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02 初仕事と、それから
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新生徒会発足から早二週間──私たち生徒会メンバーは、放課後、生徒会室に集まっていた。何故なら、もうすぐ新生徒会初の仕事となる行事が迫っているからだ。
「「映画鑑賞会?」」
ホワイトボードに私が書くなり、マイマイと優平くんは首を傾げた。
あ、マイマイっていうのは、田中舞ちゃんのことだ。あの集まりの後、私は「皆と仲良くなるためにはどうすればいいか」と考えて、皆のことを名前で呼ぶことにしたのだ。
……ただ一人を除いて。
「生徒たちの感受性と鑑賞能力を高めるため、毎年先生方と生徒会メンバーが候補の中から選んだ映画を体育館で上映する行事、ですよね? 塚原先輩」
「……説明ありがとう、岡本くん」
「何か不満でも?」
「いいえっ」
私はわざと言葉を尖らせて言う。今言おうと思ってたのに! 腹が立つくらい完璧だ。ていうか、一年生なのに何で知ってるのよそんなこと!
唯一私が名前で呼ばない存在──岡本くん。人のことチビ呼ばわりするし……なんとなく彼には苦手意識を持ってしまって、呼ぶことができないのだ。岡本くんも何も言ってこないし、今はそれでいいだろう。いずれ打ち解けることができたら(そんな日がくるとはとても思えないけど)、さりげなく呼び方を変えようと思ってる。
「えー? 映画を学校で流すことなんてできるんですかー?」
「まさか! プロジェクターを用意して、レンタルしてきたDVDを流すんだよ」
「ていうことはー、古い映画ってことですかー? なーんだぁ」
「その場合もあるね。先生方がいくつか候補を用意してくれるから……」
私が説明していると、マイマイの横にいた涼介くんが欠伸をしながら言った。
「あれ眠くなんだよなー。去年も爆睡だったわ」
「うっ……」
そうなのだ。去年は確か、歴史物の難しい内容の古い映画で……大半が眠ってしまっていた。先生方の猛プッシュで、ほとんど選べなかったんだよね……。だからこそ、今年は生徒の皆が「面白かった!」って言えるようなものにしたいんだ。
「映画鑑賞会が面白くなるかどうかは、私たちにかかってます! 皆でいい行事にしよう!」
「そうですよね、日向さん、頑張りましょう」
私の言葉に、優子ちゃんは頷いてくれた。優子ちゃんはまだ皆に対する接し方が固い。私を「日向さん」と呼んでくれるだけで大進歩なのだ。
「で、具体的に何をするんだっけ?」
横にいた杏奈が自身の爪を眺めながら尋ねた。手入れは完璧で、艶々だ。……ていうか、杏奈は去年もいたはずでしょ! そうは思ったけど、今は置いておこう。
「明日の昼休みには、先生方が候補を考えて、DVDを借りてきてくれるはずだから、私たちはそのDVDすべてに目を通して、放映する映画を決定します。当日は機材の準備と司会進行──」
「……待った、その候補っていくつくらい出んの?」
声のした方を見ると、涼介くんが渋い顔で肘をついていた。
「……毎年3つくらいかな?」
「それ、全部見るって? いつ?」
「明日の昼休みから。放課後も使って見ていきます。1日じゃ見おわらないから、2、3日かかっちゃうかな」
「まじかよ! 俺バイトあるのに!」
そう言うやいなや、涼介くんはうなだれた。バイトがあるって言われても、これは仕事だし……私は少し考えて、小さな声で言った。
「申し訳ないけど、休んでもらえるかな……」
「……まじか」
がっくりと肩を落とす涼介くん。……生徒会に入った以上、活動にはきちんと参加してほしい。間違ったことは言ってないと思うけど、やっぱり胸は痛んだ。
「じゃあ、明日は昼休みに生徒会室でいいんですかね?」
「あっ……うん! そうだね!」
優平くんの言葉に、はっと我に返る。あ、これも二週間で気付いたんだけど、優平くんは語尾に「~ですかね?」っていうのが口癖みたい。優子ちゃんに似て真面目な性格で、何をするにもきちんと確認をしてくれるからかもしれない。
「私がリストもらっておくから……今日のところは解散で!」
私がそう言うと、皆はぞろぞろと荷物をまとめ始めた。私も帰ろう、と、そのまま一番最後に生徒会室を後にした。
* * *
「「映画鑑賞会?」」
ホワイトボードに私が書くなり、マイマイと優平くんは首を傾げた。
あ、マイマイっていうのは、田中舞ちゃんのことだ。あの集まりの後、私は「皆と仲良くなるためにはどうすればいいか」と考えて、皆のことを名前で呼ぶことにしたのだ。
……ただ一人を除いて。
「生徒たちの感受性と鑑賞能力を高めるため、毎年先生方と生徒会メンバーが候補の中から選んだ映画を体育館で上映する行事、ですよね? 塚原先輩」
「……説明ありがとう、岡本くん」
「何か不満でも?」
「いいえっ」
私はわざと言葉を尖らせて言う。今言おうと思ってたのに! 腹が立つくらい完璧だ。ていうか、一年生なのに何で知ってるのよそんなこと!
