竜になれない竜人皇子と竜人子爵の優愛

小池 月

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Ⅲ 人殺しの竜人皇子と孤独な竜人貴族の絆愛

竜人貴族キリヤ・リン

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<竜人騎士団>
 竜人区の主城「光城」、離宮の「右の宮」「左の宮」これらの警備は竜人騎士団が担っている。騎士団は、竜人貴族で結成されている。城壁外部警備には人間の警察部隊もいるが、城内は竜人。これは過去に人間による竜人への反逆があったことに起因している。竜人は、権利欲が薄く、悪意を持つことが少ない。生まれた時の己の恵みに感謝をし、その中で懸命に生きていく。一番の喜びは「愛」「家族」といった情だ。人間を疑うことがなかった竜人は、数百年前に人間の反逆で、半数以上が殺害された。家族や伴侶を失った竜人は人間に激しい怒りと嫌悪感を抱いた。神の恵みの還元と命の循環をしなくなった。瞬く間に人間は苦境に立たされていった。

 今後、二度と竜人を攻撃しないこと、竜人は人間と居住区を別にすること、竜人の生活を保障すること、安全を保障すること、など竜人優位の契約を交わし竜人は許した。この一件以降、竜人区には人間は少人数しか居住していない。その中でも城警備となると人間は一切関わらないように決められている。

 城に住む王族には、特殊な神の恵みが授けられるからだ。土地への恵みの他に、竜人への恵み。「光城」からの王の祈りは、竜人の生命力を補う。この竜人への恵みは人間には極秘事項だ。漏れると竜人の弱点を狙われることになる。七年前の王族が狙われた反逆事件。犯罪組織への細かい調査で王族の秘密が漏れていたわけではないことに安堵した。王族の産む金の卵。この卵から「竜人への恵み」を授かる竜人が生まれる。
 これがあるからこそ竜人は毒が効きにくく怪我の回復が早い、強い生命力を得ている。
 現王の金の卵は三つだった。第一皇子オリバー殿下、第二皇子カイト殿下、第三皇子アレク殿下。この特別な王族を守っていくことが竜人騎士団の任務だ。

<騎士団キリヤ・リン>
 「カイト殿下が本日午後の訓練に参加される」
「はっ!」
第四分隊長からの号令。第二皇子カイト殿下か。苦手なタイプだ。嘘っぽい顔に、何事にも適当さを感じる態度。好きになれない。練習に参加してもらえるなら、オリバー殿下が良かった。カイト殿下は、存在がイラっとするタイプだ。
 竜人が成人すると、政務局・総務局・外務局・騎士団のどれかに入る。竜人区の管理職は竜人が主になって回している。俺は騎士団を希望した。今年で入隊二年目。リン子爵家次男。兄が事故死したため、次男だが跡取りとなっている。生命力の強い竜人も大けがを負えば死ぬ。不死身ではない。兄を思い出すと、心がぐっと沈む。身体が大きく逞しかった兄。竜体の鮮やかなオレンジ。夕日みたいに綺麗な双子の兄。

 つい物思いにふけっていると、声がかかる。
「おーい、キリヤ。殿下の愛馬をこちらに移しておいてくれ。あと、鞍つけとけよ。終わったらチェックするぞ」
「はい!」
王族の厩舎に急ぐ。他の隊員は剣技を型にするか打ち合いとするか、披露演技はどうするか、午後の打ち合わせに入っている。
俺は恥ずかしいほど小さな竜体。人型も竜人にしては小さい。騎士団の中で俺だけ頭一つ下にある。小柄の場合、文官系に入局するのだが、俺は騎士団を希望した。向いていないのも分かる。だから、ほとんど雑用状態でも文句を言えない。
ここに居ると、自分と兄との体格差を思い出す。本当は騎士団で頭角を現していただろう兄。いつも「キリヤは可愛い」と俺を甘やかしていた兄。兄を思い出しながら、見事な毛並みの白馬をなだめて、馬番とともに移動させる。

