23 / 59
secret club
chapter.16 A mirror reflecting a new world
しおりを挟む私の人生を変えてくれたsecret club。
そのsecret clubに夫を用意周到に引き込んだ。
そして今日はが夫が初めて女性になる日。
その記念すべき日に自分が男性になって、
最初の相手になるというsecret clubからの提案。
こんな面白い話に乗らないわけがない。
私はその話を二つ返事で承諾して今、secret clubの控室にいる。
万が一、ビルの受付でバッタリ出くわしてしまっては計画が水の泡なので
少し早めにビルに到着し、今回の計画についてや実行方法など、
一通りのの説明を事前にうけた。
そして、ゆっくりとジュースを飲みながら夫の到着を待った。
ジュースを口にしてから、10分ぐらいしたときに、
モニターに受付の様子が映し出された。
ついに夫がここにやってきたのだ。
なんだか監視しているようでこれはこれでドキドキするものだ。
受付を済ませて部屋に向かって歩き出したところで画像が消えた。
そして、この後の段取りが改めて表示された。
まずは夫が女性になるプロセスが完了するまで待つことになる。
初回はちょっと時間がかかるのは自分でも体験済みだ。
そうして待っているとモニターにデータ収集中と表示される。
恐らく夫の現在の心理データを収集すると、
事前に行っていたあれだなとすぐにわかった。
そのデータ収集が終わると生成中という表示に変わった。
おそらくこれが今日男性になるためのデータに反映されるプロセスだろう。
そしてモニターにはいままでみたことのない男性が映し出された。
なんとも冴えない感じのごく普通という印象の男性だ。
なんとなく頼りない感じは夫に似ていなくもない。
どうやらこれが今日自分が変身する姿のようだ。
しばらくして生成完了という表示がでると、
さきほどジュースをでてきた小窓から
いつものようにカプセル状の薬と水が運ばれてくる。
ここからは慣れたものなので薬を口に含んで水で飲み込む。
続いてヘッドセットを装着する。
何度もやっていることでだんだんと時間が短くなっているようにも感じる。
目の前に流れる風景が今日はなんだか寂し気に感じる。
夕焼けを堤防から眺める少年を遠くから見つめるような映像だ。
そんな映像をみているといつものように身体のあちこちが熱くなるのがわかる。
しかしこれも慣れてくれるとキタキタと感じてしまうものだ。
目の前の映像が真っ暗になるとヘッドセットを外してくださいという表示がでた。
ヘッドセットを外して、うーんと背伸びをする。
そして鏡に自分を写してみる。
いつも見慣れた男性ではなく、さきほど映像でみた男性になっていた。
そしてすぐに音声で、自分のことを知りたいと念じてみてくださいと案内された。
言われるままに念じてみると、なにか頭の中に色々な感情が湧き上がってくる。
おそらくこれが夫の今日、ここに来た時の感情なのだろう。
毎日をつまらないと感じていることや、妻に対する気持ち。
ここのところ浮気を疑って色々調べていること。
そのうえで不安な場所にはじめていくこと。
なんとも複雑な気持ちになるものだが、
恐らく夫も今日からここで幸せを感じるに違いない。
不思議とそんなことを思い浮かべながら、
それらを感情を素直に受け入れてみる。
するといつもの感覚とはちょっと違う感覚を感じていた。
このsecret clubが初めてで、
女性とエッチなことをする場所にはあまりいったことがない。
何とも言えない不安に包まれている状態。
ここでどうしていいのかもよくわかっていない。
いままで自分が男性になって過ごしてきたときとは全く違う感覚。
でも、どうせならこのまま女性になった夫に対峙したらどうなるのだろう?
そちらの興味の方が上回っているのがすぐにわかる。
こうやって今日のsecret clubでの自分自身の整理をしながら服を選んだ。
あえて地味に普通な感じにしようとスーツを着ることにした。
下着も地味なものをあえてチョイスする。
服を着終わって鏡に映る自分はなんとも冴えない地味な感じだ。
だけど、なんともいえない安心感も感じる。
今日の正解はこれなんだろうなと自分に言い聞かせて、
着替えも終わったことをモニターに向かって話しかけた。
まもになくお迎えに向かいますと返事があった。
さぁ、いよいよだ。
夫の心理データからなのか、
不安と自分自身のドキドキが合わさっている。
お迎えの黒服にいつものようにマスクを選ぶよう促される。
その中から1つを手に取って顔に装着した。
その後、黒服からこちらへと言われるままに歩いていく。
いつもとは違うなんとも言えない不安を感じながら一歩一歩歩く。
さぁ、今日のゲームの始まりだ。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】 男達の性宴
蔵屋
BL
僕が通う高校の学校医望月先生に
今夜8時に来るよう、青山のホテルに
誘われた。
ホテルに来れば会場に案内すると
言われ、会場案内図を渡された。
高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を
早くも社会人扱いする両親。
僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、
東京へ飛ばして行った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
