恋愛天使、黒猫リカルの償い

小池 月

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Ⅱ 救済天使のルル

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「ルル、待てよ」
 黒猫のリカルに服を引っ張られる。まだ居たのかと思いながら、リカルの目線を追った。

「お母さん。ありがとう。やっぱり、一緒に死ななくていい。お母さんには、生きて欲しい。あたしは、いっぱいお母さんから幸せもらったから、もう、十分だよ。あたしが死んだら、お母さんがちゃんと笑っているか、空から見ていることにする。しっかり長生きしてね」

「愛ちゃん……」

 母親が泣き崩れた。

 二人の『ずっと一緒に居る』という幸福を取ってしまったのに、愛情が溢れている。神々しい二人に見入ってしまった。

 ――綺麗な姿、だ。

「ルル、お前は本当に救済天使、だな」
 リカルがそっと寄り添ってくる

 ジワリと沸き上がる温かいものを見られないように、ルルはリカルを抱き上げた。

 リカルを優しく撫で上げれば、嬉しそうに喉がゴロゴロ鳴る。気持ちよさそうに腕の中でリラックスする姿は、猫そのものだ。久しぶりにルルの頬が緩む。

「リカル、猫みたいだ」
「もともと、猫なんだよ」

「ただの猫で死んだほうが幸せだったか?」

「どうだろうな。俺は恋愛で罪を犯してしまったから、仕方ないと思っているよ。こうして罪を償う恋愛天使になってみて、猫の頃を懐かしく思うけど」

「そうか」

 ゴロゴロと気持ちよさそうな音をたてるリカルを撫でて、月を見上げた。

 ルルが人間だったころ、たくさんの人の幸福を奪ってしまった。その罪の重さが今になって分かる。懐かしく、そして消えない自分の罪。

 ルルのもとに神の報酬が舞い降りる。それを取り入れるが、許しの光は得られない。まだ、足りていない。

 ルルのような魂の堕ちた者が増えないようにもっと『幸福』を切り取らなくてはいけない。腕の中のリカルも、きっと同じ気持ちだ。

 いつか許される日が来るように、願いを込めてリカルを撫でた。

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