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短編
その後の話1
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死んだはずの人間から電話がかかってきたのは、何の変哲も無い夜だった。
『葉山? どうせまた、家でごろごろしてるだけだろ? ちょっと学校出て来いよ』
耳に馴染んではいるけれど、電話を通した声は少しいびつな気がした。
この場合の学校というのは、間借りしている下宿先のアパートから歩いて五分といった距離にある大学のことだ。
「ああ。何か持ってく物あるか?」
『いや? ああ、呑みたかったら酒でも。菓子でもなんでも好きなように』
「…何するつもりだよ?」
『ま、来りゃわかるって。じゃあ待ってるからな』
返事も待たずに、通話が切れる。生前と同じだった。
借りた当初から備え付けだった黒電話の受話器を置くと、俺は一瞬考えて、財布と鍵、それと薄手のナイロンパーカーだけつかんで、部屋を後にした。
外は秋独特の涼しさがあって、一応戸締りはしておくにこしたことはなく、身元照会を煩わせたくはなかったからだった。
『葉山? どうせまた、家でごろごろしてるだけだろ? ちょっと学校出て来いよ』
耳に馴染んではいるけれど、電話を通した声は少しいびつな気がした。
この場合の学校というのは、間借りしている下宿先のアパートから歩いて五分といった距離にある大学のことだ。
「ああ。何か持ってく物あるか?」
『いや? ああ、呑みたかったら酒でも。菓子でもなんでも好きなように』
「…何するつもりだよ?」
『ま、来りゃわかるって。じゃあ待ってるからな』
返事も待たずに、通話が切れる。生前と同じだった。
借りた当初から備え付けだった黒電話の受話器を置くと、俺は一瞬考えて、財布と鍵、それと薄手のナイロンパーカーだけつかんで、部屋を後にした。
外は秋独特の涼しさがあって、一応戸締りはしておくにこしたことはなく、身元照会を煩わせたくはなかったからだった。
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