 「敬礼!」
カイト殿下に全員で敬礼をする。
「楽にしていいよ。今日もよろしく」
にこやかに挨拶をする殿下。今日は剣技訓練と馬術訓練に決まった。
「まずは、基本の十の型の打ち込み、隊員による手本披露をいたします。その後、模擬試合を行い、休憩を入れます」
隊長が殿下に本日の訓練内容の説明をしている。俺は、殿下の愛馬の傍で待機している。皆、体格も良く手本剣技も綺麗だな、と見入ってしまった。その時。ブルルッと白馬の荒い息が聞こえた。
「ヒヒ~ン」
鳴き声に振り向くと同じタイミングで背中に衝撃。あっ、と思ったら地面に転がっていた。息ができない。目がかすむ。起き上がれない。周囲がバタバタしている。「うぅ~」うなり声をあげたとき、身体がふわりと持ち上げられた。誰だ。まぶしくて見えない。あれ、この感覚。
「……兄さん?」

 「大丈夫か?」
気が付いたら日陰に運ばれていた。俺を覗き込む美しい顔。
「あ、申し訳ありません!」
すぐに起き上がる。カイト殿下だ。殿下の後ろに、隊長、副隊長。俺、一瞬気を失っていたか。背中が痛い。
「いや、俺の馬が蹴り飛ばしてしまったね。愛馬に代わって謝罪しよう。すまない。背中を見てもいいかい?」
「いえ、大丈夫です。あの、申し訳ありません。お気になさらず、訓練を続けてください」
せっかくの殿下のお時間を俺に費やすわけにいかない。隊長の不機嫌顔。どうか、訓練再会してください。
「殿下。この者は医務室に行かせます。本日は殿下の貴重な視察日です。訓練再開いたしましょう」
副隊長が声をかける。
「いや、今日は中止とする。とりあえず、傷の確認だけすぐにしよう。脱げるか?」
おいおい。何を言っているんだ、この殿下様。
「本当に大丈夫です。申し訳ありません……おわっ」
話途中で、あっという間に殿下に上半身を剥かれてしまう。途端に顔に熱が上がる。恥ずかしい! 騎士団に在籍しているとは思えない白い肌に細い身体。普段雑用が多く、団の中でも裸の付き合いなんてしていないから、薄い身体が情けない。何となく周囲に集まっていた皆の目線が痛い。沈黙。あれ? そんなに大けがになっているのか? 背中をのぞこうとするが、見えない。上体をねじると背中が痛む。
「ぅっ」
声が出てしまい、痛みに止まった呼吸をゆっくり吐き背中を丸める。下を向き、息を整える。涙がじんわり滲む。とにかく、服を返してほしい。医務室には自分で行ける。そう伝えようとして、殿下と隊長たちを見上げる。え? 目線が、怖い。いつもの皆と何か、違う。ゾクリと背中を走る何か。怖い目線に囲まれて、いる。発しようとした言葉を飲み込み動けなくなる。腕が震えた。なんだ、これ。
パサリと背中に服がかけられる。
「……ごめんね。背中、やっぱり診てもらったほうがいいね。医務室に行こう」
カイト殿下が視線から俺を遮る。場の空気が変わる。安堵感に、震える息を吐く。びっくりした。何だったのだろう。
「殿下、私が連れていきます」
「いや、俺が」
隊長や数名が声を上げる。正直怖くて一人で行きたい。
「いや、皆、訓練に戻ってくれ。俺が連れていくよ。隊長、怪我が回復するまでは彼は休ませていいかな?」
「はっ。もちろんです。全員、訓練再開!」
こちらをチラチラ見ながら皆が離れていく。ほっとした。
「君、名前は? 年はいくつ?」
あ、殿下がいつもの嘘っぽい顔になっている。
「リン子爵家次男キリヤ・リンです。入隊二年目の十九歳です」
頭を下げて挨拶する。
「キリヤと呼んでいいかな? 騎士に珍しいタイプだね。白銀の中の一筋の黒が黒曜石のように輝いている。弟のアレクを思い出させるよ」
「ありがとう、ございます」
令嬢にするような挨拶をされる。俺相手に何を言っているのだ、この殿下は。
「ほら、背中に乗って」
殿下が俺の前にかがむ。またしても何なのだ。自分で歩ける。押し問答の末、大人しくおんぶされた。申し訳なさ過ぎて、恥ずかしすぎて顔が上げられない。
「軽いね。ちゃんと食べている?」
すたすた歩きながら話しかけられる。振動が背中に響く。
「食べております。お手間をおかけして申し訳ありません」
「ははは。謝ってばかりだね」
上機嫌で笑う殿下。医務室、早く医務室に着いてくれ。俺は全然笑えない。恥ずかしくて冷汗が止まらない。外にいる別の騎士隊にも見られている。付き添いの副隊長にも申し訳ない。消え入りたい。

