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1戦目
エレアとヒリューとセキヤ:後編
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「いいねぇ。良い魔力を持ってるねぇ」
実況が睨みあう二人の姿を具に実況する。そんな声はまるでお構いなしに、平然とゴウはセキヤに対して話しかける。
「そんな魔法使いみたいなロープを着ているのは剣を隠すためか。俺への対策ってところか?」
「……まあ、そんなところです」
笑みを浮かべるほど余裕のあるゴウと対照的に、セキヤは額から汗をだらだらと流していた。ロープを着ているから暑いというわけではなく、ゴウから受けるプレッシャーに耐えているからこその汗だった。
――なんだよこの恐怖感は!
剣にはそれぞれ魔力を込めることが出来る。その魔力を込めることが出来る総数で、剣の強さはほぼ決まってくる。剣闘大会が開催されるとその魔力を二つまで込められる剣が支給される。大会参加者はその剣に自分で込める魔力を探して大会へと出場するのである。
魔力は非常に多種多様で、『火』や『水』のように何かを生み出したり、ヒリューがやったように『大』で剣の大きさを変えることも出来る。全ての魔力を網羅するのは無理だろうと研究者たちは声を揃えるほどに、世界中に様々な効果を持つ魔力が存在している。
この鍛冶杯というのは剣に魔力を三つ込められる、通称スロ三(スロット三つの略)の大会なのである。魔力は剣の中でそれぞれ融合することもできる。例えば『火』と『大』を剣に込めれば、大きな火の玉を放出することができる。スロ三だとこれに『数』の魔力などを加えることでその火の玉を複数出す事が出来る。スロ二とスロ三の剣では強さに大きな差があるのがこの大会の基本である。だから鍛冶屋杯は予選を勝ち抜くためにも勝たないといけない大会なのである。
その大事な大会だからこそ、セキヤは一番強力だと思っている『反射』の魔力を剣に込めてきた。これは剣に与えられた物理法則をそのままひっくり返すというものである。ヒリューのような大きな力であればあるほどこの剣の魔力は大きな効果を発揮するのである。
そしてそれは優勝経験のあるゴウに対して最も効果的な魔力のはずだったのである。剣の魔力は剣の刀身を見れば文字が刻まれているのですぐにバレてしまう。だからセキヤは剣を隠して、一撃目のゴウの攻撃をその剣で受け止めて威力を反射させるつもりだった。
しかし結果は失敗。ゴウはその魔力の存在を見抜いたのである。
この『反射』の魔力は今までの大会でも出てきていない。セキヤにとっては秘策中の秘策だった。だからこそここでゴウを倒したかった。
その想いはいまだに消えることなく、ゴウと真正面から睨みあって次の戦法を考える。
――そもそも本当にこの人は僕の魔力が何なのか気付いているのか?
具体的な効果や名前はまだゴウ本人の口からは出ていないと冷静に状況を分析する。そうでなくとも周りにも多くの大会参加者がいる以上、ここでこの剣の魔力を公にはしたくないのが本心だった。
汗がぽたりとフィールドに落ちる。尋常じゃない汗の量にもセキヤは考えを巡らしていた。
――初手の動きはギリギリ目で追えた。
セキヤの秘策はゴウの剣を自分の剣で受け止める必要がある。それをするだけの動体視力と反射神経だけでもセキヤは一端の剣士よりも優れている。だからゴウの剣に刻まれた文字もしっかりと読み取っていた。
――『分裂』と『力』
『分裂』は剣士が二体に増えるという強力な魔力として大会でも知られている。しかし二人分の動きを実際には一つの脳と視点で操る必要がある。ピアノの初心者が左右の手を別々に動かすことに苦戦するのを考えれば、『分裂』の魔力の難しさがわかるだろう。熟練者でも二体目をまともに動かせないということで『意志』の魔力と併せて勝手に動いてもらいながら使うのが一般的である。ゴウはその高難易度の芸当を簡単にやってのけるばかりか、他の剣士たちにその『分裂』の魔力を使わせたことすら気づかせないほどの超速で操っていたのである。
しかし現状ではその魔力は全く怖くない。数が増えても力が増しても、剣で防ぐことさえできてしまえば勝てるのだから。
セキヤが今一番問題にしているのは、プレッシャーである。
相手の魔力に精神的に攻撃するようなものはない。
なのに、目の前で不敵に笑うゴウを恐ろしく感じている。
頭では理解できているのに、心が理解できていなかった。
――なんでだ、なんで僕はこの人に殺されると思っているんだ?
