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Ⅴ リバウンド対策☆
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十月最後のホームルームで、学級委員の交代式がある。これでもう教室の前に凛太朗が立つことなどないだろう。
凛太朗は肩の荷が降りる安堵感と、自分が学級委員で申し訳なかったと思う気持ちだった。
「では、前期学級委員の風見凛太朗くんは前にきてください」
担任の先生に呼ばれて、「はい」席を立った。
けれど、体育祭の種目メンバー決めの時を思い出し、嫌な気持ちになる。交代だけなら前になど呼ばないで欲しい。下を向いたまま凛太朗は教壇に向かった。
「風見君、学級委員お疲れさまでした。風見君に温かい拍手を送ってください」
パチパチと鳴る拍手の音を凛太朗は下を向いたまま聞いた。早く席に戻りたかった。
ペコリとお辞儀をして教壇から降りようと足を進めたが。
「先生。俺は凛太朗に一言を伝えたいのですが」
拍手の収まった教室に酒井の低い声が響いた。教室がざわめく。
「はい。酒井君、どうぞ」
先生の声に促されて起立する椅子の音が聞こえた。下を向いていた凛太朗は思いがけない事に顔を上げて酒井を凝視した。
「俺は、どうしても皆に知って欲しくて。凛太朗は緊張しやすくて、クラスの仕切りは苦手かもしれません。でも、凛太朗は毎朝一番早く来て、前の日の日直が当番の仕事をしていなければ、朝に凛太朗がやってくれてました。運動部の人は夏の大会前に部活優先して、日直の仕事しない日があったと思う。ほかにも忘れた人やサボった人もいたと思う。そんな時、凛太朗がその分のフォローをしていたんだ」
酒井は真っすぐに凛太朗を見つめている。
酒井の言葉が優しく凛太朗の中に染みこむ。誰にも知られなくて良いと思っていた行動を、酒井が認めて言葉にしてくれる。それだけで涙が溢れそうなほど心が満たされる。
「マジか。風見、すげーな」
「俺、正直、サボったことある」
「あたしもぉ、風見君、ごめぇん」
教室内のあちこちから声が上がり、それを聞いていると凛太朗の瞳から涙がこぼれた。胸がいっぱいになり我慢が出来なかった。
「風見、ありがとな!」
ふいに大きな感謝の言葉が聞こえた。
「うん、ありがとう」
「サンキュな」
「風見って良いヤツだなぁ」
自然と教室内に拍手が起きた。凛太朗はとても正面を見ていられず、涙が止まらなかった。酒井が凛太朗を迎えに来てくれて、温かい拍手の中、凛太朗は席に戻った。
続いて後期学級委員の挨拶があった。後期学級委員の高木はメチャメチャ感動したと言いながら教壇に立った。
「僕は朝が弱いので風見君のように皆さんのフォローができません! みなさん、後期は日直の仕事を責任もってお願いしたいです。よろしくお願いします」
笑いを誘いながらのハキハキとした挨拶に凛太朗の心はホワリと温かくなった。
これで凛太朗の学級委員としての役は、本当に終了した。先ほどとは違う意味で涙が滲みそうになり、慌てて窓の外をみた。これ以上泣くのは高校男子として情けないから。
外を見ながら先ほどの酒井を思い返した。
あんな風に言ってくれて嬉しかった。皆に感謝をされるのが、これほど満たされるものだと知らなかった。その全部が酒井のおかげだ。
酒井は温かくて優しい。酒井を想うと心がカーっと熱くなる。モジモジして走り出したい気持ちになる。
(酒井に抱きついて叫びたい!)
