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03 目安箱パニック!?
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「なんだかなぁー……」
「なにが?」
次の日、私は杏奈と昼休みにごはんを食べているときに、大きくため息をついた。杏奈は野菜ジュースを啜りながら聞き返す。
「昨日の葵くんの態度。なーんか納得いかなくて」
「なんだ、その事か」
「なんだ、って。だってさ、あんな形とはいえ、告白だよ? 女の子の気持ちが詰まってるんだよ? なのにさぁ……」
私は唇を尖らせながら机に突っ伏した。杏奈は飲みきった野菜ジュースのパックをコトリ、と置くと、肘をつく。
「あたしはなんとなーくわかるけどな、岡本くんの気持ち」
「はぁ!? 何でよ」
「だってさ、そんなにあたしのこと好きなら、んな箱に入れずに直接来い! ……て感じじゃない?」
「それは……直接言う勇気が出なかっただけで、」
私はモゴモゴと口ごもった。確かにそうかもしれない。私は告白されたことないから分からないけど、直接言われた方が嬉しいに決まってる。
「まぁ、方法も気にくわないけど、結局はあれよ」
「あれって?」
「あんた誰って話」
「はぁ?」
「考えてごらんよ。自分が全然知らない相手から、好きですなんて言われてもさ、あんた誰って感じだし。そもそもそれって、相手は見た目しか見てないってことでしょ」
「そんなこと……」
「ないって言い切れる?」
私は口をつぐんだ。そんなことないって、言い切れる? 私には分からない。でも──そんなの、悲しい。
杏奈は明らかに落ち込んだ私を見て、小さく笑った。頭をポン、と叩かれる。
「まぁ──贅沢な悩みではあるけどね。機会があったら聞いてみれば? きっと似たようなこと言うと思うよ」
そう言うと杏奈は、ひょいと私のいちごオレを奪って、「甘っ!」と小さく叫んだのだった。
* * *
毎週水曜日の目安箱チェックを、しばらく毎日して、紙がたまってしまうのを防ぐ。なお、その目安箱の投書の回収は、葵くん自らの提案で葵くんが行った。葵くんがちゃんとチェックをした上で無視をしている、というのをわからせるためだと言う。
ちなみに、杏奈もその間飄々としていたので、杏奈への悪口投書も徐々になくなっていた。それらの効果もあってか、葵くんが言った通り、3週間もすると目安箱告白は落ち着きを見せてきていた。
──ただ、一通の手紙を除いて。
* * *
「まぁた入ってましたよおー、例の女の子の手紙ー」
目安箱をチェックして戻ってきたマイマイが、右手に持った封筒をヒラヒラとさせながら言った。
最初に告白投書があってから、3週間。その日から毎日毎日、同じ手紙が入っているのだ。女の子らしいかわいい封筒に、小さくて丸い字で“岡本葵くんへ”と書いてある。裏には同じく、小さくて丸い字で“1ーD 高橋奈緒”と。
「ほんとーに、知り合いじゃないの?」
「だから全く知らないと言っているでしょう。あんまりしつこいとゲージ持ってきて入れますよ」
「私はハムスターじゃない!」
何度目になるのか分からないこのやり取りのあと、私は小さくため息をついた。葵くんは本当に彼女のことを知らないと言うし、その手紙だって、読まずに捨ててしまう。
葵くんが言っていた通り、軽い気持ちの告白ならば、こんなに毎日毎日、手紙を書くだろうか。私はどうしても納得いかずに、何とかして葵くんが手紙を読まないものかと考えを巡らせているのだけど。
「読んでみたら実は知り合いかもしれないじゃない!」
「俺人の顔と名前覚えるの得意なんで、それはないですね」
葵くんは本当に頑固者で、何を言っても聞いてくれなかった。この木偶の坊!
「しかし、この人もよくやりますね。読んでないってわかってないのですかね?」
「あれだろ? ケナゲなオトメゴコロってやつだろ?」
「ねっねっねっ? 健気でかわいいよね!」
私はいいながら葵くんを横目で見るけど、葵くん、こっちを見てもいない。
「……杏奈ぁ」
「あれは無理だね、どーしようもない」
「……うぅ」
私は小さく唸って、考えた。彼女が本気だと分かってくれたら、葵くんは手紙を読んでくれるのかな。相手の本気を見るためには、どうすれば──。
──そうだ!
