嬌声が色っぽい。ジェルをたっぷり手に取り、ゆっくりと徹の後ろをほぐす。緊張している感はあるけれど、萎えてない。身体の震えもない。ゆっくり時間をかけて気持ち良くなるように。
ココで繋がれたら、きっと感動で泣いてしまう。指で触りながら徹の温かさに、感じる姿に欲望が抑えきれない。片手で自分の起立を慰める。
「もう、いいよ。入ってきて」
我慢できずに自分で擦っているのを気づかれる。優しく微笑む徹。俺、カッコ悪い。ちょっと見栄を張りたくもなった。
「大丈夫。我慢できる。もう少し慣らして……」
「ばか。俺がじれったいんだよ。言わせるな」
真っ赤になって横を向く徹。胸がいっぱいになる。俺だけがカッコ悪いんじゃない。徹もさらけ出してくれている。嬉しくて涙が滲む。
「徹、大好きだ。大切にするつもりだけど、我慢できなくなって無茶したら殴っていいから」
「とにかく、おいで」
赤い顔でニッコリ笑ってくれる。
そっと徹の中に沈み込む。高い嬌声を上げて、でも決して苦しいとは言わない徹の優しさに感動して涙が出た。
可愛くビクつく徹の身体が落ち着くまで根性で動かなかった。
「うごいて、いいよ」とか細い声が聞こえて、必死で我慢して柔らかく動いていたのに、いつの間にか貪るように食らいついてしまった。
俺が二回達して、はっと我に返ったとき、徹はほとんど放心状態だった。「あ~~」と細い声を漏らして身体をびくつかせていた。何回か達したであろうドロドロの徹を見て激しく後悔した。キスマークも沢山残してしまっていた。
すぐに徹から抜け出て「ごめん」と声をかけると、「満足、した?」と弱い息で声を出し、カクリと意識を失ってしまう。驚いてしまい、「徹、徹、大丈夫か?」と何度か揺さぶってしまった。
「もう、休ませて……」
弱い声だけが聞こえて、慌ててそっとベッドに休ませる。涙の残る目元にキスを落とす。徹、大好きだ。
ついそのまま一緒にまどろみそうになり、はっと俺の意識を全力覚醒させる。
そうだよ! 後処理だ! 徹が気持ち悪くないように、全身を清めて綺麗なシーツに変えなきゃ。
その後は、丁寧に徹を拭いて、服を着せて清潔なベッドで寝かせた。起こさないように細心の注意を払った。一息ついて一緒にベッドに入って、寝入っている徹を抱き締める。そっと「愛している」と伝えた。
俺たちの鳥はいつの間にかベッドルームの鳥用ベッドに戻っていて、寝入った文鳥を俺の鳥が温めるように抱きしめていた。
「あ~~、起きられない。今日はベッドから出ない~~」
朝目が覚めて、身体のあちこちが痛いと甘える徹。
「徹、ゴメン。途中から夢中になって全然気遣えなかった。俺、暴走した。辛い思いさせていたらゴメン」
慌てて謝ると、グイっと引き寄せられる。触れるだけのキス。
「大丈夫。怖くなかったし、すごかった。セックス、気持ち良かった。愛してる~って実感するよな」
目元がいたずらっぽく笑みを浮かべている。嬉しくて可愛らしくてもう一度キスをする。
「徹、大好きだ。今日はベッドでダラダラしよう。俺、ご飯も全部ここで一緒に食べる。とにかく一緒に居たい」
「冬休みだから授業もないしな」
「じゃ、朝ごはん作るから待っていて。もう少し寝ていて。サンドイッチでいい?」
「うん。ハムとレタスがいい。苺ジャムも欲しい」
了解、と徹の頭を撫でてベッドを後にする。
ふわりと徹の肩に飛び乗る文鳥。会話するように笑い合っている。肩に乗ってくる俺の鳥に「幸せだな」と声をかける。「幸せだね」心に声が届く。温かいものが身体中に満ちてくる。
俺はこの幸せを守っていこうと俺の鳥と誓い合った。
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卒業後も彼は自分が仕える伯爵家子息に付き添っては教授の元を訪れていた。
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