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Ⅱ 救済天使のルル
③
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カタカタと母親の肩が震えている。母親は動揺した声を出した。
「ば、ばかね。治るに、決まっているでしょう? お母さんは、治るまで愛ちゃんの傍に居るから。愛ちゃんと生きて行くから、大丈夫よ」
「……うん。そう、だよね。治る、よね。でも、もし死んだら、お母さんも一緒に死んでくれる? あたし一人で死ぬのは嫌だよ。怖くて、寂しい」
母親が少女を愛おしそうに抱き締める。
「もちろん。愛ちゃんが死ぬことがあれば、お母さんも死ぬから大丈夫よ。一人じゃないのよ。愛しい娘を一人死なせるなんて、そんなこと出来ないわ。愛ちゃんとお母さんは、ずっと一緒よ。大丈夫」
母親は堪えきれない様子で涙を流した。
「良かった……お母さん、大好き」
これ以上ない幸福に少女が包まれていく。少女は安堵したように泣きながら微笑んだ。
この幸福は母親の愛情だ。
「お母さんも、愛ちゃんが大好きよ。愛しているわ」
二人は泣いているが、幸せそうに抱きしめ合った。
それを見守りながら、ルルは無言で少女から『幸福』を切り取った。
少女の身体から切り離された幸せが空中に溶けていく。母親とずっと一緒に居る、という欲望を含めた幸せ。子供ならば、必ず持っている欲望。それを切り取るのは、とても辛い。
しかし、少女が幸福のまま死を迎えれば、母親が後追い自殺をする未来が決まっている。
そうなれば二人の魂は堕ちる。
少女は母親を死に縛った者として、母親は生を放棄した者として魂の罪を負う。輪廻の輪からはじかれる。
今生の『幸福』が死後の罪に変わってしまう。
だからコレは二人の救いになることだ。でも、そう分かっていても、『幸福』を奪う瞬間は辛い。
――ごめん。
少女と母親に言葉に出来ない謝罪をした。
その後の二人を見たくなくて、直ぐに立ち去ろうとしたのだが。
「ば、ばかね。治るに、決まっているでしょう? お母さんは、治るまで愛ちゃんの傍に居るから。愛ちゃんと生きて行くから、大丈夫よ」
「……うん。そう、だよね。治る、よね。でも、もし死んだら、お母さんも一緒に死んでくれる? あたし一人で死ぬのは嫌だよ。怖くて、寂しい」
母親が少女を愛おしそうに抱き締める。
「もちろん。愛ちゃんが死ぬことがあれば、お母さんも死ぬから大丈夫よ。一人じゃないのよ。愛しい娘を一人死なせるなんて、そんなこと出来ないわ。愛ちゃんとお母さんは、ずっと一緒よ。大丈夫」
母親は堪えきれない様子で涙を流した。
「良かった……お母さん、大好き」
これ以上ない幸福に少女が包まれていく。少女は安堵したように泣きながら微笑んだ。
この幸福は母親の愛情だ。
「お母さんも、愛ちゃんが大好きよ。愛しているわ」
二人は泣いているが、幸せそうに抱きしめ合った。
それを見守りながら、ルルは無言で少女から『幸福』を切り取った。
少女の身体から切り離された幸せが空中に溶けていく。母親とずっと一緒に居る、という欲望を含めた幸せ。子供ならば、必ず持っている欲望。それを切り取るのは、とても辛い。
しかし、少女が幸福のまま死を迎えれば、母親が後追い自殺をする未来が決まっている。
そうなれば二人の魂は堕ちる。
少女は母親を死に縛った者として、母親は生を放棄した者として魂の罪を負う。輪廻の輪からはじかれる。
今生の『幸福』が死後の罪に変わってしまう。
だからコレは二人の救いになることだ。でも、そう分かっていても、『幸福』を奪う瞬間は辛い。
――ごめん。
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その後の二人を見たくなくて、直ぐに立ち去ろうとしたのだが。
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