私は名案を思い付いて、ニヤリと笑った。見てなさい、葵くん。
* * *
「なにが?」
次の日、私は杏奈と昼休みにごはんを食べているときに、大きくため息をついた。杏奈は野菜ジュースを啜りながら聞き返す。
「昨日の葵くんの態度。なーんか納得いかなくて」
「なんだ、その事か」
「なんだ、って。だってさ、あんな形とはいえ、告白だよ? 女の子の気持ちが詰まってるんだよ? なのにさぁ……」
私は唇を尖らせながら机に突っ伏した。杏奈は飲みきった野菜ジュースのパックをコトリ、と置くと、肘をつく。
「あたしはなんとなーくわかるけどな、岡本くんの気持ち」
「はぁ!? 何でよ」
「だってさ、そんなにあたしのこと好きなら、んな箱に入れずに直接来い! ……て感じじゃない?」
「それは……直接言う勇気が出なかっただけで、」
私はモゴモゴと口ごもった。確かにそうかもしれない。私は告白されたことないから分からないけど、直接言われた方が嬉しいに決まってる。
「まぁ、方法も気にくわないけど、結局はあれよ」
「あれって?」
「あんた誰って話」
「はぁ?」
「考えてごらんよ。自分が全然知らない相手から、好きですなんて言われてもさ、あんた誰って感じだし。そもそもそれって、相手は見た目しか見てないってことでしょ」
「そんなこと……」
「ないって言い切れる?」
私は口をつぐんだ。そんなことないって、言い切れる? 私には分からない。でも──そんなの、悲しい。
杏奈は明らかに落ち込んだ私を見て、小さく笑った。頭をポン、と叩かれる。
「まぁ──贅沢な悩みではあるけどね。機会があったら聞いてみれば? きっと似たようなこと言うと思うよ」
そう言うと杏奈は、ひょいと私のいちごオレを奪って、「甘っ!」と小さく叫んだのだった。
* * *
毎週水曜日の目安箱チェックを、しばらく毎日して、紙がたまってしまうのを防ぐ。なお、その目安箱の投書の回収は、葵くん自らの提案で葵くんが行った。葵くんがちゃんとチェックをした上で無視をしている、というのをわからせるためだと言う。
ちなみに、杏奈もその間飄々としていたので、杏奈への悪口投書も徐々になくなっていた。それらの効果もあってか、葵くんが言った通り、3週間もすると目安箱告白は落ち着きを見せてきていた。
──ただ、一通の手紙を除いて。
* * *
「まぁた入ってましたよおー、例の女の子の手紙ー」
目安箱をチェックして戻ってきたマイマイが、右手に持った封筒をヒラヒラとさせながら言った。
最初に告白投書があってから、3週間。その日から毎日毎日、同じ手紙が入っているのだ。女の子らしいかわいい封筒に、小さくて丸い字で“岡本葵くんへ”と書いてある。裏には同じく、小さくて丸い字で“1ーD 高橋奈緒”と。
「ほんとーに、知り合いじゃないの?」
「だから全く知らないと言っているでしょう。あんまりしつこいとゲージ持ってきて入れますよ」
「私はハムスターじゃない!」
何度目になるのか分からないこのやり取りのあと、私は小さくため息をついた。葵くんは本当に彼女のことを知らないと言うし、その手紙だって、読まずに捨ててしまう。
葵くんが言っていた通り、軽い気持ちの告白ならば、こんなに毎日毎日、手紙を書くだろうか。私はどうしても納得いかずに、何とかして葵くんが手紙を読まないものかと考えを巡らせているのだけど。
「読んでみたら実は知り合いかもしれないじゃない!」
「俺人の顔と名前覚えるの得意なんで、それはないですね」
葵くんは本当に頑固者で、何を言っても聞いてくれなかった。この木偶の坊!
「しかし、この人もよくやりますね。読んでないってわかってないのですかね?」
「あれだろ? ケナゲなオトメゴコロってやつだろ?」
「ねっねっねっ? 健気でかわいいよね!」
私はいいながら葵くんを横目で見るけど、葵くん、こっちを見てもいない。
「……杏奈ぁ」
「あれは無理だね、どーしようもない」
「……うぅ」
私は小さく唸って、考えた。彼女が本気だと分かってくれたら、葵くんは手紙を読んでくれるのかな。相手の本気を見るためには、どうすれば──。
──そうだ!
私は名案を思い付いて、ニヤリと笑った。見てなさい、葵くん。
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