思考がある一点で固定される。ゴウという得体の知れない人間に対して。
そんなセキヤの様子をじっくり観察し、そしてそれに満足したかのように笑顔を歪ませると、セキヤにこう言い放った。
「次に戦う時までには、身体の方も鍛えておきなよ」
セキヤはゴウが下段から切りかかるとみて剣を構える。しかしゴウは剣を振り上げることはなく、左手でセキヤの身体を突き飛ばしていた。
実況が睨みあう二人の姿を具に実況する。そんな声はまるでお構いなしに、平然とゴウはセキヤに対して話しかける。
「そんな魔法使いみたいなロープを着ているのは剣を隠すためか。俺への対策ってところか?」
「……まあ、そんなところです」
笑みを浮かべるほど余裕のあるゴウと対照的に、セキヤは額から汗をだらだらと流していた。ロープを着ているから暑いというわけではなく、ゴウから受けるプレッシャーに耐えているからこその汗だった。
――なんだよこの恐怖感は!
剣にはそれぞれ魔力を込めることが出来る。その魔力を込めることが出来る総数で、剣の強さはほぼ決まってくる。剣闘大会が開催されるとその魔力を二つまで込められる剣が支給される。大会参加者はその剣に自分で込める魔力を探して大会へと出場するのである。
魔力は非常に多種多様で、『火』や『水』のように何かを生み出したり、ヒリューがやったように『大』で剣の大きさを変えることも出来る。全ての魔力を網羅するのは無理だろうと研究者たちは声を揃えるほどに、世界中に様々な効果を持つ魔力が存在している。
この鍛冶杯というのは剣に魔力を三つ込められる、通称スロ三(スロット三つの略)の大会なのである。魔力は剣の中でそれぞれ融合することもできる。例えば『火』と『大』を剣に込めれば、大きな火の玉を放出することができる。スロ三だとこれに『数』の魔力などを加えることでその火の玉を複数出す事が出来る。スロ二とスロ三の剣では強さに大きな差があるのがこの大会の基本である。だから鍛冶屋杯は予選を勝ち抜くためにも勝たないといけない大会なのである。
その大事な大会だからこそ、セキヤは一番強力だと思っている『反射』の魔力を剣に込めてきた。これは剣に与えられた物理法則をそのままひっくり返すというものである。ヒリューのような大きな力であればあるほどこの剣の魔力は大きな効果を発揮するのである。
そしてそれは優勝経験のあるゴウに対して最も効果的な魔力のはずだったのである。剣の魔力は剣の刀身を見れば文字が刻まれているのですぐにバレてしまう。だからセキヤは剣を隠して、一撃目のゴウの攻撃をその剣で受け止めて威力を反射させるつもりだった。
しかし結果は失敗。ゴウはその魔力の存在を見抜いたのである。
この『反射』の魔力は今までの大会でも出てきていない。セキヤにとっては秘策中の秘策だった。だからこそここでゴウを倒したかった。
その想いはいまだに消えることなく、ゴウと真正面から睨みあって次の戦法を考える。
――そもそも本当にこの人は僕の魔力が何なのか気付いているのか?
具体的な効果や名前はまだゴウ本人の口からは出ていないと冷静に状況を分析する。そうでなくとも周りにも多くの大会参加者がいる以上、ここでこの剣の魔力を公にはしたくないのが本心だった。
汗がぽたりとフィールドに落ちる。尋常じゃない汗の量にもセキヤは考えを巡らしていた。
――初手の動きはギリギリ目で追えた。
セキヤの秘策はゴウの剣を自分の剣で受け止める必要がある。それをするだけの動体視力と反射神経だけでもセキヤは一端の剣士よりも優れている。だからゴウの剣に刻まれた文字もしっかりと読み取っていた。
――『分裂』と『力』
『分裂』は剣士が二体に増えるという強力な魔力として大会でも知られている。しかし二人分の動きを実際には一つの脳と視点で操る必要がある。ピアノの初心者が左右の手を別々に動かすことに苦戦するのを考えれば、『分裂』の魔力の難しさがわかるだろう。熟練者でも二体目をまともに動かせないということで『意志』の魔力と併せて勝手に動いてもらいながら使うのが一般的である。ゴウはその高難易度の芸当を簡単にやってのけるばかりか、他の剣士たちにその『分裂』の魔力を使わせたことすら気づかせないほどの超速で操っていたのである。
しかし現状ではその魔力は全く怖くない。数が増えても力が増しても、剣で防ぐことさえできてしまえば勝てるのだから。
セキヤが今一番問題にしているのは、プレッシャーである。
相手の魔力に精神的に攻撃するようなものはない。
なのに、目の前で不敵に笑うゴウを恐ろしく感じている。
頭では理解できているのに、心が理解できていなかった。
――なんでだ、なんで僕はこの人に殺されると思っているんだ?
思考がある一点で固定される。ゴウという得体の知れない人間に対して。
そんなセキヤの様子をじっくり観察し、そしてそれに満足したかのように笑顔を歪ませると、セキヤにこう言い放った。
「次に戦う時までには、身体の方も鍛えておきなよ」
セキヤはゴウが下段から切りかかるとみて剣を構える。しかしゴウは剣を振り上げることはなく、左手でセキヤの身体を突き飛ばしていた。
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