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ラブドール
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「あのっ……シュリーマンさんって」
「あああああ!!」
サラが尋ねようとするのと同時に、センは叫び声を上げた。そのせいでサラの声は掻き消され、センは声をかけられたことに気づかなかったようだ。もう一度声をかけようかと思ったが、センの様子がおかしかったため、それも躊躇われた。
「ぼぼぼ僕としたことがぁっ!! な、な、な、なんてこった!!」
その肩はわなわなと震えていて、手には何やらチューブのようなものが握られている。それが絵の具のチューブであることはすぐにわかった。
「あ、あの……どうし」
「ききき黄色の絵の具がきれてたんだよ!!」
センの手に握られていた絵の具のチューブは確かにぺしゃんこだった。中身が全て出されたチューブ。センはそれをゴミ箱に放り投げながらまくしたてるように言う。
「えと。私、詳しくないですけど、絵の具って確か他の色と混ぜ合わせて色が出せるんじゃ」
「きっ、黄色の絵の具が作れるわけあるかぁっ!」
その剣幕に、サラは思わず肩を震わせた。あるか、と問われても、サラは答えを知らない。しかし、その様子を見るからに、作ることはできないのだろう。センは、自分の剣幕にサラが怯えてしまったことに気がついたらしい。すぐにさっきまでのオドオドした様子に戻り、「ご、ごめんね! ごめんね!」と繰り返した。
「ぼっ、僕、急いで黄色の絵の具を買って来るよ! じ、じゃないと君のその美しい金髪が、ひ、表現できないもの」
「えっ、でも……」
センはいそいそとジャケットを羽織り、小銭だけをポケットに突っ込んだ。
「そ、そのパン、すす、好きなだけ食べててもいいから! さ、30分もしないうちに戻ってくる!」
「え、あの、センさん……」
バタン! と扉が閉められる音が部屋に響いた。驚いた。見ず知らずの少女を部屋に残し出かけてしまうとは。金品を盗まれる心配はしなかったのだろうか。だからと言って盗みはしないが、不用心すぎてこちらが不安になる。いい意味でも悪い意味でも、センは人が良すぎるのかもしれない。袋の中のパンを見つめて、まだいいか、と思い直す。
だが、いくらセンの人がいいからと言って、自分の行動は軽率すぎただろうか、と不安に思った。男の一人暮らしの家に上がり込んで、何か犯罪に巻き込まれたとしたら……? 考えたくはないが、もし襲われたら? 暴力を振るわれたら? 悪いのは自分だ。
──やっぱり、いまのうちにこっそり逃げ出した方がいいかしら……。
サラは辺りをキョロキョロと見渡して、そわそわとし始める。壁に飾られている絵が目に入った。よく見るとそれは、一つ一つ、全く同じ女性が描かれている。その女性は、どの絵も穏やかな笑みを浮かべている。綺麗な女の人だな、と率直に思った。
「──大丈夫よ、センに人を犯す勇気なんてないから」
「……っ!」
突如女の人の声がして、サラはビクリと肩を震わせた。自分以外にも人がいたとは思わず、そしてその声の主の居場所がわからず、さっき以上に辺りを見渡した。
「あら、ごめんなさいね……驚かせた? 今、横になってるの」
「横に……?」
サラは、部屋の隅にあるベッドに目を向けた。ふかふかで暖かそうな布団でさっき見た時は気がつかなかったが、確かによく見ると膨らみがあった。頭からすっぽりと布団で隠れているようで彼女の様子はわからないが、人一人横になっているのがわかる。てっきり一人暮らしなのかと思っていたが、確かに一人で暮らすには広い部屋だし大きなベッドだ。
「ごめんなさい……気づかなくて。お邪魔してます」
「あぁ、いいのよ」
クスリ、とその女性は笑った。上品な笑い方だと思った。
「あの……お名前は」
「わたし? わたしは、ペパベール」
「ペパベールさん……」
名を呼びながら、もう一度壁に掛けられた何枚もの絵を見る。絵の良し悪しはサラにはよくわからないが、絵を見る限りでは、ペパベールはとても美しい女性なように思える。その姿を見ることができないが。
