真面目学級委員がファッティ男子を徹底管理した結果⁉

小池 月

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Ⅴ リバウンド対策☆

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 翌日から理香子は毎日放課後に残って文化祭の準備に参加するようになった。クラスの皆で楽しくできる事を喜びたいのに、凛太朗の胸の内はモヤモヤが積み重なった。

「あ、あたしも看板手伝お」
 酒井たち男子が作業している作業に理香子が加わろうとする。凛太朗は気になってしまい、それを横目に見た。

「お、いいよ」
 軽く返事をする男子にムカッとした。断わらなきゃだめだろ、と思った。

「いや、理香子さんは止めといて。こっちはペンキとか扱うし、スカートで作業してほしくないから」
 ズバッと断る酒井の声に凛太朗は胸がスッとした。

(さっすが僕の酒井だ! 最高!)
 心の中で叫んだ。これで理香子は諦めるだろう。

「じゃ、ジャージに着替えるね。それならいい?」
 食い下がる理香子に凛太朗は(はぁぁあ?)と心で絶叫した。

「だめ。邪魔になる」
 冷静な酒井の言葉に凛太朗は心でガッツポーズをした。

「おい、酒井。さすがにそれは酷いだろ。理香子さん、一緒にやろうぜ」
 周りの男子がフォローして、結局理香子は看板作成に参加した。

 酒井はそれ以上は無言だった。だけど凛太朗は理香子の笑いが聞こえるたびにイライラして、自分の作業が手に付かなくなってしまった。別に理香子は意地悪をしているわけではないのに、彼女の行動にムカついてばかりの自分が嫌になってしまった。

 作業途中の制作物をロッカーの上に片づけて今日の作業が終了した。続きは明日だ。
「凛太朗、帰ろ」

 酒井の声に凛太朗は頷いた。
「おぉ。疲れたぁ」

「二人って、ほんと仲良しだね」
 急に理香子が会話に割って入った。

「もしも、どっちかに彼女とかできたら、どうするの? あ、風見君どんな子がタイプ? 紹介しよっか」
 凛太朗はギョッと驚いた。彼女とか考えたことが無かった。焦って拒否をしようとしたが。

 ガン、と酒井が椅子を蹴った。
「ざけんな」
 低い声を酒井が出した。酒井に手を引かれて凛太朗は教室を後にした。理香子は付いて来なかった。

「酒井? 大丈夫、か?」
 恐る恐る聞いた。酒井の背中が怒りに満ちている。

「……ん。ごめん。あ――、ウザすぎて怒れた」
 深呼吸して振り返った酒井は困ったように笑った。そんな酒井を見て凛太朗は安心した。自分だけが理香子にイラついていたのではないと思えた。

「うん。積極的過ぎて、陽キャのパワーに負けるよな」
「それだよ。俺たちはもともと教室の隅でひっそり生きていたいタイプじゃんか。あの積極性は慣れん」
 そりゃそうだと笑い合った。

「じゃ、ご褒美に今日は特別、アイス食べていく? シャーベット系にすればカロリーダウンだから」
「え? まじ? 久しぶりのアイスかも。心の準備が」
 ワザとらしく胸を押さえる酒井のポーズが面白かった。

「そういえば、体育祭の頃はダイエット停滞期だったよな。今は?」
「あぁ、体育祭が終わって、凛太朗の食事再開から減ったんだ。やっぱし凛太朗ごはんが最強ってことだな」

「ばぁか。でも、減り始めたなら良かった。停滞期ってキツイってネットでも出てたし」
「ん。なんか、あの時は色々辛い事だらけだった。でも、凛太朗もだよな」

 酒井が軽く言ってくれるから凛太朗も重くならずに話せた。

「あん時さ、僕放課後に教室でパニックになったとき。あの時、けっこう責められたんだ。僕の不甲斐なさを実感したというか」

 酒井は真剣な顔で聞いてくれた。

「で、その相手が理香子さんたちなんだけど。こないだ、買い出しの時に、謝ってきたんだ」

「ふうん」
「酒井が怒鳴って怒ってくれたんだろ?」

「は? そこまで言ったのかよ。ま、あの時に凛太朗に何かあったのは一目瞭然だったし。廊下であいつらにすれ違ったし」

「そっか。ありがとな」
「いや、それしか出来てない。スーパーマンみたいに助けたいのに、全然だめで、ごめん」

「あはは。スーパーマンか」
 表現が可愛らしくて笑えた。凛太朗にじんわり温かさが満ちる。酒井の気持に触れると、いつもこんな風に満たされる。

「僕にとって、酒井はいつもスーパーマンだ」
 温かい気持ちのまま酒井に微笑みかけた。

 酒井は頬を染めてニッコリ微笑み返してくれた。そんな酒井を見ると幸せが湧きあがる。
 今日のイライラが全て流れ去るようだった。
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