 やっと着いた医務室。だけど、騎士団用の詰め所近くの汚れた土足で入れる医務室じゃない。豪華絢爛な王族用医務室。青ざめるよ。なんで城内医務室なのだ。走り去りたい気分だ。さんざん結構です、と遠慮したのに、またしても服を脱がされ現在殿下の見守る中、診察中。
「あの、あとは、一人で大丈夫です」
「いや、俺にも責任があるから」
キラキラ笑顔でこちらを見るな。本当に我が道を行く方だ。これまでこんな風には見えなかったけれど。
頼みの副隊長は殿下が光城入口で帰してしまった。副隊長、俺を連れて行ってください。
「ねぇ、これは、一週間、いや、十日は治療にかかるよね。安静が必要だよね」
「はぃ? いや、打撲程度なら竜人ですし、三日もあれば……」
「かかるよ、打撲。大事にしないと。ねぇ、ドクター」
「いえ、あの三日あれば、確かに……」
「十日、完治まで。十日だよね?」
おい、医者を威圧するな。何なのだ、この皇子は。あ、でも能面みたいな偽物の笑顔じゃなくなっている。こんな表情もできるじゃないか。
「おーい、入るぞ」
急にガチャリと部屋に入ってくる。誰だ? 後ろで見えない。
「そのままで」
制される。一応打撲程度でも診察中だから、見るのをやめた。
「カイト、見たぞ。さらってきたな」
楽しそうな声。殿下を呼び捨て。まさか、オリバー殿下か! 慌てて振り向いて頭を下げようとしたら、毛布で頭から覆われる。抱きしめられているようだ。
「あの、ちょっと!」
もぞもぞ動くが、びくともしない。うまく背中を外して抱きしめられている。それでもちょっと痛む。
「へぇ、見せたくないか」
「減ってしまう」
「へぇぇ。なるほどねぇ」
「勘違いするなよ。コレは騎士団の騎士だ。俺の愛馬が蹴ってしまい、負傷したから連れてきた」
「へぇ~。わざわざ城内にまで? おぶって? それで俺には見せたくないって?」
「何が言いたい?」
「いや、別にぃ。楽しそうだなって思っただけだよ」
「うるさい。いつもと同じだ。とにかく、怪我は俺の責任でもある。俺のところで静養させる! まず十日。場合によっては日程を伸ばす! 騎士団に連絡する」
「ちょ、ちょっと待ってください。勝手に決めないでください!」
毛布から出られない。バカ力か! もがいてみるが、びくともしない。こんな勝手をされたのは初めてだ。だんだん頭にきた。

「この、バカ皇子! 手をはなせ!」

 カイト様がびっくりして腕の力を弱める。もぞもぞと毛布から出る。深呼吸。
「俺の意見を聞け! けがをしたのは俺だ!俺がいいと言っているんだ。騎士団に帰る!」
 シーン。皆、ぽかんとしている。あ、やっちゃった。あまりに頭にきて、怒鳴っちゃったよ、皇子様に。不敬罪決定かよ。ここまで雑用だって頑張ってきたのに。

「ぷはっ。あははは。バカ皇子だとさ!」
「あははは。バカ皇子! 違いない!」
オリバー様とカイト様が目の前で肩をたたき合って笑う。
「もーほんと気に入った。わかった。じゃ、毎日お見舞いに行くよ。それならいいかな?」
笑いすぎて涙を浮かべている二人の殿下。バカにされているようでこの方々は嫌いだ、そう思った。だけど、不敬罪は困る。
「大変、申し訳ありませんでした」
頭を深々と下げて、膝をつく。
「いいよ。やめてよ。服を着て?」
そうだ、上半身裸。
「あ、背中だいぶ派手に蹴られたな」
オリバー様が見てくる。
「見るな。近寄るな」
カイト様がグイっと肩を引き寄せる。
「あっはっは!」
また、オリバー様が大声で笑う。
「カイトのそんな顔が見られるなんて嬉しいな。君、名前は?」
「リン子爵家次男、キリヤ・リンです。お目にかかれて光栄です」
今更膝をついても、意味ないかもしれないけれど。

 今日は散々な一日だ。騎士団に報告し、事故報告書を書き、「右の宮」一階自室に戻れたのは二十二時。へとへとだ。ベッドに入って、すぐに瞼が落ちる。
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