「いつもはあなたがセンさんの絵のモデルを?」
「ええ。あの人には他に描くものなんてないから……」
そこで一呼吸置いて、ペパベールは「ふふ」と笑った。
「でも、あの人ったら随分可愛らしいモデルさんを見つけたものね」
「可愛らしいなんて、そんな」
サラは精一杯頭を振る。こんな姿でモデルだなんて、今でも納得が行かないというのに。
「ううん、とっても可愛らしいわ。声を聞けばわかるわ。可愛いというよりかは、綺麗、のほうが適切かも」
「そんな……ペパベールさんのほうがよっぽど綺麗です。本当に」
それは本心だった。サラが目一杯謙遜すると、ペパベールは「ふふ、ありがとう」と笑った。
「……あの、お姿、見てもいいですか?」
「え?」
「ペパベールさんの。せっかくだから、お顔を見てお話ししたいです」
サラの提案に、ペパベールは押し黙った。やはり、いきなり失礼な提案だったろうか。サラは言った後に少しだけ後悔した。
「あのっ、無理なら、やっぱり」
「……めくってもらえる? 布団。わたし、一人では動けないの」
「えっ……」
了承、されたのだろうか。恐る恐る、布団に手を伸ばす。伸ばしたところで、『一人では動けない』という言葉が引っかかった。さっきまで布団を頭まで被っていたし、もしかしたら重い病気なのかもしれない。
「あの、考えなくてごめんなさい。もしかして、ご病気、とか」
「ううん、違うのよ。いいからめくってもらえる?」
少しだけ語気を強めたペパベールの言葉に、サラは驚いた。でも、ここまで来て『めくれ』と言われてめくらないわけにもいかない。
「……失礼します」
頭の方から、そろそろと布団をめくる。美しく艶のある茶色の髪。通った鼻筋。優しく微笑む瞳。柔らかそうな唇。思っていた通り彼女は美しい。美しい、が──。
「ペパ、ベール、さん……?」
「なぁに?」
その表情はぴくりとも動かない。唇も動かない。その睫毛は揺れない。ドクン。心臓が大きく脈を打った。
「……に、んぎょう、だったんですか……?」
「……あなたを騙すつもりがなかったといえば嘘になるわね。いつ気づくかしらと思っていたのよ。顔が見たいと言われて諦めたけれど」
ふふ、と彼女は笑った。顔には柔らかな笑みを浮かべている。そのように作られているのだから当たり前かもしれないが。
今まで幾度となく人形を見てきたが、ここまで大きな人形に出会ったのは初めてだ。サラが初めて出会ったブリキの紳士も大きさはあったが、サラと同じくらいか、少し大きいくらいであった。しかし、彼女の大きさは、大人の女性のそれである。
人間であると信じて疑わなかったサラには、衝撃が大きすぎた。思わず、持っていた布団を床にぱさりと落としてしまった。首元までしか露わになっていなかったペパベールの身体が目に入る。
「あっ……!」
サラはまた動揺した。ペパベールは、服を着ていなかったのである。一糸纏わぬ姿がサラの目に映った。左右対称の美しい乳房。ご丁寧にその先の突起もきちんと作られている。白いシーツに映える美しい肌に思わず見とれそうになるのを、慌ててごまかす。わたわたと布団を拾い上げると、さっきのように首元まで布団を被せた。
「ごっ、ごめんなさい……っ」
「いいわ、減るもんじゃあないし」
くすくすと笑い声が部屋に響く。首まで真っ赤になったサラを見て、「可愛いのね」とペパベールは笑った。女性の裸など見慣れていないのだから、それが人形のものであるとしても照れるのは当たり前じゃないか、とも思ったが、口には出さないでおいた。
それにしても、と、ちらりとベッドを見た。人形だから暑さ寒さは感じないだろうが、何も裸で置いておかなくてもいいのではないか。人形にも意思がある、と知っているサラだからこその感想かもしれないが。以前会った着せ替え人形のイオナだって、おしゃれがしたいと嘆いていた。ペパベールも、服くらいは着たいと思うのでは。
「……あの、服……って」
「服……? あぁ、服ね」
今まで出会った人形のことを考えると、ペパベールも「本当、服くらいは着せて欲しいわ」だなんて愚痴をこぼすだろう、と思っていたサラだったが、ペパベールの反応は想像していたものとは違った。
