恋愛天使、黒猫リカルの償い

小池 月

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Ⅱ 救済天使のルル

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「光らなかったな。ルルも、まだダメか」
 傍で見ていたリカルが一言をこぼした。

「リカルも、黒のままだな」
 リカルのリボンが風に揺れる。互いに沈黙した。リカルの金の瞳が悲しげに揺れる。

(リカルを、抱きしめたい)
 そんな気持ちになり、ルルは唇を噛んだ。そんな思いは抱いてはいけない。

「じゃ、私は他に行く」
 慰め合いなど意味がない。リカルといると少し甘えが出てしまう。自分のペースが保てなくなる。
 弱い自分を隠すようにルルは闇夜に飛び立った。
「おい、待てよ!」
 リカルの声に振り返らずに、熟し過ぎた幸福を見つけるために地上を眺めた。

 ルルは苦しい思いを胸に抱きながら、危険を伴う幸福を探す。
 地上を注意して見ていれば、気になる幸福がある。すぐにルルはその場所に近づいた。

 ある病院の一室。ベッドに寝ている青白い顔の少女が見える。今にも儚くなりそうな少女は、大きな幸福に包まれている。
「愛ちゃん、苦しくない? 大丈夫?」
 優しい母親に少女は弱々しく頷きを返した。

 この少女は、もう命が消えかかっている。それを察してルルは溜息をついた。こんな哀れな少女の幸福を奪わなくてはいけないなんて。

 できれば病気で苦しんでいる人や命の消えそうな人の『幸福』は奪いたくない。だけど、見つけてしまったからには仕方ない。
 ルルは情が湧かないうちに、早々に『幸福』を切り取ろうと刀を構えた、が。

「この子か。ちょっと可哀そうじゃね?」
 またしても空から声がかけられた。ルルは大きく息を吐いてリカルを睨んだ。

「リカル、仕事の邪魔をするな」
 リカルに気を取られ手が止まっていた。すると病室の会話が聞こえて来る。

「ねぇ、お母さん。あたし、死んじゃうの?」
 少女の声に母親の動きが静止した。ルルも刀が抜けなかった。
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