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番外編「二人のクリスマス」
④
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クリスマス当日。今日は凛太朗の家に酒井を招待する。料理やケーキを酒井の家まで持ち運ぶのは大変だから、凛太朗の家の方がいいのだ。
(クリスマスパーティーかぁ。僕が、ねぇ)
小学生の頃に学校行事でクリスマス会をしてから、こんな行事には縁が無いと思っていたのに。湧き上がるドキドキと共にこみ上げてくる笑いに、頬が緩みっぱなしだ。
酒井のリビングに小さなクリスマスツリーを飾り、街中を歩いた時にテンションが上がって購入したクリスマス柄の皿を準備した。それだけで普段よりグンと特別感が出た。
冷蔵庫に入れてあるケーキを眺めて、凛太朗はフフっと笑った。
(酒井、早く来ないかなぁ)
玄関を何度も覗いてソワソワしている自分がおかしくて仕方がなかった。
「メリークリスマス☆」
「おぉ、メリークリスマス」
玄関を開けながら酒井に向けてクリスマスの挨拶をした。酒井は一瞬驚いた顔をして、すぐに破顔した。その頬が赤く染まるのを見て、何とも言えない満足感が凛太朗の胸に満ちる。
「へへへ」
「ふはは」
二人で笑いながらリビングに向かった。
「お。クリスマス仕様じゃん」
ダイニングテーブルの小さなツリーに酒井が触れる。
「ん。一応ね。大きなツリーが無くてゴメンだけど」
「いや、すげぇ嬉しい」
酒井の言葉に二人で顔を見合わせた。酒井の嬉しそうに頬が緩む表情に凛太朗の心臓がキュンと高鳴る。ただ見つめ合っただけなのに幸せだと思う。照れ笑いのような温かな気持ちが溢れてくる。
「なんか、無駄にニヤってる気がする」
凛太朗は恥ずかしさに口元を手で隠した。酒井を見れば、頭をポリポリしている。
「俺も、同じ」
顔を赤くして笑う酒井が可愛らしくて、また笑った。
昼前になり、凛太朗はダイニングテーブルにクリスマス用の食事を並べた。酒井が匂いに反応して、ソワソワしている様子が伝わって来た。凛太朗もドキドキと気持ちが高揚した。
クリスマスチキンは総菜を買ってきた。それに、生ハムとアボガドのサラダ、牡蠣とほうれん草のグラタン、キャベツたっぷりのミネストローネだ。テーブルに並べると豪華で特別感がある。
「わぁ、すっご! クリスマスだ!」
「ばぁか。クリスマスっぽいのは買ってきたチキンくらいだろ」
「いや、凛太朗が準備してくれた、全部が最高だ! すごいって!」
あんまり大げさに酒井が喜ぶから凛太朗は嬉しくて顔の火照りがおさまらない。きっと真っ赤になっているだろう。
「うん。いや、喜ばせたくて、さ。クリスマスだし、さ。それに、ほら、あれ。クリスマスって、ケーキとか特別じゃんか」
我慢できずにクリスマスケーキがあることを早々に打ち明けてしまった。そんな自分の幼さが恥ずかしくなる。もうちょっとカッコよくケーキを出すつもりだったのに。そう考えて凛太朗は酒井から目線を外した。
「え? ケーキもあるのか?」
「え、うん。あ、僕からの、プレゼント、なんだけど」
「もしかして、手作り?」
「まぁ、うん」
「見たい! すぐに見たい!」
勢いのある声に惹かれるように酒井を見た。
目をキラキラさせて興奮する酒井の表情が想像以上だった。凛太朗は跳ね上がりたいくらいの達成感に酔いしれた。
「あのさ、菓子作りはしたことなくて。ちょっと下手かもなんだけど。あ、でもさ、ちょっと練習はしたんだ」
凛太朗は歓喜に満ちて、早口で伝えた。言ってみて、練習したと言ったのはカッコ悪かった、と気が付いた。直ぐに訂正しようとしたが、酒井はすでに察した顔をしていた。
「凛太朗、もしかして、毎日眠そうだったのは、そのせい?」
やはり酒井は分かってしまったようだ。凛太朗は自分の不甲斐なさに首を傾げて、顔を背けた。努力や頑張りを自己アピールするなど嫌味にしか聞こえないだろう。