「あああああ!!」
サラが尋ねようとするのと同時に、センは叫び声を上げた。そのせいでサラの声は掻き消され、センは声をかけられたことに気づかなかったようだ。もう一度声をかけようかと思ったが、センの様子がおかしかったため、それも躊躇われた。
「ぼぼぼ僕としたことがぁっ!! な、な、な、なんてこった!!」
その肩はわなわなと震えていて、手には何やらチューブのようなものが握られている。それが絵の具のチューブであることはすぐにわかった。
「あ、あの……どうし」
「ききき黄色の絵の具がきれてたんだよ!!」
センの手に握られていた絵の具のチューブは確かにぺしゃんこだった。中身が全て出されたチューブ。センはそれをゴミ箱に放り投げながらまくしたてるように言う。
「えと。私、詳しくないですけど、絵の具って確か他の色と混ぜ合わせて色が出せるんじゃ」
「きっ、黄色の絵の具が作れるわけあるかぁっ!」
その剣幕に、サラは思わず肩を震わせた。あるか、と問われても、サラは答えを知らない。しかし、その様子を見るからに、作ることはできないのだろう。センは、自分の剣幕にサラが怯えてしまったことに気がついたらしい。すぐにさっきまでのオドオドした様子に戻り、「ご、ごめんね! ごめんね!」と繰り返した。
「ぼっ、僕、急いで黄色の絵の具を買って来るよ! じ、じゃないと君のその美しい金髪が、ひ、表現できないもの」
「えっ、でも……」
センはいそいそとジャケットを羽織り、小銭だけをポケットに突っ込んだ。
「そ、そのパン、すす、好きなだけ食べててもいいから! さ、30分もしないうちに戻ってくる!」
「え、あの、センさん……」
バタン! と扉が閉められる音が部屋に響いた。驚いた。見ず知らずの少女を部屋に残し出かけてしまうとは。金品を盗まれる心配はしなかったのだろうか。だからと言って盗みはしないが、不用心すぎてこちらが不安になる。いい意味でも悪い意味でも、センは人が良すぎるのかもしれない。袋の中のパンを見つめて、まだいいか、と思い直す。
だが、いくらセンの人がいいからと言って、自分の行動は軽率すぎただろうか、と不安に思った。男の一人暮らしの家に上がり込んで、何か犯罪に巻き込まれたとしたら……? 考えたくはないが、もし襲われたら? 暴力を振るわれたら? 悪いのは自分だ。
──やっぱり、いまのうちにこっそり逃げ出した方がいいかしら……。
サラは辺りをキョロキョロと見渡して、そわそわとし始める。壁に飾られている絵が目に入った。よく見るとそれは、一つ一つ、全く同じ女性が描かれている。その女性は、どの絵も穏やかな笑みを浮かべている。綺麗な女の人だな、と率直に思った。
「──大丈夫よ、センに人を犯す勇気なんてないから」
「……っ!」
突如女の人の声がして、サラはビクリと肩を震わせた。自分以外にも人がいたとは思わず、そしてその声の主の居場所がわからず、さっき以上に辺りを見渡した。
「あら、ごめんなさいね……驚かせた? 今、横になってるの」
「横に……?」
サラは、部屋の隅にあるベッドに目を向けた。ふかふかで暖かそうな布団でさっき見た時は気がつかなかったが、確かによく見ると膨らみがあった。頭からすっぽりと布団で隠れているようで彼女の様子はわからないが、人一人横になっているのがわかる。てっきり一人暮らしなのかと思っていたが、確かに一人で暮らすには広い部屋だし大きなベッドだ。
「ごめんなさい……気づかなくて。お邪魔してます」
「あぁ、いいのよ」
クスリ、とその女性は笑った。上品な笑い方だと思った。
「あの……お名前は」
「わたし? わたしは、ペパベール」
「ペパベールさん……」
名を呼びながら、もう一度壁に掛けられた何枚もの絵を見る。絵の良し悪しはサラにはよくわからないが、絵を見る限りでは、ペパベールはとても美しい女性なように思える。その姿を見ることができないが。
「いつもはあなたがセンさんの絵のモデルを?」
「ええ。あの人には他に描くものなんてないから……」
そこで一呼吸置いて、ペパベールは「ふふ」と笑った。
