おとぎ日和

天乃 彗

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桃太郎

06 お供に流れる不穏な空気?

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 桃が行ってしまった後の階段。男三人取り残されて、沈黙が流れた。最初に沈黙を破ったのは純平だった。

「……で、文句はないですよね? ……えーっと……好意がだだ漏れの……」
「猿山祐樹だ! 今度そう呼んだらぶっ飛ばすぞお前!」
「好意がだだ漏れ、は否定しないんだ?」
「……一真、てめぇ……」

 祐樹は拳を震わせながら一真を睨む。

──お前だってこいつが桃に告白したとき驚いてたろうが。

 からかっているだけなのか、敵なんだか味方なんだか分からない。

「まぁまぁ、これから少しの間協力するわけだし、仲良くいこうよ。俺は──」
「……戌井一真先輩」
「お? 当たり」
「……有名、なんで」
「あぁ、そう? じゃ、よろしくってことで」

 一真がにっこりと笑う。さすが、多くの人に慕われているだけある。

「……俺も行きますね。じゃあ……」

 純平は思い切り伸びをすると、あくびをしながら階段を下りていった。一真は祐樹を見やる。階段の先を睨み付ける祐樹に、また笑いそうになった。

「素直じゃないねぇ」
「……何だよ」
「“俺の女に手を出すな”くらいは言えばよかったのに」

 さっきのバカ呼ばわりの話だとわかり、祐樹は顔を背けた。

「……俺のじゃない」

 眉をしかめながらそう言うのが精一杯の祐樹に、一真はやれやれと溜息をつく。

「んまぁ確かに、誰のものでもないけど、今は」

 ポケットに手を突っ込みながら歩きだす一真を追いながら、また眉をしかめる。

──“今は”? 

「おい、どういう意味だ」
「強力なライバルも出てきちゃったし? どうなることやら」

 楽しそうに呟く一真。本当によくわからない。

──こいつは、結局桃のことをどう思ってんだよ。

 考えてもわからず、ため息混じりで呟いた。

「……お前本当に何なんだよ」

 独り言のつもりだったが、一真には聞こえていたらしい。小さな笑い声とともに、一真は言った。

「んー……、お供その一?」

 確かにそうだけど、そうじゃない。祐樹はそれ以上は何も言えず、黙って一真の横を歩いた。


 * * *
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