異性の世界はこちらです

神崎未緒里

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secret club

chapter.4 Change to the opposite sex

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secret clubという既婚者専用の謎の出会い系サークルのようなものに入会して、
いよいよ異性の姿になるべく、VRゴーグルというものを身に着けた。
そして初めて見るカプセルを飲み込んだ。

VRゴーグルのモニターには先日作成した女性が映し出されている。

その女性をぐるっとカメラが映したかというところで、
身体がだんだん熱くなってくることを感じる。
耐えられないというものではないが少し苦しさは感じる。

その間に目の前の映像は気が付けば女性から赤ちゃんの様子に変わっていた。

生まれたばかりの赤ちゃん。

とても可愛らしい姿が映し出される。

そして誰かの人生なのだろうか?

その赤ちゃんは幼女になりいつか小学生へと成長していく。

その様子を見ていると身体中がムズムズとするのを感じる。
なにか自分の身体が一度リセットされていくかように、
股間や胸、首や肩、あちこちがギュンギュンと締め付けられるのを感じた。

目の前の小学生が中学生となり高校生になるころには、
今度は胸やお尻が引っ張られるような感覚を覚える。

しかし、不思議なことに目の前の映像に意識が集中してしまい、
痛みというものはほとんど感じない。
熱さや引っ張れたり締め付けられたりという
感覚だけが順番に起こっているようだ。

高校生から大学生になり、そのまま年齢を重ねていく。
そのまま先日設定した女性の姿へとたどり着く。

その頃には顔がとても熱く感じたがそれも耐えられないほどではなかった。

そんな感覚を感じていると、
目の前の女性がニコリと笑うとこちらへ近づいてくる。
そのまま自分に溶け込むように進んでくる。
なんともいえない不思議な感覚を感じている。
自分が知らないなにかが自分に流れ込んでくるようだ。

やがてそのまま目の前が光に包まれる。
そして向こうの方からメッセージが浮かび上がってくる。


「お疲れ様でした。これで身体の変化は完了となります。この後いくつか注意事項をお伝えいたします。」


そのメッセージに続いてこう表示された。


「先ほどの動画を見ていただいたことで、女性としてふるまい方は一通りインプットされておりますので、少しでも迷ったときは自分自身に問いかけることで知識を引き出すことができます。また、ここで過ごされた時間の記憶はお帰りの際に大部分消去されますので、日常への影響はございません。なお、元のご自身へと戻るためのデータは今回収集できましたので、モデルを作り直さない限り入室までの時間は今回より短くなります。」


なるほど。しかし、そんなことまでできるとはいったいどういう仕組みなんだ?
と少し怖さすら感じるが、自分が自分である自我は残っているのだからまぁよしとしよう。
当初の目的は果たせないかもだが、今となってはそれ以上に好奇心が芽生え始めていた。


「以上で注意事項の伝達は完了となります。なお、退室時間となりましたらフロア担当がお声かけいたしますのでご安心してお楽しみください。それではVRゴーグルを外して身体の変化をご確認ください。目の前にある姿見を使っていだければと。また、服や下着、化粧道具については部屋のクローゼットに色々とご用意しておりますのでご自由にお使いください。準備が終わりましたら再度VRゴーグルを身に着けていただけましたら会場へご案内いたします。」


ここまでのメッセージを確認して一旦VRゴーグルを外す。

モニター越しだった風景が一気にリアルに戻る。

そして、目の前姿見を見て本当にあの女性になったことを確認した。

顔は指定したとおりで、スタイルも見事なものだ。
ただ、服は自分が着てきたものなのでなんとも妙な姿だ。

早速服を全て脱いでみる。

大きな胸にくびれた腰、大きなお尻。
背も元の自分より少し大きく設定したがまさにそのとおりだ。

しかし、これは幻想かもしれないと手で胸を揉んでみる。
なんとも言えない柔らかさと同時に乳首に触れただけでビクンとなる。

これはなんだ?と頭の中で考えたら自然と答えが浮かび上がってくる。
女性は敏感なところがあちこちあったよねと。
なんだか言葉遣いや思考があっという間に女性っぽく傾いているのが自覚できる。


「あ。。。あ。。。あれ」


声も完全に女性だ。
なるほど。知識としてインプットされていることが、
自分が自覚することで取り込めるということか。

女性の話し方ってどんな感じだっけ?と自分に問いかけると、
色々な考える言葉が女性らしく変わっていくのがわかる。

なるほどね。ほんとすごいわ。

このまま、下着に着け方や化粧の仕方、オナニーやセックスについてなんか、
色々と自分に聞いてみたんだけど、どんどん思い出すのね。

なんだか男っていう自分を忘れてしまいそうで怖いんだけど。

そのへんはやりすぎないようにって感じかな?

こうやって女性として戸惑わないぐらいの自覚ができたから、
クローゼットに向かってみたの。

いろんな服があるけど、今日はドレスにしようかなぁ?
下着もそれに合わせて選んでっと。
化粧はちょっとしっかり目がいいかなぁ?
鏡の前で化粧をするんだけど、長年してきたみたい上手にできるのって
ほんとすごいなぁ。

こうやってだいたい準備ができたから、さっきのVRゴーグルをもう一回かぶってみたの。


「準備は完了いたしましたか?それでは会場へご案内いたします。」


さて、もう戻れないわね。
どんな世界が待っているのかしら?
もうワクワクが止まらない自分にちょっとびっくりしちゃってる。


こうして後戻りできない一歩を踏み出したのだった。
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