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03 目安箱パニック!?
03
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次の日の昼休み──私は一人、物陰から目安箱を見つめていた。
昨日の名案、それは、私自身が“高橋奈緒”ちゃんを見てみて(できれば話もしてみて)彼女の本気を確かめるというものだ。我ながら完璧。
彼女が見るからにふざけて告白をしているのであれば私はこれからは干渉しない。彼女が本気で、葵くんのことを好きならば、私は意地でも葵くんに手紙を読ませる! おせっかいかもしれないけど、してあげたいのだ。毎日毎日、手紙を書いている彼女のキューピッドになってあげたい。思いも届けられないなんて、可哀想だよ。
そんなことを考えていると、誰かが生徒会室に向かってくるのが見えた。私は勢いよく隠れると、そっとまた顔を出す。肩まで伸びた黒い髪を揺らしながら、周りを気にして歩く女の子。その瞳はどこか不安げで、その手には、見慣れた封筒。間違いない、あの子が──。
「高橋奈緒ちゃんね!?」
「ひっ!? すっ、すみませんすみませんすみませんっ!」
「えっ!? ちょ、待って! 逃げないで!」
驚かせてしまったからか、奈緒ちゃんは顔を青くして駆け出そうとした。私は慌てて追いかけて、彼女の腕をつかんだ。彼女はしきりに「すみません」と繰り返すばかりで、落ち着くまでしばらく時間がかかった。
「違うの。怒ってないの。ええと、私は、あなたと話がしたくて」
「え? あ、あの、会長自ら手紙の件で注意するんじゃないんですか……?」
奈緒ちゃんはおどおどとした表情のまま、私に尋ねた。私はこくりと頷くと、やっと手を離した。
「怒るわけじゃないけど、手紙のことについて、あなたの話を聞きたくて。いいかな?」
「……はい」
奈緒ちゃんの了承を得たので、私は彼女を生徒会室に招き入れた。しかし、私はその事を激しく後悔することになる。
「……あ」
入ってすぐに発された彼女の声に振り返ると、彼女の視線の先にゴミ箱があることに気づく。ハッとした。私のバカ! そこには、今までの手紙(ビリビリ)が──!
「……やっぱり読んでくれてなかったんですね、岡本くん……」
「やっ、違うの、これはっ……」
「いいんです、分かってましたから」
彼女はそう言って力なく笑った。どう見ても、「いいんです」って顔じゃない。私、なにやってんだろ。軽率に行動して、彼女の気持ちを傷つけた。
「これだって、ただの自己満足なんです」
彼女は手に持った手紙を見ながら言った。
──自己満足?
私は訳がわからず彼女を見つめた。
「来ないってわかってるのに彼を待って、言えもしない気持ちを抱えて、伝えた気になって、満足してるだけなんです。でも、それでよかったんです。私なんかに想われても、きっと岡本くんは嬉しくないだろうし」
「そんなっ……」
「でも、それすらも迷惑だったみたいですね……。何、やってるんだろ私」
そう言うと、彼女はまた力なく笑った。──これの、これのどこが。本気じゃないってのよ。木偶の坊。
「……今日で最後にしますから」
「え?」
「こうやって自己満足するの、最後にします。だから、岡本くんに、今まですみませんでしたって、伝えてくれませんか?」
「ちょ、ちょっと待っ──」
「会長さんも、すみませんでした」
そう言ってペコリと頭を下げると、彼女は逃げるように駆け出した。ちらっと見えた彼女は、泣いていた。泣いている彼女にかける言葉も見つからないまま。止めることもできず呆然と立ち尽くしていた私の耳に、目安箱に手紙を入れるコトン、という音だけが届いたのだった。
なんとか──なんとかしなきゃ……!
* * *
昨日の名案、それは、私自身が“高橋奈緒”ちゃんを見てみて(できれば話もしてみて)彼女の本気を確かめるというものだ。我ながら完璧。
彼女が見るからにふざけて告白をしているのであれば私はこれからは干渉しない。彼女が本気で、葵くんのことを好きならば、私は意地でも葵くんに手紙を読ませる! おせっかいかもしれないけど、してあげたいのだ。毎日毎日、手紙を書いている彼女のキューピッドになってあげたい。思いも届けられないなんて、可哀想だよ。
そんなことを考えていると、誰かが生徒会室に向かってくるのが見えた。私は勢いよく隠れると、そっとまた顔を出す。肩まで伸びた黒い髪を揺らしながら、周りを気にして歩く女の子。その瞳はどこか不安げで、その手には、見慣れた封筒。間違いない、あの子が──。
「高橋奈緒ちゃんね!?」
「ひっ!? すっ、すみませんすみませんすみませんっ!」
「えっ!? ちょ、待って! 逃げないで!」
驚かせてしまったからか、奈緒ちゃんは顔を青くして駆け出そうとした。私は慌てて追いかけて、彼女の腕をつかんだ。彼女はしきりに「すみません」と繰り返すばかりで、落ち着くまでしばらく時間がかかった。
「違うの。怒ってないの。ええと、私は、あなたと話がしたくて」
「え? あ、あの、会長自ら手紙の件で注意するんじゃないんですか……?」
奈緒ちゃんはおどおどとした表情のまま、私に尋ねた。私はこくりと頷くと、やっと手を離した。
「怒るわけじゃないけど、手紙のことについて、あなたの話を聞きたくて。いいかな?」
「……はい」
奈緒ちゃんの了承を得たので、私は彼女を生徒会室に招き入れた。しかし、私はその事を激しく後悔することになる。
「……あ」
入ってすぐに発された彼女の声に振り返ると、彼女の視線の先にゴミ箱があることに気づく。ハッとした。私のバカ! そこには、今までの手紙(ビリビリ)が──!
「……やっぱり読んでくれてなかったんですね、岡本くん……」
「やっ、違うの、これはっ……」
「いいんです、分かってましたから」
彼女はそう言って力なく笑った。どう見ても、「いいんです」って顔じゃない。私、なにやってんだろ。軽率に行動して、彼女の気持ちを傷つけた。
「これだって、ただの自己満足なんです」
彼女は手に持った手紙を見ながら言った。
──自己満足?
私は訳がわからず彼女を見つめた。
「来ないってわかってるのに彼を待って、言えもしない気持ちを抱えて、伝えた気になって、満足してるだけなんです。でも、それでよかったんです。私なんかに想われても、きっと岡本くんは嬉しくないだろうし」
「そんなっ……」
「でも、それすらも迷惑だったみたいですね……。何、やってるんだろ私」
そう言うと、彼女はまた力なく笑った。──これの、これのどこが。本気じゃないってのよ。木偶の坊。
「……今日で最後にしますから」
「え?」
「こうやって自己満足するの、最後にします。だから、岡本くんに、今まですみませんでしたって、伝えてくれませんか?」
「ちょ、ちょっと待っ──」
「会長さんも、すみませんでした」
そう言ってペコリと頭を下げると、彼女は逃げるように駆け出した。ちらっと見えた彼女は、泣いていた。泣いている彼女にかける言葉も見つからないまま。止めることもできず呆然と立ち尽くしていた私の耳に、目安箱に手紙を入れるコトン、という音だけが届いたのだった。
なんとか──なんとかしなきゃ……!
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