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桃太郎 番外編②
我ながら完璧な舞台設定《一真目線》
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昼休み、珍しく桃が浮かない顔をしていた。まぁ、原因は容易に想像できる。この時期といえば、だ。
「テストのことでしょ、桃」
「……そぉなの~! 今回赤点とったらまじやばくて!」
もうすぐテスト期間だ。それぞれの教科で範囲が発表され、いよいよ勉強ムード。それは、桃にとってはよくないことで。
「ほんっっっとにわかんないの! 教科書見てもさっぱり!」
桃は片手にパンを持ちながら、開いた形跡のない教科書を広げている。
「……授業聞いてりゃわかんだろ、こんなの」
「うっわぁムカつく! 天才の嫌味!」
横でぎゃいぎゃいと祐樹と桃が言い合っている。全く……何で言えないかな。“分からないなら教えてあげる”とか、“一緒に勉強しよう”とか。少なくとも、俺が祐樹の頭脳を持ってたら言うけどな。俺はため息をつきながら、笑顔を作った。
「教えてあげたら? 祐樹」
「は? 何で俺が……」
「そーだよ! 祐樹に教わるなんて、バカバカ言われるに決まってるもん!」
言うやいなやの猛抗議。やれやれ。まぁ、こうなることは分かっていたから、俺はもう一つ考えていた言葉を口にする。
「じゃあ、うらちゃんにでも教えてもらえば」
「「もっと嫌だ!」」
声が重なった二人に、俺は吹き出した。
「……じゃあ、決定だね」
「どうせなら、みんなで一緒にやろうよ、勉強ぉ……」
「俺、一人でやるほうが頭に入るから。ごめんね」
とっさに言う。ここで“みんなで勉強”になってしまったら、意味がない。
「えー? じゃあ、純平くんは?」
「……俺は」
言い掛けた純平を、目で制す。目が合った純平は、少し沈黙した後、
「……友達と約束してるので」
とだけ言った。
分かる後輩を持って俺は幸せだよ。桃は「そっかぁ……」としょんぼり言う。祐樹は何か言いたげな顔で俺を見ている。やっぱり煮え切らない態度の祐樹に、俺は笑顔を向けた。
「いいでしょ、どうせ勉強しなくても出来るんだし。教えてあげるのもいい勉強だし」
「……それは」
それでも言葉を濁す祐樹に、俺は耳打ちをした。
「……ぐずってると、本気で奪いにいくよ」
「……!」
「ね?」
祐樹は、ぐっと拳を握る。……どうやら、やっと分かってきたらしい。打ったら響くようになった。祐樹はくるりと桃に向き直り、吐き捨てるように言った。
「……明日! 放課後、自習室な! 逃げんなよ!」
「……不本意だけど、しょうがないわね……」
納得いってないような顔の桃を見ながら、また笑みを浮かべる。本当に、
「世話が焼ける……」
小さく呟いた俺の声は、言い合う二人の声にかき消された。
我ながら完璧な舞台設定。でもこれで進展しなかったら、俺だってもう我慢しない。友人として、ライバルとして、どう転んでも楽しみではある。
さて、どうなることやら。
(C)確かに恋だった
「テストのことでしょ、桃」
「……そぉなの~! 今回赤点とったらまじやばくて!」
もうすぐテスト期間だ。それぞれの教科で範囲が発表され、いよいよ勉強ムード。それは、桃にとってはよくないことで。
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横でぎゃいぎゃいと祐樹と桃が言い合っている。全く……何で言えないかな。“分からないなら教えてあげる”とか、“一緒に勉強しよう”とか。少なくとも、俺が祐樹の頭脳を持ってたら言うけどな。俺はため息をつきながら、笑顔を作った。
「教えてあげたら? 祐樹」
「は? 何で俺が……」
「そーだよ! 祐樹に教わるなんて、バカバカ言われるに決まってるもん!」
言うやいなやの猛抗議。やれやれ。まぁ、こうなることは分かっていたから、俺はもう一つ考えていた言葉を口にする。
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声が重なった二人に、俺は吹き出した。
「……じゃあ、決定だね」
「どうせなら、みんなで一緒にやろうよ、勉強ぉ……」
「俺、一人でやるほうが頭に入るから。ごめんね」
とっさに言う。ここで“みんなで勉強”になってしまったら、意味がない。
「えー? じゃあ、純平くんは?」
「……俺は」
言い掛けた純平を、目で制す。目が合った純平は、少し沈黙した後、
「……友達と約束してるので」
とだけ言った。
分かる後輩を持って俺は幸せだよ。桃は「そっかぁ……」としょんぼり言う。祐樹は何か言いたげな顔で俺を見ている。やっぱり煮え切らない態度の祐樹に、俺は笑顔を向けた。
「いいでしょ、どうせ勉強しなくても出来るんだし。教えてあげるのもいい勉強だし」
「……それは」
それでも言葉を濁す祐樹に、俺は耳打ちをした。
「……ぐずってると、本気で奪いにいくよ」
「……!」
「ね?」
祐樹は、ぐっと拳を握る。……どうやら、やっと分かってきたらしい。打ったら響くようになった。祐樹はくるりと桃に向き直り、吐き捨てるように言った。
「……明日! 放課後、自習室な! 逃げんなよ!」
「……不本意だけど、しょうがないわね……」
納得いってないような顔の桃を見ながら、また笑みを浮かべる。本当に、
「世話が焼ける……」
小さく呟いた俺の声は、言い合う二人の声にかき消された。
我ながら完璧な舞台設定。でもこれで進展しなかったら、俺だってもう我慢しない。友人として、ライバルとして、どう転んでも楽しみではある。
さて、どうなることやら。
(C)確かに恋だった
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