唯一私が名前で呼ばない存在──岡本くん。人のことチビ呼ばわりするし……なんとなく彼には苦手意識を持ってしまって、呼ぶことができないのだ。岡本くんも何も言ってこないし、今はそれでいいだろう。いずれ打ち解けることができたら(そんな日がくるとはとても思えないけど)、さりげなく呼び方を変えようと思ってる。
「えー? 映画を学校で流すことなんてできるんですかー?」
「まさか! プロジェクターを用意して、レンタルしてきたDVDを流すんだよ」
「ていうことはー、古い映画ってことですかー? なーんだぁ」
「その場合もあるね。先生方がいくつか候補を用意してくれるから……」
私が説明していると、マイマイの横にいた涼介くんが欠伸をしながら言った。
「あれ眠くなんだよなー。去年も爆睡だったわ」
「うっ……」
そうなのだ。去年は確か、歴史物の難しい内容の古い映画で……大半が眠ってしまっていた。先生方の猛プッシュで、ほとんど選べなかったんだよね……。だからこそ、今年は生徒の皆が「面白かった!」って言えるようなものにしたいんだ。
「映画鑑賞会が面白くなるかどうかは、私たちにかかってます! 皆でいい行事にしよう!」
「そうですよね、日向さん、頑張りましょう」
私の言葉に、優子ちゃんは頷いてくれた。優子ちゃんはまだ皆に対する接し方が固い。私を「日向さん」と呼んでくれるだけで大進歩なのだ。
「で、具体的に何をするんだっけ?」
横にいた杏奈が自身の爪を眺めながら尋ねた。手入れは完璧で、艶々だ。……ていうか、杏奈は去年もいたはずでしょ! そうは思ったけど、今は置いておこう。
「明日の昼休みには、先生方が候補を考えて、DVDを借りてきてくれるはずだから、私たちはそのDVDすべてに目を通して、放映する映画を決定します。当日は機材の準備と司会進行──」
「……待った、その候補っていくつくらい出んの?」
声のした方を見ると、涼介くんが渋い顔で肘をついていた。
「……毎年3つくらいかな?」
「それ、全部見るって? いつ?」
「明日の昼休みから。放課後も使って見ていきます。1日じゃ見おわらないから、2、3日かかっちゃうかな」
「まじかよ! 俺バイトあるのに!」
そう言うやいなや、涼介くんはうなだれた。バイトがあるって言われても、これは仕事だし……私は少し考えて、小さな声で言った。
「申し訳ないけど、休んでもらえるかな……」
「……まじか」
がっくりと肩を落とす涼介くん。……生徒会に入った以上、活動にはきちんと参加してほしい。間違ったことは言ってないと思うけど、やっぱり胸は痛んだ。
「じゃあ、明日は昼休みに生徒会室でいいんですかね?」
「あっ……うん! そうだね!」
優平くんの言葉に、はっと我に返る。あ、これも二週間で気付いたんだけど、優平くんは語尾に「~ですかね?」っていうのが口癖みたい。優子ちゃんに似て真面目な性格で、何をするにもきちんと確認をしてくれるからかもしれない。
「私がリストもらっておくから……今日のところは解散で!」
私がそう言うと、皆はぞろぞろと荷物をまとめ始めた。私も帰ろう、と、そのまま一番最後に生徒会室を後にした。
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