「でも、あの人ったら随分可愛らしいモデルさんを見つけたものね」
「可愛らしいなんて、そんな」
サラは精一杯頭を振る。こんな姿でモデルだなんて、今でも納得が行かないというのに。
「ううん、とっても可愛らしいわ。声を聞けばわかるわ。可愛いというよりかは、綺麗、のほうが適切かも」
「そんな……ペパベールさんのほうがよっぽど綺麗です。本当に」
それは本心だった。サラが目一杯謙遜すると、ペパベールは「ふふ、ありがとう」と笑った。
「……あの、お姿、見てもいいですか?」
「え?」
「ペパベールさんの。せっかくだから、お顔を見てお話ししたいです」
サラの提案に、ペパベールは押し黙った。やはり、いきなり失礼な提案だったろうか。サラは言った後に少しだけ後悔した。
「あのっ、無理なら、やっぱり」
「……めくってもらえる? 布団。わたし、一人では動けないの」
「えっ……」
了承、されたのだろうか。恐る恐る、布団に手を伸ばす。伸ばしたところで、『一人では動けない』という言葉が引っかかった。さっきまで布団を頭まで被っていたし、もしかしたら重い病気なのかもしれない。
「あの、考えなくてごめんなさい。もしかして、ご病気、とか」
「ううん、違うのよ。いいからめくってもらえる?」
少しだけ語気を強めたペパベールの言葉に、サラは驚いた。でも、ここまで来て『めくれ』と言われてめくらないわけにもいかない。
「……失礼します」
頭の方から、そろそろと布団をめくる。美しく艶のある茶色の髪。通った鼻筋。優しく微笑む瞳。柔らかそうな唇。思っていた通り彼女は美しい。美しい、が──。
「ペパ、ベール、さん……?」
「なぁに?」
その表情はぴくりとも動かない。唇も動かない。その睫毛は揺れない。ドクン。心臓が大きく脈を打った。
「……に、んぎょう、だったんですか……?」
「……あなたを騙すつもりがなかったといえば嘘になるわね。いつ気づくかしらと思っていたのよ。顔が見たいと言われて諦めたけれど」
ふふ、と彼女は笑った。顔には柔らかな笑みを浮かべている。そのように作られているのだから当たり前かもしれないが。
今まで幾度となく人形を見てきたが、ここまで大きな人形に出会ったのは初めてだ。サラが初めて出会ったブリキの紳士も大きさはあったが、サラと同じくらいか、少し大きいくらいであった。しかし、彼女の大きさは、大人の女性のそれである。
人間であると信じて疑わなかったサラには、衝撃が大きすぎた。思わず、持っていた布団を床にぱさりと落としてしまった。首元までしか露わになっていなかったペパベールの身体が目に入る。
「あっ……!」
サラはまた動揺した。ペパベールは、服を着ていなかったのである。一糸纏わぬ姿がサラの目に映った。左右対称の美しい乳房。ご丁寧にその先の突起もきちんと作られている。白いシーツに映える美しい肌に思わず見とれそうになるのを、慌ててごまかす。わたわたと布団を拾い上げると、さっきのように首元まで布団を被せた。
「ごっ、ごめんなさい……っ」
「いいわ、減るもんじゃあないし」
くすくすと笑い声が部屋に響く。首まで真っ赤になったサラを見て、「可愛いのね」とペパベールは笑った。女性の裸など見慣れていないのだから、それが人形のものであるとしても照れるのは当たり前じゃないか、とも思ったが、口には出さないでおいた。
それにしても、と、ちらりとベッドを見た。人形だから暑さ寒さは感じないだろうが、何も裸で置いておかなくてもいいのではないか。人形にも意思がある、と知っているサラだからこその感想かもしれないが。以前会った着せ替え人形のイオナだって、おしゃれがしたいと嘆いていた。ペパベールも、服くらいは着たいと思うのでは。
「……あの、服……って」
「服……? あぁ、服ね」
今まで出会った人形のことを考えると、ペパベールも「本当、服くらいは着せて欲しいわ」だなんて愚痴をこぼすだろう、と思っていたサラだったが、ペパベールの反応は想像していたものとは違った。
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