「まぁ、そうだな。ここまで言うつもりなかったのに。ちょい情けな」
意気消沈してしまい、冷蔵庫を開ける手が止まった。せっかくのプレゼントが台無しだ。渡し方を失敗したと考えると、泣きたくなるような悔しい気持ちが凛太朗を襲った。
(クリスマスパーティーかぁ。僕が、ねぇ)
小学生の頃に学校行事でクリスマス会をしてから、こんな行事には縁が無いと思っていたのに。湧き上がるドキドキと共にこみ上げてくる笑いに、頬が緩みっぱなしだ。
酒井のリビングに小さなクリスマスツリーを飾り、街中を歩いた時にテンションが上がって購入したクリスマス柄の皿を準備した。それだけで普段よりグンと特別感が出た。
冷蔵庫に入れてあるケーキを眺めて、凛太朗はフフっと笑った。
(酒井、早く来ないかなぁ)
玄関を何度も覗いてソワソワしている自分がおかしくて仕方がなかった。
「メリークリスマス☆」
「おぉ、メリークリスマス」
玄関を開けながら酒井に向けてクリスマスの挨拶をした。酒井は一瞬驚いた顔をして、すぐに破顔した。その頬が赤く染まるのを見て、何とも言えない満足感が凛太朗の胸に満ちる。
「へへへ」
「ふはは」
二人で笑いながらリビングに向かった。
「お。クリスマス仕様じゃん」
ダイニングテーブルの小さなツリーに酒井が触れる。
「ん。一応ね。大きなツリーが無くてゴメンだけど」
「いや、すげぇ嬉しい」
酒井の言葉に二人で顔を見合わせた。酒井の嬉しそうに頬が緩む表情に凛太朗の心臓がキュンと高鳴る。ただ見つめ合っただけなのに幸せだと思う。照れ笑いのような温かな気持ちが溢れてくる。
「なんか、無駄にニヤってる気がする」
凛太朗は恥ずかしさに口元を手で隠した。酒井を見れば、頭をポリポリしている。
「俺も、同じ」
顔を赤くして笑う酒井が可愛らしくて、また笑った。
昼前になり、凛太朗はダイニングテーブルにクリスマス用の食事を並べた。酒井が匂いに反応して、ソワソワしている様子が伝わって来た。凛太朗もドキドキと気持ちが高揚した。
クリスマスチキンは総菜を買ってきた。それに、生ハムとアボガドのサラダ、牡蠣とほうれん草のグラタン、キャベツたっぷりのミネストローネだ。テーブルに並べると豪華で特別感がある。
「わぁ、すっご! クリスマスだ!」
「ばぁか。クリスマスっぽいのは買ってきたチキンくらいだろ」
「いや、凛太朗が準備してくれた、全部が最高だ! すごいって!」
あんまり大げさに酒井が喜ぶから凛太朗は嬉しくて顔の火照りがおさまらない。きっと真っ赤になっているだろう。
「うん。いや、喜ばせたくて、さ。クリスマスだし、さ。それに、ほら、あれ。クリスマスって、ケーキとか特別じゃんか」
我慢できずにクリスマスケーキがあることを早々に打ち明けてしまった。そんな自分の幼さが恥ずかしくなる。もうちょっとカッコよくケーキを出すつもりだったのに。そう考えて凛太朗は酒井から目線を外した。
「え? ケーキもあるのか?」
「え、うん。あ、僕からの、プレゼント、なんだけど」
「もしかして、手作り?」
「まぁ、うん」
「見たい! すぐに見たい!」
勢いのある声に惹かれるように酒井を見た。
目をキラキラさせて興奮する酒井の表情が想像以上だった。凛太朗は跳ね上がりたいくらいの達成感に酔いしれた。
「あのさ、菓子作りはしたことなくて。ちょっと下手かもなんだけど。あ、でもさ、ちょっと練習はしたんだ」
凛太朗は歓喜に満ちて、早口で伝えた。言ってみて、練習したと言ったのはカッコ悪かった、と気が付いた。直ぐに訂正しようとしたが、酒井はすでに察した顔をしていた。
「凛太朗、もしかして、毎日眠そうだったのは、そのせい?」
やはり酒井は分かってしまったようだ。凛太朗は自分の不甲斐なさに首を傾げて、顔を背けた。努力や頑張りを自己アピールするなど嫌味にしか聞こえないだろう。
「まぁ、そうだな。ここまで言うつもりなかったのに。ちょい情けな」
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