○○な副会長。

天乃 彗

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05 ひまわりコンビ、初デート?

02

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 久しぶりに動物と触れ合える。そう考えるとなんだか落ち着かない。私はそわそわしながら葵くんをうかがった。葵くんは何を考えているのか、窓の外をぼんやりと眺めていた。

「……そろそろつきますよ」
「っひゃい!」
「何ですかその間抜け声」

 急にこっちむかないでよ! って言う私の怒りは、理不尽すぎるので言わずにおく。びっくりした。間抜け、と言われたことはむかつくけど。大人だから、我慢する。すると、『はなば動物園前』という駅名表札が目に入って、私はキラキラと目を輝かせてしまった。すると、葵くんが鼻で笑うのが聞こえる。

「本当、分かりやすいですね。ガキですか」
「ガキじゃないけど! 早く行こっ! 動物園ー!」

 私は葵くんの毒舌を聞き流して、一目散に電車を出た。後ろから、やれやれと言った風な葵くんのため息が聞こえたけど、そんなの気にしている場合ではないのだ。動物たちが私を待っている。駅から少し歩いた所にはなば動物園はある。早足で入場ゲートへと向かうと、後ろからコツンと頭を殴られた。「いてっ」と思わず声が漏れる。

「入場券も持たずにどうする気ですか」
「……そうでした」

 葵くんが持ってたんだった、入場券。私は小突かれた頭をさすりながら、葵くんの後ろをてくてくついていく。葵くんは、ゲートのスタッフさんに入場券を二枚差し出すと、切り取られた半券を受け取った。一歩園内に足を踏み入れたら、怖いものは無い。遮るものは無い。ここからは、私の自由だ。早速、かわいいかわいい動物たちに会いにいかないと! さあ、出発! 
 勇み足で歩き出そうとすると、ぐっと強い力で引き戻された。驚いて後ろを確認する。そこには葵くんがいるわけだけど、ええと、なんで私前に進めないの? 原因を探る。ゆっくり目線を下に下げていくと、私の手は、なぜか葵くんの手にしっかりと握られている。え? どうして? 葵くんは、きょとんとする私なんておかまいなしで、前に歩き出そうとする。

「えっ? ちょ、ちょ、せめてこの状況についての説明は!?」
「しても無駄かなと思ったんで……した方がいいですか?」
「当たり前でしょ!?」

 葵くんは、空いている方の手を顎に添えた。何を言おうか考えている時の仕草だ。

「先輩の暴走防止兼迷子防止ですかね」
「ちょ……、何それ!?」

 人を問題児みたいに! 反論しようとしたところで、葵くんがまた言葉を繋げた。

「いや、先輩、あの調子だと動物向かって走り出すじゃないですか。周りも見ずに」
「そ、れは」

 悲しきかな、否定しきれない。実際、今さっきまで周りなんて見えていなかった。

「周りのお客さんに迷惑がかかるでしょう。俺だって迷惑です。連れが迷子センターにお世話になるなんて嫌ですし」
「あれはちっちゃい子用でしょ!?」
「え、俺、先輩がいなくなったら真っ先に確認しにいくつもりですけど。園内には“17歳の塚原日向ちゃん、お連れの方がお待ちです”ってアナウンスが流れますよ」
「いやああああ!」
「嫌なら、仕方ないですよね。じゃ、行きましょうか」
「え、ちょっ……!」

 何よその理屈は! そう思ったけれど、反論することも出来ず、私は葵くんにずるずると引きずられていくことになったのだった。


 * * *


「わああ! おっきいー! かわいいー!」
「そりゃ、象ですからね」

 とりあえず、最初は普通に園内を回ることにした私たちは、経路に沿って動物を見て回っていた。見る動物見る動物みんなかわいくて、楽しくなっちゃう。象って、こんなに大きな体の割にすっごくつぶらな目してるよね! かわいい! ……と、そこまで思い立って、隣にいるでかい図体の葵くんを見た。

「……今先輩が考えたこと、当ててやりましょうか」
「きゃああ! やめてやめてつむじ押さないで縮むー!」

 まだ何も言ってないのに! 葵くんはでかい図体なのにかわいげないなーとか、思っただけなのに! 葵くんにはすべてお見通しだったようで、私はぐりぐりとつむじを押されるはめになってしまった。くそう、こんなことなら葵くんのこと見なきゃよかった。
 頭をさすりながら、ふと周りに目を向ける。隣に葵くんがいるせいか、さっきよりも冷静に周りに目がいくようになっていた。……クリスマスだからか、やっぱりカップルが多い。みんな幸せそうに顔の筋肉を緩ませながら、手をつないだり腕を組んだりして歩いている。

──手……。

 ふと、自分の手に視線を向けてしまった。葵くんのおっきな手のひらに包まれた手。よくよく考えたら、男の子と手をつなぐのなんて、中学生の頃のフォークダンス以来じゃ……! そう考えてしまったら、こんな“手をつなぐ”なんて何気ない動作がすごく恥ずかしいことに思えてきて、慌てて手から視線を外した。外した先にいるのは、大勢のカップル。手をつないで歩く、幸せそうな人たち。ももももしかして、私と葵くんもそういう風に見えてたり……!? 違います! 断じて違います! 
 顔に熱が集まってきたのを、慌てて隠そうとする。何か他のことに集中しなきゃ……! 

「腹減りません?」
「へっ……。い、言われてみれば」

 そういえば、午前中に学校が終わって、その後少しだけ生徒会活動をして、その間に何も食べていない。葵くんだって同じはずだ。昼食としてはちょっと遅いけど、何か食べないとお腹がすいて力が出ない。

「そこのファストフードでいいですか?」
「え、う、うん」

 葵くんは、ホットドックやハンバーガーの看板があるお店を指差した。かわいらしい木造の小屋みたいなつくり。三匹の子豚のお家みたいだ。葵くんは私の手を引いて、お店の中に足を踏み入れた。私もその後から、お店に入る。お店の中の雰囲気もかわいらしく落ち着いていて、私は少しうれしくなった。
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