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Ⅰ 恋愛天使のリカル
③
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男性は駐車場に向かい、車を走らせた。男性の車に入り込んでリカルは様子を眺めた。
リカルは最終的に絡まった糸を切るにしても、切る位置を見極めようと思っている。
こじれ毛玉を切り落とすことはできない。二人のどちらかに毛玉が行く。これは拗れを生んだ人たちが背負う責任だ。だからこそ、リカルは慎重になる。
ドライブをしていた男性が大型商業施設の駐車場に入り車を停車した。彼が車内で携帯電話を手にする。リカルは通話に耳を傾けた。
「あぁ、もしもし? 彩香?」
『あ、トシ君。どうしたの? また咲良と喧嘩?』
若い女性の声だ。
「喧嘩じゃねぇよ。あ、喧嘩か。咲良のやつ、うぜぇんだよ。ガミガミといちいち探り入れてきやがって」
『あ、今度の出張のこと? 咲良、勘づいているのね。でも、咲良じゃ何にもできずに泣くだけでしょ。放っておけば良いじゃない。ホテルも一緒だし。夜、盛り上がろうね』
甘えたような声だ。
「お~~、彩香のこと考えたら気分も良くなってきた。咲良はさぁ、結婚してから専業主婦になりたいって自分で言ったくせに、飯はまずいし洗濯物は取り込みっぱなしだしさ。専業主婦もやるなら完璧にやれっての。俺は仕事で疲れてんのにイライラさせることばっか言いやがって。まじ、お前と一緒になりゃ良かった」
男性は話しながら表情が険しくなっている。
『てか、それ、浮気している男が言うか。咲良、可哀そうにね。エリート営業のトシ君をゲットして、幸せ寿退社ですぅって退職したのに、ね。あはは』
コレは、男性の浮気が確定だ。関係修復は男性を見る限り難しそう。そうなると毛玉がほどけることはない。結局切ることになるかな、とリカルは考えた。
「俺だって可愛い事務職女性ゲットしたと思ったのに、こんな嫉妬ばかりのダメ女だと思わなったって。夜の方も消極的でつまらんし。あぁ、早く彩香と出張行きてぇ」
『あはは。咲良が泣くよぉ。かわいそぉ』
会話を聞いて嫌な気分になりながらリカルは考えた。毛玉は男性の方に寄せるように切る。それが妥当だろう。
車から離れて空から男性を見つめた。糸の先に出来ている毛玉をポンポン転がしてみた。この瞬間にも大きくなっている。そう言えば猫の頃にもこうやって遊んだなぁ、と懐かしく思った。
その時、フワリと風が巻きあがった。優しい香りがする独特の風だ。
(はは。いつも急な登場だ)
リカルはクスっと笑った。
リカルは最終的に絡まった糸を切るにしても、切る位置を見極めようと思っている。
こじれ毛玉を切り落とすことはできない。二人のどちらかに毛玉が行く。これは拗れを生んだ人たちが背負う責任だ。だからこそ、リカルは慎重になる。
ドライブをしていた男性が大型商業施設の駐車場に入り車を停車した。彼が車内で携帯電話を手にする。リカルは通話に耳を傾けた。
「あぁ、もしもし? 彩香?」
『あ、トシ君。どうしたの? また咲良と喧嘩?』
若い女性の声だ。
「喧嘩じゃねぇよ。あ、喧嘩か。咲良のやつ、うぜぇんだよ。ガミガミといちいち探り入れてきやがって」
『あ、今度の出張のこと? 咲良、勘づいているのね。でも、咲良じゃ何にもできずに泣くだけでしょ。放っておけば良いじゃない。ホテルも一緒だし。夜、盛り上がろうね』
甘えたような声だ。
「お~~、彩香のこと考えたら気分も良くなってきた。咲良はさぁ、結婚してから専業主婦になりたいって自分で言ったくせに、飯はまずいし洗濯物は取り込みっぱなしだしさ。専業主婦もやるなら完璧にやれっての。俺は仕事で疲れてんのにイライラさせることばっか言いやがって。まじ、お前と一緒になりゃ良かった」
男性は話しながら表情が険しくなっている。
『てか、それ、浮気している男が言うか。咲良、可哀そうにね。エリート営業のトシ君をゲットして、幸せ寿退社ですぅって退職したのに、ね。あはは』
コレは、男性の浮気が確定だ。関係修復は男性を見る限り難しそう。そうなると毛玉がほどけることはない。結局切ることになるかな、とリカルは考えた。
「俺だって可愛い事務職女性ゲットしたと思ったのに、こんな嫉妬ばかりのダメ女だと思わなったって。夜の方も消極的でつまらんし。あぁ、早く彩香と出張行きてぇ」
『あはは。咲良が泣くよぉ。かわいそぉ』
会話を聞いて嫌な気分になりながらリカルは考えた。毛玉は男性の方に寄せるように切る。それが妥当だろう。
車から離れて空から男性を見つめた。糸の先に出来ている毛玉をポンポン転がしてみた。この瞬間にも大きくなっている。そう言えば猫の頃にもこうやって遊んだなぁ、と懐かしく思った。
その時、フワリと風が巻きあがった。優しい香りがする独特の風だ。
(はは。いつも急な登場だ)
リカルはクスっと笑った。
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