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Ⅰ 恋愛天使のリカル
④
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「リカル。遊ぶな。働け」
リカルの横に少女姿の救済天使ルルが降り立っている。
ルルは相変わらず美しい。白い肌に白銀の髪。真っ黒なワンピースには赤いリボンがヒラヒラ揺れている。美しいが、天使と言うより魔女そのものだ。それを言うのならリカルもそうなのだが。
「ルル、久しぶりだな。そうだ、この毛玉でボール遊びしよう」
いい提案だと思って、毛玉をポーンとルルに投げてみたが、無表情なルルに完全にスルーされる。
ルルは赤い瞳を半目にしてリカルを見た。
「わわ!」
リカルは首根っこを掴まれてルルに持ち上げられた。
「バカか」
冷たいルルの一言にリカルはシュンと尻尾を下げる。
「冗談だって」
真面目なルルにはイタズラとかが通用しない。
少しくらい一緒に遊んでくれてもいいのになぁ、とリカルは思う。せっかく姿が見える同士なのに。反省の念を垂れた尻尾で見せれば、ルルはリカルを解放した。
「で、どうする?」
ルルの瞳は毛玉を見つめている。リカルが見た光景をルルも見ていたのだろう。
「うん。このままいけば、咲良って奥さんのほうが夫のトシを刺し殺す。そうなると咲良は魂の罪を負う者になる。同時に糸をこじらせた彩香って女性とトシの魂も堕ちる」
リカルの言葉に少しの間沈黙が流れた。ルルは無表情に見えて情が深い。きっと何かを考えているのだろう。
「地上の天使が増えるな」
これにはリカルがずっこけた。救済天使として何か助言をくれると思ったのに。
「おいおい、増やしてどうする。俺たちの仕事は逆だ、逆」
苦笑いしてルルを見るが、ルルは相変わらずの無表情だ。
「めんどくさいな。こんな糸、今直ぐに切れば問題ないじゃないか。ほら、切れ」
ルルが毛玉を指さす。ルルは救済天使であり恋愛の糸は切れない。
リカルはルルの腰にある日本刀のような刀を見つめた。あの刀が切るモノは別のモノだ。少し刀を見つめた後、リカルはルルに視線を戻した。
「いや、このこじれの毛玉をどちら側につけるかが問題じゃないか」
「そんなのどっちでもいいだろう。リカルの仕事は糸を切るか、ほどくか。その先まで面倒見なくていいじゃないか」
冷たい言葉にリカルはため息を漏らす。そう言われればそうなのだけれど。
「いや、出来たら気持ち良く仕事をしたいからさ。後味悪くなるのは嫌だ」
無表情のままのルルが空を見上げた。
「ふうん。ま、どうでもいいが。サボるなよ」
ルルの言葉が『遊んでいるなよ』にも聞こえた。
冷たいようでリカルの事を見てくれているルルは、本当は優しい。
「分かってるよ」
リカルの返事を聞いて、ルルはフワリと空を駆け上がった。
リカルは暗闇に消えていくルルを見送った。
リカルの横に少女姿の救済天使ルルが降り立っている。
ルルは相変わらず美しい。白い肌に白銀の髪。真っ黒なワンピースには赤いリボンがヒラヒラ揺れている。美しいが、天使と言うより魔女そのものだ。それを言うのならリカルもそうなのだが。
「ルル、久しぶりだな。そうだ、この毛玉でボール遊びしよう」
いい提案だと思って、毛玉をポーンとルルに投げてみたが、無表情なルルに完全にスルーされる。
ルルは赤い瞳を半目にしてリカルを見た。
「わわ!」
リカルは首根っこを掴まれてルルに持ち上げられた。
「バカか」
冷たいルルの一言にリカルはシュンと尻尾を下げる。
「冗談だって」
真面目なルルにはイタズラとかが通用しない。
少しくらい一緒に遊んでくれてもいいのになぁ、とリカルは思う。せっかく姿が見える同士なのに。反省の念を垂れた尻尾で見せれば、ルルはリカルを解放した。
「で、どうする?」
ルルの瞳は毛玉を見つめている。リカルが見た光景をルルも見ていたのだろう。
「うん。このままいけば、咲良って奥さんのほうが夫のトシを刺し殺す。そうなると咲良は魂の罪を負う者になる。同時に糸をこじらせた彩香って女性とトシの魂も堕ちる」
リカルの言葉に少しの間沈黙が流れた。ルルは無表情に見えて情が深い。きっと何かを考えているのだろう。
「地上の天使が増えるな」
これにはリカルがずっこけた。救済天使として何か助言をくれると思ったのに。
「おいおい、増やしてどうする。俺たちの仕事は逆だ、逆」
苦笑いしてルルを見るが、ルルは相変わらずの無表情だ。
「めんどくさいな。こんな糸、今直ぐに切れば問題ないじゃないか。ほら、切れ」
ルルが毛玉を指さす。ルルは救済天使であり恋愛の糸は切れない。
リカルはルルの腰にある日本刀のような刀を見つめた。あの刀が切るモノは別のモノだ。少し刀を見つめた後、リカルはルルに視線を戻した。
「いや、このこじれの毛玉をどちら側につけるかが問題じゃないか」
「そんなのどっちでもいいだろう。リカルの仕事は糸を切るか、ほどくか。その先まで面倒見なくていいじゃないか」
冷たい言葉にリカルはため息を漏らす。そう言われればそうなのだけれど。
「いや、出来たら気持ち良く仕事をしたいからさ。後味悪くなるのは嫌だ」
無表情のままのルルが空を見上げた。
「ふうん。ま、どうでもいいが。サボるなよ」
ルルの言葉が『遊んでいるなよ』にも聞こえた。
冷たいようでリカルの事を見てくれているルルは、本当は優しい。
「分かってるよ」
リカルの返事を聞いて、ルルはフワリと空を駆け上がった。
リカルは暗闇に消えていくルルを見送った。
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