そんな願望が生まれて、チラリと酒井の席を見た。
酒井は凛太朗に視線を向けていて、すぐに目が合った。酒井は微笑んで小さく手を振ってきた。
その姿に心臓がプルプル震えそうなほど凛太朗の胸がキュンとした。顔が熱い。きっと真っ赤になっている。落ち着けと自分に言い聞かせるがキュンキュンがおさまってくれない。
(なんだこれ! 何なんだ⁉)
パニックになりそうな自分に混乱したまま凛太朗は正面を見た。
凛太朗は肩の荷が降りる安堵感と、自分が学級委員で申し訳なかったと思う気持ちだった。
「では、前期学級委員の風見凛太朗くんは前にきてください」
担任の先生に呼ばれて、「はい」席を立った。
けれど、体育祭の種目メンバー決めの時を思い出し、嫌な気持ちになる。交代だけなら前になど呼ばないで欲しい。下を向いたまま凛太朗は教壇に向かった。
「風見君、学級委員お疲れさまでした。風見君に温かい拍手を送ってください」
パチパチと鳴る拍手の音を凛太朗は下を向いたまま聞いた。早く席に戻りたかった。
ペコリとお辞儀をして教壇から降りようと足を進めたが。
「先生。俺は凛太朗に一言を伝えたいのですが」
拍手の収まった教室に酒井の低い声が響いた。教室がざわめく。
「はい。酒井君、どうぞ」
先生の声に促されて起立する椅子の音が聞こえた。下を向いていた凛太朗は思いがけない事に顔を上げて酒井を凝視した。
「俺は、どうしても皆に知って欲しくて。凛太朗は緊張しやすくて、クラスの仕切りは苦手かもしれません。でも、凛太朗は毎朝一番早く来て、前の日の日直が当番の仕事をしていなければ、朝に凛太朗がやってくれてました。運動部の人は夏の大会前に部活優先して、日直の仕事しない日があったと思う。ほかにも忘れた人やサボった人もいたと思う。そんな時、凛太朗がその分のフォローをしていたんだ」
酒井は真っすぐに凛太朗を見つめている。
酒井の言葉が優しく凛太朗の中に染みこむ。誰にも知られなくて良いと思っていた行動を、酒井が認めて言葉にしてくれる。それだけで涙が溢れそうなほど心が満たされる。
「マジか。風見、すげーな」
「俺、正直、サボったことある」
「あたしもぉ、風見君、ごめぇん」
教室内のあちこちから声が上がり、それを聞いていると凛太朗の瞳から涙がこぼれた。胸がいっぱいになり我慢が出来なかった。
「風見、ありがとな!」
ふいに大きな感謝の言葉が聞こえた。
「うん、ありがとう」
「サンキュな」
「風見って良いヤツだなぁ」
自然と教室内に拍手が起きた。凛太朗はとても正面を見ていられず、涙が止まらなかった。酒井が凛太朗を迎えに来てくれて、温かい拍手の中、凛太朗は席に戻った。
続いて後期学級委員の挨拶があった。後期学級委員の高木はメチャメチャ感動したと言いながら教壇に立った。
「僕は朝が弱いので風見君のように皆さんのフォローができません! みなさん、後期は日直の仕事を責任もってお願いしたいです。よろしくお願いします」
笑いを誘いながらのハキハキとした挨拶に凛太朗の心はホワリと温かくなった。
これで凛太朗の学級委員としての役は、本当に終了した。先ほどとは違う意味で涙が滲みそうになり、慌てて窓の外をみた。これ以上泣くのは高校男子として情けないから。
外を見ながら先ほどの酒井を思い返した。
あんな風に言ってくれて嬉しかった。皆に感謝をされるのが、これほど満たされるものだと知らなかった。その全部が酒井のおかげだ。
酒井は温かくて優しい。酒井を想うと心がカーっと熱くなる。モジモジして走り出したい気持ちになる。
(酒井に抱きついて叫びたい!)
そんな願望が生まれて、チラリと酒井の席を見た。
酒井は凛太朗に視線を向けていて、すぐに目が合った。酒井は微笑んで小さく手を振ってきた。
その姿に心臓がプルプル震えそうなほど凛太朗の胸がキュンとした。顔が熱い。きっと真っ赤になっている。落ち着けと自分に言い聞かせるがキュンキュンがおさまってくれない。
(なんだこれ! 何なんだ⁉)
パニックになりそうな自分に混乱したまま凛太朗は正面を見た。
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